近代建築撮影日記

日本全国の近代建築を
大判カメラ、一眼レフ、デジカメなどで
撮影した写真で紹介していきます

網干商工会館

2019-06-25 23:09:31 | 近畿

網干商工会館、以前から外観は何度も紹介していましたが、
このたび管理団体のご厚意により念願の内部撮影をさせていただきました。

そのときに聞いた話によると、現在空き家になっており
解体資金が工面でき次第取壊したいとのことでした。
決して少なくない金額が調達出来た時点で解体されてしまう、という現実に複雑な気持ちになりました。
現状ではいづれ取壊すしかないという事は明らかな事実ですが、
姫路市や網干地区においては近代建築や町家等の歴史的建造物に対して
文化財的な価値認識と保全再利用への理解が希薄なのだとも感じます。


【網干関連の過去記事】(古い順です)

姫路市網干区の近代建築(EBONY SW45で撮影)
網干の近代建築
網干の近代建築と町家
昔の航空写真(姫路・網干)
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【速報】旧網干銀行本店 前のアーケードが撤去!
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網干の近代建築 2017
網干の町家と街並 2017
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旧水井家住宅(姫路市網干区)
『網干の近代建築と町家 2018【旧網干銀行本店が!!】』
『旧網干銀行本店・旧N金物店 ほか』
旧龍野藩南組大庄屋 片岡家


使用カメラ・レンズ
SONY α7・Voigtländer SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 ASPHERICAL III E-mount


網干商工会館
(不詳/昭和15(1940)年/木2(半地下あり)/文化財指定なし)

まず、2019年2月撮影の蔦が枯れた状態で外観デザインをを確認しましょう。
【正面】

一見左右対称ですが丸窓は三つ見え、左には丸窓が有りません。
1階下部に帯巻き状に緑のタイル張り。スクラッチ状の縦筋が入ったタイルですが、引っかいたものではなく型押しで作られたものです。
その他の壁面はドイツ壁仕上げになっていましたが、2階右上の黄色い部分以外はモルタル仕上げに改変されています。

【玄関ポーチ】

柱には細かい化粧タイルが貼られています。

【右側面】
丸窓が一つ。前面と合わせて4っつの丸窓が確認できます。
丸窓は船窓とも言い、神戸など港町の建築に比較的多くみられます。
瓦はおそらくスペイン瓦という洋瓦で、洋風建築としてしっかりとした設計と屋根材が選ばれていると想像できます。

【左側面】

2階窓上に通気口と思われる半円の鎧戸があります。半円形で等間隔のリズミカルな繰り返しに高いデザイン性を感じます。

2019年6月現在、蔦の絡まる状態の右側面

右側面は全く外観が確認できません。

2019年6月撮影の正面


そして、竣工時(落成式)の写真がこちらです。
(「網干地方史談会」所蔵写真より)

外壁がドイツ壁仕上げであることが確認できます。今でもタイルと花壇の一部が残っています。
竣工時の窓枠は木製ですが、現状殆ど全ての窓がサッシに取り替えられています。

それでは、いよいよ内部に!
玄関

左に事務室、右にも同じような部屋があります。

右の部屋


事務室


玄関正面から奥に続く廊下


廊下右扉内の部屋


廊下の左には比較的高級な造りの部屋

三部屋をぶち抜いた広い部屋で、元は応接室や会長室だったのだろうと思います。この画像は奥の二部屋分。

こちらは玄関側の一部屋分


天井の四隅通気口?

旧網干銀行や旧山本家住宅の天井にも、このような通気口と思われる開口部があります。

洋服掛け

デザインと材質から見て、竣工時からあるものだと思われます。ハンガーには旧網干銀行で営業していた「タケダ」のロゴが。

1階右奥に宿直室らしき畳の部屋、土間になった台所、更に浴室まであります。
かなり荒れているのでそれらの掲載は控えます。

宿直室への通路上の配電盤


台所のカマド

昭和15年の網干ではガスはまだ普及していなかったようですね。

玄関中央廊下突き当たりから玄関側を見る


廊下突当りの右側は洗面所


洗面所に掛かる「御料理 やっこ」の銘が入った大鏡

「やっこ」は本町通を南に入ったところにあった料理屋「魚勝」と同じ建物で営業していました。そこも今では空き地です。

廊下突当りの左に便所

ボール型のランプシェードが時代を感じさせます。

便所の洗面台も「たんつぼ」が付いた古いタイプ


小便器もパイプまで陶器でできた古いタイプ


便所側から洗面所を見る 

漆喰?仕上げの壁と天井が美しい!

1階床下の半地下

物置きになっています。


では、2階へ!
大会議室

舞台まであって、会議室というよりはホールといった方がしっくり来ます。


天井中央は格天井になっており、格式を感じます。


更に天井の左右には段差が。音響効果にまで配慮されているのだろうか?


明治末期の日本セルロイド人造絹糸工場建設以来、網干と設楽貞雄は繋がりがあったと思われ、設楽の子弟等が設計に関与している可能性も考えられる。そもそも、旧山本家住宅など網干の主な建築を手掛けた玉貫氏は伊勢出身で日本セルロイド人造絹糸工場建設時に設楽貞雄が送り込んだと言われています。

舞台


演台のマーク

笑い顔にも見え、網干町のマークにも似ています。

外観左側面の半円鎧戸の内側


舞台横の小さな部屋

傷んでいますが、竣工時の床が残っているようです。

舞台裏通路

正面バルコニーの丸窓部分の内側です。

丸窓内側を拡大


大会議室横の廊下



蔦が内部まで侵食しつつあります。

舞台脇の扉

漆喰?仕上げの壁と天井との境目の左官仕事による処理が美しい。

廊下を進むと丸抜きがある階段室


外観右側角の丸窓、内側階段に丸抜き



美しい4っつの丸を同時に見ることが出来ます。

階段側から見ると・・

シンプルな直線で構成された漆喰?の壁面が美しい。

階段丸抜きを拡大

洋館でありながら井桁のような和のデザインが粋で、よく見るとデコボコの名栗加工もあります。

階段下から見上げる

やっぱり美しい!

階段を降りると玄関脇に出て、見学は終わりです。


外観からしっかりした洋風建築だと思っていましたが、内部は想像以上に素晴らしい造りでした。
大会議室のデザイン、階段室のデザイン、漆喰かどうかは分かりませんが内壁の左官仕上げの美しさ・・・
戦時中である昭和15年の建築だという事を考えると、他に類を見ないほど上質な建築であると言えます。
この建築の歴史的価値・質的価値に気づいている人は少なく、今のところ単純に古くなって使わなくなった建物は壊す、
という当たり前の考えしか無いのだろうと思います。

老朽化や利用法が無いなど仕方のない理由は有るとは思いますが、
壊す前に今一度建築の価値を明らかにして再認識することと、
本当に壊すしかないのか?残せる可能性は無いのか?という事も一考する余地が欲しいと思います。


加里屋旅館Q(Kariya RYOKAN Q)

2019-05-25 00:51:01 | 近畿

赤穂の加里屋に町家を改装した旅館が出来ると聞き、赤穂に行く機会があったので立ち寄ってみました。
5月30日開業なので、あと一週間ほどです。

外観は、黒漆喰壁に袖うだつがある二階家で、明治から大正にかけて建てられた商家です。









外見を見ただけで、傷んでなくて使える所は全て残すこと、新しく造り直す所も元の雰囲気を倣ったものにすること、の2点が徹底して守られていると感じられ、素晴らしい再生だと思いました。

外観だけ写して帰るつもりが、中にスタッフの方がおられたので概要を知るためパンフレットだけでも、と声をかけると、
パンフレットはまだ出来ていませんが見学しても良いですよ、という事で親切にも丁寧にご案内していただきました。

・ロビーおよび坪庭

落ち着いた雰囲気の北欧風のソファーやテーブルが町家の雰囲気によく合っています。


元は畳敷きだったものがフローリングに変更されていますが床の間は残され、掛け軸・屏風などの調度品は元々この町家に有った物を使うようにしているとのことです。

庭が白飛びしているので露出を変えてもう一枚



庭の右に見える離れは茶室と呼ばれる小部屋で宿泊者が自由に使うことが出来るそうです。左の離れは二階建てで丸ごと全てがこの旅館で一番大きい部屋になっているそうです。

・茶室

天井に何かついています。何でしょうかね?


茶室の窓から庭とロビーが見えます。

・更に、読書室と呼ばれる小部屋も自由に使うことが出来るそうです。


・左側離れの部屋『躑躅(つつじ)』


桧造りの内風呂


階段は造り直していますが、親柱のデザインは茶室の天井に見られる意匠に合わせて造られています。

細かい所にまで気を配った復元であると感じました。

階段を上って2階はフローリングの寝室

掛けてある巻物のような絵画はこの商家に有ったものを直したもので、天井や柱は少しシミも見える元のままに再利用していて、釘隠しも残っています。古い物の侘びた感じも生かされていて、本当に素晴らしい再生だと思います。

窓からは花岳寺が見えます


・主屋に戻って1階土間

この『蘇芳(すおう)』という部屋は開業前の最終工事中でした。
作業されていた方に、旅館として再生することになった経緯等お話を伺うことが出来ました。

そして、主屋2階には3部屋あり、計5部屋の旅館という事になります。
では、2階の部屋をひとつづつ見ていきましょう。

・表に面した1つ目の部屋『紅緋(べにひ)』

明るくて広い部屋です。



・裏に面した大きい方の部屋『撫子(なでしこ)』

写真では分かりにくいですが、波打ちガラスです。

壁に段差がありますが、、

防音材を入れたとのことです。言われなければ気付かない、絶妙な処理だと思いました。

2階の風呂はユニットバスですが、壁面は天然木で雰囲気を壊さないよう気配りされています。


・廊下に大きな屏風があり、おもむろに開いて見せてくれました。

この商家に有った絵を集めて屏風に仕立て直したもので、

こちらの猿の絵は、

花岳寺の天井画だったか障壁画だったか(聞いたけど失念)を描いた人の作品だという事です。
その土地の歴史的文化財を大切にし、それらに再び光を当てる。本当に、素晴らしいことですね。

・裏に面した小さい方の部屋『銀朱(ぎんしゅ)』

小さい部屋ですが天井が高く開放感があります。



そして、この部屋の風呂には、、

扉があり、


ベランダに出ることが出来ます。

ベランダから旅館の離れと庭、花岳寺が見渡せます。

離れの屋根は、重厚な本瓦葺きで建築当初の瓦のようです。新しい瓦に吹き替えてしまうと、綺麗になり過ぎて侘びた雰囲気が損なわれますが、そうならないよう、出来る限りの気配りがされた再生だと思います。

・主屋1階食堂、ダイニング『GOKAN』

食堂は表通りにに面しています。

突然の訪問にもかかわらず、ご案内有難うございました。
こちらのURLが旅館の紹介ページになります
https://www.ako-syokichi.com/co_navi/article/080a8f2d0e1a8e231c9b2921-231.html


私が住んでいる網干の古い建築も、このような素晴しい再生で後世に残れば良いと思います。


旧龍野藩南組大庄屋 片岡家

2019-05-16 01:00:00 | 近畿

今回は、2019年5月5日にイベント公開された
旧龍野藩南組大庄屋 片岡家
(不詳/元禄15(西暦1702)年/木2/姫路市都市景観重要建築物等)
を紹介します。

片岡家は姫路市網干区新在家に位置する、姫路市内最古級の民家です。
姫路市網干区は「龍野藩南組」という事からも分かるように、本来は揖保川流域の経済・文化圏に属する町でした。
揖保郡網干町として独立した自治体でしたが、戦後、昭和の大合併で姫路市に併合されることになりました。
当時、揖保川の水運はすたれつつあり、網干-龍野-新宮を結んでいた播電鉄道も廃止され、
国鉄の山陽本線や山陽電鉄による姫路との結びつきか強まった故の姫路市との併合だったのだろうと思います。
詳しい併合の経緯は、またの機会に調べてみたいと思います。


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・表題写真は手元にある片岡家を写した最も古い画像です
(カメラ;Nikon F2・1994/4/10撮影)

・その他画像
(カメラ;SONY α7・Voigtländer SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 ASPHERICAL III E-mount・2019.5.5撮影)

・一部画像に例外がありますが、その都度カメラ名と撮影日を記入しました。


全景

右側の蔵は借家としてカメラ店に貸していたため改変されています。

蔵の右側側面

(カメラ;PENTAX K-30・2019/3撮影)

本瓦葺きで軒瓦には龍野藩脇坂家の家紋があります。大庄屋の家格ゆえに家紋の使用が許されたのでしょうか。

(カメラ;PENTAX K-30・2019/3撮影)

網干高校の生徒が町おこしに参加しています。ここは古書バザーです。


主屋を正面から見ると屋根の左上に煙り出しがあり、一つ目小僧のように真ん中に一つだけ虫籠窓があります。左1/3程は、洋服屋になっています。蔵同様、借家として貸しているのでしょうか。


裏から見ると、主屋の後ろに付属棟が付きL字型になっています。この付属棟は傷みが激しく近年修理されましたが、予算不足の所為かトタン葺きになっています。

(カメラ;PENTAX K-30・2019/3撮影)

主屋から坪庭を介して蔵を見た写真。


玄関脇


土間の梁を見上げる


裏手の付属棟内部。外見はトタン葺きだが内部を見ると、残す部材は残して出来る限りの修復を試みているのが分かる。


そしてちょうど12年前、修復前の画像。

(カメラ;RICOH GR DIGITAL II・2007/5/5撮影)

表(北)に面した座敷。






玄関土間側から南西向きに撮影。田の字型に部屋が配置されている。


神棚のある部屋から土間側、北東向きに撮影。


昔は、複数の神仏を祭るのが普通だった。


田の字のさらに奥、裏庭に面した部屋。


解体修理で竣工当初の姿を復元して一般公開される民家が多い中、近年まで生活をしていた状態のまま見ることが出来るのはある意味貴重だと思います。


旧網干銀行本店・旧N金物店 ほか

2019-01-01 15:48:41 | 近畿

明けましておめでとうございます。

昨日、大晦日にふらりと旧網干銀行本店に行ってみると、
建築を買い取られた企業の方がおられました。

合わせて買い取った旧N金物店の内部の片付けをされていました。

有難いことに、この二つの物件の内部を見せていただき撮影することが出来ました。

今回は、さらに数日前に撮影した写真も含めて掲載します。


【網干関連の過去記事】(古い順です)
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使用カメラ・レンズ
SONY α7・Voigtländer SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 ASPHERICAL III E-mount・2018.12.31撮影
SONY α7・KOMURA 200mm F3.5 MINOLTA SR MOUNT(マウントアダプター使用)・2018.12撮影


旧網干銀行本店
(不詳/T10頃/煉瓦造タイル貼/姫路市都市景観重要建築物等)


1階内部、店舗のすぐ後ろ。位置的に考えると応接室っぽい。

今回は、ストロボを焚いたが・・

室内光で撮影すると、少し暗いが温かみのある描写になる。


このシャンデリア、店舗吹き抜けの天井にあったものだという。

大正時代にしてはデザインや風合いが新しいような気がする。竣工時の物か後年の付け換え、どちらだろうか?

更に奥の部屋。位置的に考えると頭取室か?


頭取室?の漆喰仕上げ天井。


元々、店舗から見える位置にあったと思われる大金庫の扉。

物凄く重い。

階段室の真上を見上げると。明り取りの窓がある。

説明が無ければ、上下感覚がおかしくなりそうな絵です。



二階奥の部屋には、畳が。宿直室だったのだろうか?


そして、2階大広間。今は床が貼られて2階になっているが、本来は店舗吹き抜け天井だった。

回廊も一部を除いて撤去されている。この吹き抜けと回廊は出来る限り復元するという。

ところで、塔屋3階へは行くことはできないのだろうか?

角の丸い所が塔屋の真下になるのだが、天井が張られている。塔屋3階の窓はダミーなのか?

2階にも小さな金庫がある。




旧N金物店
(不詳/不詳/木2/文化財指定なし)

タイルが剥がれて建築の行く末が心配でしたが、旧網干銀行と同じ企業が買い取っており、少なくとも店舗部分は保存再生するとのこと。

この建築、入ってみてびっくり!

旧網干銀行では塞がれていた吹き抜けと二階回廊に似た造り!近くに出来た銀行を見てインスパイアされて改造したのかもしれない。

真下から見上げるとこんな感じです。

SUPER WIDE-HELIAR 15mmは歪曲の少ない優秀なレンズですが、こうして見ると樽型の収差があります。

2階に登るとこんな感じ。

龍野の「伏見屋商店」を思いだした。さらに、神保町にある建築専門の「南洋堂書店」も2階回廊がある。商店として再生するなら、本屋向きかもしれないと思った。

いい雰囲気です。

店舗部分は昭和初期くらいの洋風看板建築の様相ですが・・

奥は純和風です。外見からは、全く想像していませんでした。

クドにカマドが残っている。よく見ると高い所に神棚が。恐らく、なにがしかの火の神様、もしくは火事除けの水の神様だろうか。
撮影していないが、店舗内には小さなお稲荷さんも祭ってあったと思う。
民俗学的にも貴重な資料になりそうだ。

そして、仏間らしき部屋は上質な座敷です。

建物全体を見た感じ、奥の生活空間で一番古い部分は明治、あるいは江戸末くらいまで遡るかもしれない。外観写真の側面に見える屋根の妻が元の町家の屋根だと仮定して建築の前面まで伸ばすと、2階が低い江戸末から明治初めの町家の高さになるように思う。
元々普通の町家だったが幾度か増改築が繰り返され、店舗部分外観は当時(昭和10年代だろうと思う)最新の看板建築に、内部は網干銀行に触発されて吹き抜け2階回廊に改造されたのでは?と想像する。

京町家によく見られる、鰻の寝床のような奥に細長い町家で、荒れてしまっているが坪庭もしつらえてある。

よく見ると、軒瓦も京風の一文字軒瓦だ。

この建築を見て改めて思いました、建築は中まで見ないと解らないですね。



建築を広角レンズで撮影すると、屋根が見えないことが多いので、
50年以上前の少しクモリのある趣味的なレンズではありますが
少し離れたところから200mmの望遠レンズで何棟かの建築を撮影してみました。


旧網干銀行本店 塔屋

ドームの形、美しいですね。



旧山本家住宅 望楼付き洋館

リズミカルな瓦の文様が美しいですね。



網干商工会館 側面

蔦が枯れて、半円の鎧戸が確認できました。瓦も洋瓦です。余り取り上げられることはありませんが、ちゃんとした造りの素敵な洋風建築です。



今回、旧網干銀行本店・旧N金物店を買い取った企業の代表者の方のお話を伺いましたが、
市町村が行うような整備して公開するだけでもない、
企業などが行うような綺麗に修復・再生・転用して収益を狙うという事でもない、
古い建築のシミや汚れのような歴史が刻まれた部分もできるだけ残して銀行時代の姿を復元し、網干という町全体の歴史も踏まえながら、地元の人々と連携して、より良い形で建築を保存・再生・伝承することを模索していく。
というような趣旨のことを仰っていました。
今後の工程についても大学の先生やヘリテージマネージャーと相談しながら進められるとのことでしたので、安心です。

2018年は、川まつり(花火大会)やアボナリエ(クリスマス・イルミネーション)が中止され町の活気が無くなったことを実感した年でしたが、
このような新しい動きがあり嬉しく思います。


神戸の近代建築 2018(その3)

2018-12-24 13:10:40 | 近畿

2018年2月及び5月、神戸でVoigtländer SUPER WIDE-HELIAR 15mmによる撮影の(その3)です。
今回は北野周辺の住宅建築編です。

使用カメラ・レンズ:SONY α7・Voigtländer SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 ASPHERICAL III E-mount
無印が2月、☆が5月撮影です。
(一部、上記以外のカメラ・撮影日の写真もあります。その場合は都度、写真の下にカメラ・撮影日を明記)



T歯科
(不詳/不詳/木?/文化財指定なし)



裏側


この物件は旧池長美術館の近くで見つけたもので、北野ではありませんが、昭和初期から30年代にかけての住宅建築の特徴を備えていると思います。



物件名不明(和風住宅)
(不詳/不詳/木?/文化財指定なし)


この物件は旧池長美術館の近くで見つけたもので、北野ではありませんが、昭和初期から30年代にかけての住宅建築の特徴を備えていると思います。
和風でありながら、モルタル壁・塀には人造石洗い出しの技法が使われています。



物件名不明
(不詳/不詳/木?/文化財指定なし)


この物件は旧池長美術館の近くで見つけたもので、北野ではありませんが、昭和30年代頃の建築だろうと思います。



神戸市水道創設期導水管
(M31/英国で製造)


この向かい側にヴォーリズ設計の旧ナショナルシティバンク社宅があるのですが、綺麗に直されているのでレプリカ洋館だと思って見向きもせず通り過ぎてしまいました。
事前に建築外観をチェックしておくべきでした。調べてみると、写真館として再生されているようです。



旧北野浄水場 守衛室?
(不詳/不詳/煉瓦?RC?/文化財指定なし)


旧北野浄水場はM33に完成しました。この建築は一見煉瓦造りのようですが、上部は人造石洗い出しになっています。
煉瓦とRCの複合構造か、もしくはRCで煉瓦部分はタイル張りかなと思いますがどうでしょうか?竣工時期も創業時ではなく大正期くらいかなと思います。

 


旧チャン邸(現神戸北野サッスーン邸(結婚式場のため非公開))
(不詳/M25/木2/特定伝統的建造物(伝建地区内))


洋館なのに和風の薬医門がある



建築正面は式が無いときに門から覗き見ることしかできません。



東面。正面も少し見えます。



北面・東面



PASPA(Google マップ上の記載による)
(不詳/不詳/木2/文化財指定なし)


昭和初期から30年代頃までの建築だと思いますが、詳細不明です。






物件名不明
(不詳/不詳/木2/文化財指定なし)


先程のPASPAの近くにあり、非常によく似た外観です。同時に販売された分譲住宅の可能性も考えられますが、真相は分かりません。

この物件と道を挟んだ所に駐車場があり、古い門が残っています。


阪神淡路大震災で北野の異人館の1/3が失われたと聞きます。今でもこのような空き地が随所に見られます。



アボイ邸(現 イタリア館・プラトン装飾美術館)
(不詳/T4/木2/特定伝統的建造物(伝建地区内)・ひょうごの近代住宅100選)









Y家住宅(和風住宅)
(不詳/T7-8/木2/特定伝統的建造物(伝建地区内))











敷地内に洋館も見えます。

 


物件名不明 2棟
(不詳/不詳/木/文化財指定なし)


左の門塀は古そうですが住宅は建替えか補修かよく分かりません。右は昭和30年代頃でしょうか?個性的な様式です。



シンプルながら素晴らしいと思います。

その近くに古い塀のみ遺る坂道がある。





物件名不明 2棟
(不詳/不詳/木/文化財指定なし)





2棟とも昭和30年代頃の建築だと思いますが、詳細不明です。



旧チン邸/旧中国領事館(現 坂の上の異人館)
(不詳/M後期/木2/文化財指定なし)








展望塔の家
(不詳/T後期/木2/ひょうごの近代住宅100選)

奥に見えるうろこの家に似た建物が展望塔の家です。



阪神大震災前は公開建築でしたが、破損したため閉鎖されて今日に至ります。



旧フリューガ邸(現 北野外国人倶楽部)
(不詳/M後期/木2/文化財指定なし)











庭から展望塔の家が見えます。



ティファニーの休日(喫茶店)


レプリカ洋館のようですね。



旧サンセン邸(現 山手八番館)
(不詳/M後期/木/文化財指定なし








旧ハリヤー邸(現 うろこの家)
(不詳/M38頃・T年間移築/木2/登録文化財・ひょうごの近代住宅100選)














内部写真は『旧ハリヤー邸(うろこの家)』にUPしています。



物件名不明 洋館
(不詳/不詳/木/文化財指定なし)


空き家になっているようですが、S初期頃の造りの良い洋館だと思います。


旧ヴォルヒン邸(香りの館オランダ館)
(不詳/S初期/木2/特定伝統的建造物(伝建地区内)・ひょうごの近代住宅100選)







物件名不明 洋館
(不詳/不詳/木/文化財指定なし)





S初期くらいの洋館だと思いますが、詳細不明です。



物件名不明 2棟
(不詳/不詳/木/文化財指定なし)





この2棟もレプリカ洋館だろうと思います。形は古い様式のように見えるが、端々に残るであろうところの古さの証しは見当りません。



物件名不明
(不詳/不詳/木/文化財指定なし)


S40年代くらいの建築を洋館風に改装したものだろうと思います。



旧 神戸女子短大北野寮(現 神戸北野ハンター迎賓館)
(不詳/T/木2/特定伝統的建造物(伝建地区内))


結婚式場として再生・再利用されています。
見えている建築は新しいものです。




伝統的建造物はこちらの和風邸宅です。





K家住宅
(不詳/T/木2/特定伝統的建造物(伝建地区内)・ひょうごの近代住宅100選)








旧ジェームズ邸
(不詳/S13/木2/特定伝統的建造物(伝建地区内)・ひょうごの近代住宅100選)








物件名不明
(不詳/不詳/木/特定伝統的建造物(伝建地区内))


旧ジェームズ邸が奥に見えます。



旧レイン邸(現 神戸北野迎賓館)
(不詳/M33/木2/特定伝統的建造物(伝建地区内)・ひょうごの近代住宅100選)


これは西側

北側



南側





旧パラスティン邸
(不詳/T3/木2/特定伝統的建造物(伝建地区内)・ひょうごの近代住宅100選)











旧パナマ領事館(の裏)
(不詳/M末/木2/特定伝統的建造物(伝建地区内)・ひょうごの近代住宅100選)

緑の壁の建物が旧パナマ領事館です。



F家住宅(和風住宅)
(不詳/T/木/特定伝統的建造物(伝建地区内))





特定伝統的建造物なので、メンテナンスが行き届いています。



旧ドレウェル邸(現 ラインの館)
(不詳/T4/木2/特定伝統的建造物(伝建地区内)・ひょうごの近代住宅100選)


修理中です。



旧トーマス住宅(風見鶏の館)
(デ・ラランデ/M42/煉瓦2/特定伝統的建造物(伝建地区内)・ひょうごの近代住宅100選)





表題写真もこの旧トーマス住宅です。



ジャーデン・マセソン商会の門柱


萌黄の館の門柱かと思ったが、居留地よりS53に移設されたもの。



旧シャープ住宅(現 萌黄の館)
ハンセル(推定)/M36/木2/特定伝統的建造物(伝建地区内)・ひょうごの近代住宅100選)














Y邸
(不詳/M40/木?/特定伝統的建造物(伝建地区内)・ひょうごの近代住宅100選)




旧バクレー邸
(不詳/T11/木2/特定伝統的建造物(伝建地区内)・ひょうごの近代住宅100選)





旧ハムウェイ邸
(不詳/S初/木2/登録文化財)








物件名不明
(不詳/不詳/木/文化財指定なし)





伝建地区内です。特定伝統的建造物以外の、あまり価値を認められない建築も旧状に復元して残せば面白いと思います。
上質な建築以外も後世に残せば、バラエティー豊かで面白いと思うのですが。



旧ビショップ邸(現東天閣)
(ガリバー/M27/木2/文化財指定なし)





 旧グラシアニ邸(焼失後再建)
(不詳/M41・H25(再建)/木2/文化財指定解除)

H24年に火災で焼失。H25年に焼け残った部材を再利用しつつ再建された。

 


JR西日本三宮ゲストハウス
(不詳/T/木2/特定伝統的建造物(伝建地区内)・ひょうごの近代住宅100選)
南西から見上げる


北西から見ると奥に洋館があるのが分かる








旧ボリビア領事館
(不詳/M30年代/木2/特定伝統的建造物(伝建地区内)・ひょうごの近代住宅100選)





旧A.P.ディスレッセン邸
(不詳/M28/木2/特定伝統的建造物(伝建地区内)・ひょうごの近代住宅100選)




2月撮影の写真は曇り空なので、5月撮影の写真も。





旧ハンセル邸
(アレクサンダー・ネルソン・ハンセル/M29/木2/特定伝統的建造物(伝建地区内)・ひょうごの近代住宅100選)




2月撮影の写真は曇り空なので、5月撮影の写真も。

 


旧キャサリン・アンダーセン邸
(不詳/M32/木2/特定伝統的建造物(伝建地区内)・ひょうごの近代住宅100選)




 


旧ゲンセン邸
(アレクサンダー・ネルソン・ハンセル/M42/木2/特定伝統的建造物(伝建地区内)・ひょうごの近代住宅100選)


2月撮影の写真は曇り空なので、5月撮影の写真も。





 


T家住宅
(不詳/M末~T初/木2/特定伝統的建造物(伝建地区内)・ひょうごの近代住宅100選)


2月撮影の写真は曇り空なので、5月撮影の写真も。








M家住宅
(不詳/T/木2/特定伝統的建造物(伝建地区内))





T家・S家住宅
(不詳/S4/木2/特定伝統的建造物(伝建地区内)・ひょうごの近代住宅100選)


2月撮影の写真は曇り空なので、5月撮影の写真も。


右は鄭寓邸。






裏です





T家住宅
(不詳/不詳/木/文化財指定なし)


伝建地区内です。特定伝統的建造物指定から漏れた建築ですが、状態良く保たれています。形から見て、戦前だと思います。このように特定伝統的建造物以外も残さないと、街並みは守れません。



マリニン・フタレフ邸
(不詳/M34/木2/特定伝統的建造物(伝建地区内)・ひょうごの近代住宅100選)








物件名不明
(不詳/不詳/木/文化財指定なし)


これも、S30年代まで位の古い建築だと思います。

 


T家住宅
(不詳/M39/木2/特定伝統的建造物(伝建地区内)・ひょうごの近代住宅100選)


2月撮影の写真は曇り空なので、5月撮影の写真も。




裏に回ると・・


こっちが表でした。

この煉瓦塀も、T家住宅か?それとも、お隣だろうか?



 


旧モッシュ邸西棟・東棟
(不詳/T/木2/特定伝統的建造物(伝建地区内)・ひょうごの近代住宅100選)






左にT家住宅が見える。



裏(南)に回ると、こんな感じです。



右・旧フデセック邸
(不詳/M40/木2/重要伝統的建造物群保存地区特定伝統的建造物)
左・旧舛田・橘邸
(不詳/M41/木2/重要伝統的建造物群保存地区特定伝統的建造物)

この通りは観光化が激しく、入館しなければ撮影が難しい建築が多いです。
私が撮影するまでもなく、多くの観光客が写真に残していることでしょう。
この通りにはあと何棟かありますが、ここらで終わりにします。



※どうにか年内にUPできました。


神戸の近代建築 2018(その2)

2018-12-06 00:50:24 | 近畿

2018年2月及び5月、神戸でVoigtländer SUPER WIDE-HELIAR 15mmによる撮影の(その2)です。
今回はJR山陽本線を境に南側です。

※表題写真は神戸税関と旧神戸市立生糸検査所です。



使用カメラ・レンズ:SONY α7・Voigtländer SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 ASPHERICAL III E-mount
無印が2月、☆が5月撮影です。が、今回のエリアは5月には回っていないので☆の写真は有りません。
(一部、上記以外のカメラ・撮影日の写真もあります。その場合は都度、写真の下にカメラ・撮影日を明記)


そごう神戸店
久野節/S8/RC/文化財指定なし)

パネルに覆われていて建築当初の外壁は見えなくなっているが、中央のアールになった部分がS8竣工の旧ビル。

同ビル、地下への入り口・階段室

(2018.9撮影・使用カメラ:RICOH GR DIGITAL II/フォトショップによる垂直補正あり)

建築当時の意匠が良く残っており、旧阪神電気鉄道神戸駅(現神戸三宮駅)への入り口も兼ねている

(2018.9撮影・使用カメラ:RICOH GR DIGITAL II/フォトショップによる垂直補正あり)


(2018.9撮影・使用カメラ:RICOH GR DIGITAL II/フォトショップによる垂直補正あり)


(2018.9撮影・使用カメラ:RICOH GR DIGITAL II/フォトショップによる垂直補正あり)

地下より見た階段室

(2018.9撮影・使用カメラ:RICOH GR DIGITAL II/フォトショップによる垂直補正あり)



旧阪神電気鉄道神戸駅(現神戸三宮駅)
(不詳/S8/RC?/文化財指定なし)

(2016.9撮影・使用カメラ:RICOH GR DIGITAL II)
上記のそごう神戸店直結の地下駅。近年修復されて、開業当時の趣きが復元された。



神戸税関
(大蔵省営繕課・国土交通省近畿地方整備局営繕部、日建設計(改築)/S2・H10(改築)/SRC4・SRC10(改築)/改築時に第41回BCS賞、公共建築賞、JIA環境建築賞)

旧館の外壁ほぼ全てと玄関ホールが保存されている。


新館も旧館と連続性を持たせたデザインで建てられている。旧神戸地方及区裁判所(現神戸地方裁判所)の帯巻き保存の反省から学んだ結果だろうか?

上の写真では塔屋が歪んでいるので・・

『Voigtländer SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 ASPHERICAL III E-Mount【その1】(アオリ操作をせずにアオリ効果を得る!の巻)』
で紹介した方法で撮影後トリミング。塔屋はスッキリしましたが、建築本体左のアール部分が不自然に歪んでしまいました。
何処かを補正すると別の何処かが歪んでしまいます。

玄関ホール内(円形塔屋の下)







モザイクタイル、良いですね。





中庭より塔屋を見る




旧神戸市立生糸検査所(現デザイン・クリエイティブセンター神戸旧館)
(神戸市営繕課/S2/RC4/神戸市景観形成重要建築物等)





得体の知れないデザインのテラコッタは蚕の頭部を模していると云われる。伊藤忠太を思わせる意匠ですね。
入り口の石材は当時大流行した高砂産竜山石のように思います。


外壁タイルは新しく見え、近年張替えられたように思われます。



旧国立生糸検査所(現デザイン・クリエイティブセンター神戸新館)
(置塩建築事務所(置塩章)/S7/RC4/神戸市景観形成重要建築物等)

古びたスクラッチタイルは竣工当時の物か?


港町らしい、丸い船窓が付いた意匠。神戸では結構見かける。



旧新港相互館(現新港貿易会館)
(不詳/S5/RC4/登録文化財・神戸市景観形成重要建築物等)



丸い船窓にアールデコ調のデザイン。


以前はロビーと階段が開放されていたが、入れなくて残念。



三井倉庫
住友合資会社工作部/T15/RC4/文化財指定なし)




三菱倉庫・二突第一倉庫
三菱倉庫営繕課/T14(第一期)・S3(第二期)/RC5/文化財指定なし



裏手に回ると、角にアールが付いた部分がある。角ばった部分とどちらが古いのだろうか?



川西倉庫
(渡辺節建築事務所/T14/RC5/現存せず
(2009.5撮影・使用カメラ:RICOH GR DIGITAL II)

 


旧チャータード銀行神戸支店
ジェイ・ヒル・モーガン/S13/RC4/経済産業省認定近代化産業遺産)



奥に神港ビル他、神戸港の顔ともいえるビル群が見える。



旧川崎汽船本社ビル(現 神港ビルヂング)
木下建築事務所(木下益次郎)/S14/SRC8/経済産業省認定近代化産業遺産)

ほぼ正確に垂直が出ているが、上が広がって見えてしまう。
それを考慮してほんの少し上すぼみに撮影すると良いのだが、手持ち撮影なので微妙な調整は難しい。





旧大阪商船神戸支店(現 商船三井ビルディング)
渡邉節建築事務所/T11/RC7/経済産業省認定近代化産業遺産




旧三井物産神戸支店(現 海岸ビル)
河合浩蔵/T7・改修H10/RC4/登録文化財・神戸市景観形成重要建築・外壁保存





旧神戸海上火災保険(現 あいおいニッセイ同和損保神戸ビル
(長谷部竹腰建築事務所/S10/RC4/文化財指定なし)





旧日本毛織本社ビル(現 本店)
(竹中工務店/S12/RC/文化財指定なし)

(2005.1撮影・使用カメラ:RICOH Caplio R1)
今回撮影漏れのため、以前写した写真です。



シティバンク神戸支店
ヴォーリズ/S4/SRC3/神戸市景観形成重要建築物等・経済産業省認定近代化産業遺産)

左に見える外壁保存建築物は旧独逸染料合名会社、旧液体空気日本支店(T15)の2棟とのことですが、詳細は不明です。



旧神戸居留地十五番館(旧アメリカ合衆国領事館)
(不詳/M13/木骨煉瓦/重要文化財)




旧横浜正金銀行神戸支店(現神戸市立博物館)
(桜井小太郎/S10/RC3一部S/登録文化財・神戸市景観形成重要建築物等)






旧神戸証券取引所
(渡辺節/S9/RC/現ビルはH6竣工でイメージの復元)




旧三菱銀行三宮支店(コリント式オーダーの柱頭のみ保存)
(三菱地所部/S4/RC/モニュメント保存)




河南ビル
原科建築事務所/S10/RC3/文化財指定なし

(2013.9撮影・使用カメラ:RICOH GR DIGITAL II)


(2013.9撮影・使用カメラ:RICOH GR DIGITAL II)


(2013.9撮影・使用カメラ:RICOH GR DIGITAL II)
港町神戸らしい丸い舟窓にアールデコ調の装飾がある素敵な建築です。

 


旧オール商会ビル
(不詳/不詳/RC?/文化財指定なし)

明らかにT末-S初頃のデザインですが、詳細は分かりませんでした。


旧日本郵船神戸支店
曾禰中條建築事務所・戦災復旧は安井武雄建築事務所/T7/鉄骨煉瓦+RC/文化財指定なし




旧日濠会館
(河合浩蔵/M43もしくは44/煉瓦/登録文化財・神戸市景観形成重要建築物等)







(2005.1撮影・使用カメラ:RICOH Caplio R1)



昭和ビル
(不詳/S10/RC?/文化財指定なし)





このビルも明らかにT末-S初頃のデザインですが、詳細は分かりませんでした。



旧岸本産業ビル
(不詳/S初期/RC/文化財指定なし)






旧二葉
(不詳/不詳/木?/文化財指定なし)

長らく、生そば・うどんの「二葉」として馴染んだ建築でした。大きさから木造かと思いましたが、RCの可能性も否定できませんね。



旧山口銀行神戸支店(玄関アーチ部分のみ保存)
(河合浩蔵/T12/SRC5/モニュメント保存)

(2005.1撮影・使用カメラ:RICOH Caplio R1)



旧横浜海上保険会社神戸支店(現 毎日新聞神戸支局旧正面玄関
(河合浩蔵/T14/RC/部分保存)




旧明治火災保険神戸支店の軒持ち送り
(横河工務所/T5もしくはT6/煉瓦及びRC/モニュメント保存)

正確な解体年は分かりませんが、昭和の終わり頃まで兵庫県民信用組合として使われていたようです。



旧第一銀行神戸支店
(辰野金吾/M41/石・煉瓦造2/外壁保存

震災後は壁だけが建っていましたが、近年新ビルに取り込まれました。



旧帝国生命保険神戸出張所(現 フットテクノビル)
(清水組/T10/RC4/登録文化財)


 


旧小橋屋呉服店神戸支店(現 松尾ビル)
竹中工務店/T14/RC5/登録文化財)






次回、その3は北野周辺の住宅建築編です。年内には更新したいと思います。


網干の近代建築と町家 2018【旧網干銀行本店が!!】

2018-11-23 23:45:05 | 近畿

今年も「網干ロマン街道めぐり」が始まりました(11/23-11/25迄)。この機会に是非網干の建築群を見にいらしてください!
まあ、イベントとは関係なく町を歩いて写真を撮ってきたのですが、大きな変化がありました。

【網干関連の過去記事】
姫路市網干区の近代建築(EBONY SW45で撮影)
網干の近代建築
網干の近代建築と町家
昔の航空写真(姫路・網干)
『歴史と景観のまち 網干を歩く』発売
【速報】旧網干銀行本店 前のアーケードが撤去!
旧 日本セルロイド人造絹糸 外国人技師住宅(ダイセル異人館)
網干の近代建築 2017
網干の町家と街並 2017
旧山本家住宅 2017
旧水井家住宅(姫路市網干区)


使用カメラ・レンズ
SONY α7・Voigtländer SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 ASPHERICAL III E-mount・2018.11.23撮影


まず、何度も紹介している
旧網干銀行本店
(不詳/T10頃/煉瓦造タイル貼/姫路市都市景観重要建築物等)

なんとなく、いつもと様子が違いませんか?

半年ほど前から「売り物件」の貼紙が無くなり、買い手が付いたのか?と動向を見守っていたのですが・・・

道を挟んで西側の商店が更地になり、


東に隣接する前所有者の住居が更地になり、


そして、南側の商店まで更地に!

これは、本格的に銀行建築の保存再生が始まったと思われますが、特に事業計画の看板や貼紙は無く詳細不明。
ただ、小さなポストがあり「旧網干銀行 湊倶楽部」と書かれていました。

ネットで調べてみてもインスタグラムに「旧網干銀行 湊倶楽部」のアカウントがあるだけで、説明文も
「旧網干銀行本店
大正期に地場銀行として建造された歴史的建造物。古くは流通の拠点とし栄えた網干湊の象徴として今なおその姿を残す。
大正、昭和、平成…そしてまた新しい時を刻み始めます。」
とあるだけで、詳しいことは分かりませんでした。
ただ、銀行建築だけは大切に保存再生してくれるようです。

銀行が遺るのは喜ばしいことではありますが、見慣れた街並みの余りの変貌ぶりと建築の用途が分からないことに一抹の不安も感じました。
まあ、見守っていくしかありませんね。


旧金物店・カナイ ほか

更地になって古い長屋が現れたが、本瓦葺きの建築だ。


旧金物店のタイルが落ちてしまっている。昔は隣同士の建築をくっつけて建てていたので仕方がない。
できれば、この建築は遺してほしい。


カナイさんは健在だ。


網干橋
(不詳/不詳/鉄骨/文化財指定なし)

親柱には橋名のみがあり架橋年などは全く分からないが、まだ木橋が普通だった戦前から鉄橋だったとのことで「かねはし」と呼ばれていたそうだ。


戦前の写真で見たことがあるのですが、橋脚はこれとほぼ同じ構造の鉄骨でした。可能性は低いと思いますが戦前の鉄骨が残っているかもしれませんね。

【2019.3.5追記】
古写真集などを調べると、戦時中に供出されて木橋に架け替えられたという事が分かりました。現在の鉄橋は再度架け替えられたもののようです。
ちなみに、戦前の写真というのはこちら。

自宅にあった写真で裏に「昭17.2.18 大東亜戦争第一次祝賀大会旗行列」と記されていました。
現在の橋と橋脚の形が似ているのが分かりますね。


網干商工会館
(不詳/S15/木2/文化財指定なし)


おや、何か貼紙が・・・!

これは大変!この老朽化した建築は無くなるかもしれないな・・・

この建築は、なかなか風情のある船溜まりの脇にある。

何処にあるか分かりますか?


旧長久医院
(永岡組/S5頃/木2/文化財指定なし)

相変わらず空き家のままです


旧T眼科
(不詳/不詳/木2?/文化財指定なし)






旧山本家住宅 望楼付き洋館
(大工 玉抜某(口伝による)/T7/木/姫路市都市景観重要建築物等)






鮮魚まるまん
(不詳/不詳/木/文化財指定なし)




旧山本家住宅付近の街並




旧水井家住宅 
(不詳/T11/木2/姫路市都市景観重要建築物等)




旧銭湯
(不詳/不詳/木/文化財指定なし)

細路地にあるが、向かいの建築が更地になったので正面から撮影。確か「亀湯」だったと思う。
意外に小さいので驚いている。本瓦葺きなのでかなり古い(明治くらい?)のではなかろうか。


旧佐久間文具店(現 TAO)~旧龍野藩南組大庄屋 片岡家~旧北川カメラ店の街並




N家住宅
(不詳/江戸末期/木/文化財指定なし)







N家住宅
(不詳/江戸?/木/文化財指定なし)

先程のN家とは別のN家です。


ちょっと中途半端ですが、今日写した物件のみの掲載でした。


神戸の近代建築 2018(その1)

2018-11-02 21:40:41 | 近畿

更新をサボっていたので大分前の事ですが・・

2018年2月、神戸(中央区+α)でVoigtländer SUPER WIDE-HELIAR 15mmによる撮影を試みたが曇り空に泣いた。
撮影はしたので、近代建築物件を紹介します。
物量が多いので、今回はその1としてJR山陽本線を境に北側です。
その2はJR山陽本線を境に南側、更に5月には北野地区を中心に再訪したので、その3はその時の写真を中心に北野周辺の住宅建築。
以上、全3回でご紹介したいと思います。(この調子で年内に全3回完了出来るのだろうか・・)

使用カメラ・レンズ:SONY α7・Voigtländer SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 ASPHERICAL III E-mount
無印が2月、☆が5月撮影です。
(一部、上記以外のカメラ・撮影日の写真もあります。その場合は都度、写真の下にカメラ・撮影日を明記)


旧国鉄神戸駅(現JR神戸駅)
(鉄道省/S6/SRC2/文化財指定なし)






逆光で正面から撮影できなかったので、過去撮影写真より。

(2013.11撮影・使用カメラ:Nikon D600)


駅舎内の柱等に意匠があるのですが、鉄骨が組まれて隠れています。一時的な足場なのか、これ自体が耐震補強なのかはよく分かりません。

以前はこんな風に高い天井だったんですが・・

(2008.1撮影・使用カメラ:RICOH GR DIGITAL)



旧神戸地方及区裁判所(現神戸地方裁判所)
(河合浩蔵・神戸営繕事務所(改築)/M37・H3(改築)/煉瓦3・SRC5(改築)/外壁保存)
帯巻きと揶揄される外壁保存です。これを反面教師として、以後は新しい建築を少し後ろに引いて建てる等の工夫が見られるようになりました。









西田歯科医院
(不詳/S5/木2/文化財指定なし)




旧別格別院善福寺本堂(現本願寺神戸別院兵庫教区教化センター)
(葛野建築事務所・中村建築設計事務所(改築)/S4・H7(改築)/RC3・SRC?(改築)/イメージの復元)



日本基督教団神戸教会
(原科建築事務所/S7/RC2/文化財指定なし)








日本基督教団神戸栄光教会
(曾根中条建築事務所・日建設計(再建)/T11・H16(再建)/煉瓦2・RC2(再建)/イメージの復元)





全く同じという訳にはいかなくとも、イメージの復元はこの位のレベルであってほしい。



旧兵庫県庁舎(現兵庫県公館)
山口半六/M35/煉瓦及びRC3/登録文化財・神戸市景観形成重要建築物等)
















旧兵庫県信用組合連合会(現駐神戸大韓民国総領事館)
(置塩章/S6/RC3/文化財指定なし)




旧国立移民収容所(現海外移住と文化の交流センター)
(兵庫県営繕課(置塩章)/S3/RC5/文化財指定なし)


改修前はもっと白くて、蔦が這った建築でした。

(2005.1撮影・使用カメラ:RICOH Caplio R1)









旧西本願寺神戸別院(現光尊寺)
(不詳/M8/木/建替え済?)

手前の建築は新しいと思うが、奥に見える本堂はM8竣工の旧西本願寺神戸別院本堂を改修したものか、あるいはイメージを復元して建替えられたものか?

2005年撮影の写真があったので・・
山門

(2005.1撮影・使用カメラ:RICOH Caplio R1)

本堂

(2005.1撮影・使用カメラ:RICOH Caplio R1)
やっぱり、イメージの復元による建替えっぽいですね。



旧北野尋常小学校(現北野工房のまち)
(神戸市営繕課/S6/RC3/文化財指定なし)





南側階段室



北側階段室




神戸モスク
(ヤン・ヨセフ・スワガー/S10/RC3/文化財指定なし)






 


神戸バプテスト教会
(米国南部バプテスト連盟日曜学校委員会/S27/木?/文化財指定なし)




 旧神戸ユニオン教会
(ウィリアム・メレル・ヴォーリズ/S4/RC/登録文化財)
(2009.5撮影・使用カメラ:RICOH GR DIGITAL II)
しばらく空き家だったが、改装してパン屋になっている。












資料によると竣工はS4(1929)年。最近の定礎板は竣工年を刻むことが多いが、これは定礎本来の意味で起工年を刻んでいるようだ。



布引橋
(不詳/S14/RC?/文化財指定なし?)

(2009.5撮影・使用カメラ:RICOH GR DIGITAL II)

そして、今年撮影した画像も。








旧池長美術館(南蛮美術館等を経て現神戸市文書館)
(小川安一郎/S13/RC3/神戸市景観形成重要建築物)



























帝国信栄本社ビル
(清水栄二/T11/RC3/文化財指定なし)











旧国鉄三ノ宮駅(高架下改札部分のみ現存)
(鉄道省/S7/SRC2/文化財指定なし)

(2005.1撮影・使用カメラ:RICOH Caplio R1)
外見に古い部分は見えませんが・・

東口コンコースに入ると、

柱には耐震補強らしいものが・・

以前はこんな感じでした。

(2005.1撮影・使用カメラ:RICOH Caplio R1)

そして今年5月、鉄骨は隠されていました。



こちらは昔の中央口コンコース

(2005.1撮影・使用カメラ:RICOH Caplio R1)

そして、今年5月


柱は耐震補強して太くなったようです。左の柱は旧状を示すため補強しなかったのだろうか?

なお、戦前の意匠が残っているのは高架下の改札口部分のみで、駅舎本体は残っていません。



旧阪神急行電鉄神戸駅(現神戸三宮駅)
(不詳/S11/RC?/文化財指定なし)
ホーム

(2008.1撮影・使用カメラ:RICOH GR DIGITAL)

西口

(2008.1撮影・使用カメラ:RICOH GR DIGITAL)


(2008.1撮影・使用カメラ:RICOH GR DIGITAL)



旧国鉄元町駅
(鉄道省/S9/RC?/文化財指定なし)

(2013.11撮影・使用カメラ:Nikon D600)


(2013.11撮影・使用カメラ:Nikon D600)
高架下駅の所為か、凝った意匠は見られません。


その2、JR山陽本線以南編につづく。


KIPON T&S NIK-S/E マウントアダプター(ティルト&シフト機構搭載)試写

2018-09-07 22:37:29 | カメラ

以前、超広角15mmレンズで35mmフルサイズ撮影したものをトリミングすることによって得られるアオリ効果について
『Voigtländer SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 ASPHERICAL III E-Mount【その1】(アオリ操作をせずにアオリ効果を得る!の巻)』
『Voigtländer SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 ASPHERICAL III E-Mount【その2】(まるでシノゴとジナーズームで撮影しているようだ!の巻)』
の2回に渡って説明したが、
今回は35mmフルサイズのイメージサークルを持ったNikon FマウントレンズをAPS-Cサイズのイメージセンサーのカメラに取付けてアオリ撮影しようという試み。
PC内でトリミング作業をしなくて済むというメリットがある。

KIPON T&S NIK-S/E は、シフト2方向(撮影時には1方向)、ティルト1方向のアオリ操作ができる。シフト1方向、ティルト1方向の複合アオリ操作も可能。なお、アオリの方向を変えるためにレボルビング機能があり、マウントアダプター自体を360°回転させることが出来る。30°ごとにクリックがあるので、12方向にアオることが出来る。
トリミングによるアオリ効果の場合は上下いづれかと左右いづれかの組み合わせで2方向の複合シフトアオリが出来たがティルトアオリは出来なかった。それぞれ、一長一短がある。正式なTSレンズを購入せずにアオリ効果を得ようというのだから制約があるのは仕方ない。


シフトは最大15mm。結構大きくシフトできる。


ティルトは最大12mm。


今回使用したカメラはAPS-Cサイズのイメージセンサーを持つSONY NEX-6。レンズはAi NIKKOR 20mm f3.5S。35mmフルサイズに換算して約30mmの画角になる。


建築撮影の基本、水平垂直を出して撮影。有機ELパネルの電子ビューファインダーは水準器を表示できるので便利だ。

アオリ操作をしていないので、当然上部は切れてしまう。

上方向にシフトアオリして撮影。

フルサイズのイメージサークルの中央近くを使って撮影するので、画質的に有利だ。

更に、ティルトアオリも加えてミニチュア風写真を撮影。このようにシフト・ティルト各1方向の複合アオリ操作も可能だ。

被写体は網干神社拝殿。江戸中期の造営と聞く。小品ながら千鳥破風と唐破風の組み合わせが豪華な建築である。

今度は縦位置で上方向にシフト。縦方向は、イメージサークルの端に近いのでアオリ量によっては蹴られてしまう。

塔を画面の中央に入れて歪みなく撮影しようとしたが、引きが足りなくてアオリ量が大きくなってしまった。

そこで、少し引いてアオリ量が少なくなるように撮影。

塔が中央に入らず、歪んでしまった。トリミングによるアオリ効果の場合は塔の歪みは修正できるのだが・・・

画質的に有利とはいえ、古いレンズなので撮影原寸に拡大すると色収差が出ている。

これは、大判ポスターのように原寸で見ることが無ければ問題ない。

次に左へティルト操作して、塔にピントを合わせてミニチュア風写真を撮影。

おやっ、塔が逆方向に歪んでしまった。ということは、左ティルトは左シフトと同じ効果があるということになる。

この効果を逆手にとってティルト量を調整して塔屋の歪みを修正。
ドーム部分の形が斜めに歪んでいないのがお分かりいただけると思う。
めいっぱい絞って(f22)パンフォーカス撮影することによってミニチュア効果を排除している。

被写体は旧網干銀行本店。姫路市網干地区の最も優れた意匠の近代建築で、ランドマーク的存在。

アオリ操作は奥が深い!


工楽松右衛門旧宅旧宅とその周辺(高砂市)

2018-07-18 06:29:28 | 近畿

工楽さんの邸宅が修復されて一般公開されたと神戸新聞などで紹介されてたので行ってきました。

前回訪れたのは24年前。当時、工楽松右衛門のご子孫で少し偏屈な文人という感じのご老人が住まわれていたと思う。
工楽家は棟方志功らとも交流があり、文化人のサロン的な役割を果たしていたと聞いている。
恐らくそのご老人がそうだったのだろう。

※工楽松右衛門(くらくまつえもん)(1743〜1812年)
高砂市生まれ、江戸時代の発明家、実業家。兵庫(現在の神戸市兵庫区)で廻船業を経営。帆布(松右衛門帆)を発明、さらに築港工事法を考案し、択捉島の埠頭や箱館のドックを築造した。

その工楽松右衛門が故郷に錦を飾る形で大邸宅を構えたという事だろうか。



使用カメラ・レンズ
1.SONY α7・Voigtländer SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 ASPHERICAL III E-mount・2018.7.16撮影(印なし)
2.Nikomat FT3・1994/5/8撮影(☆印)



工楽松右衛門旧宅旧宅
(不詳/江戸後期/木2/高砂市指定文化財)




☆1994年5月

24年前は黒漆喰。この工楽邸に限らず、黒漆喰の町家が修復されると白漆喰に変更されることが多い。
その理由を考えるに、
1.太平洋戦争中に黒漆喰に塗り替えられたもので、元は白漆喰だった。
2.白い方が美しく映えるので白漆喰にした。
恐らく、1.の理由が多いのではなかろうか。資料や写真が残っていて元々は白かったと立証されているのだろう。
しかし、単純に2.の理由で塗り替えられることもあるだろう。文化財指定による制約が無ければ、基本的には持主の自由裁量である。







☆1994年5月

船板を壁板に再利用している。
近江の古い町並みでいくらか見たことがあるが、播州では他にあっただろうか?

庭から母屋を見る。

元はどうだったか分からないが、朽ちた蔵や庭木は撤去されたのだと思う。
一度荒れた庭を元に戻すのは至難の業であり、維持管理のコストを鑑みてこのようになったのだろうか。

「石の宝殿」?



何故こんなものを造ってここに置くことになったか今一つ分からないが、日本三奇のひとつ「石の宝殿」の精巧な模型がある。材質も本物の竜山石である。
やっぱり、ブラウン管のテレビを模ったようにしか見えない。

これより、建築内部一階
土間












庭蔵




(手前より左へ)中の間、次の間、だいどこ、右奥に9帖の間


だいどこ

名栗加工の床。これは亀甲模様の「亀甲なぐり」。名栗というのは本来殴りではないかと思うが、どうだろうか?
名栗加工は「ちょうな」で削り出す古来からの技法。「かんな」が発明された後はあまり見られない。

(手前より右へ)次の間、中の間


9帖の間の押入れ

据付の箪笥という感じだ。

座敷8帖


座敷8帖から座敷6帖を見る


階段の窓

二階に洋室があり、この窓も明治以降の改装部分だろう。

これより二階
洋室(1)


洋室(2)


6帖の間(庭蔵の真上)


工楽松右衛門旧宅旧宅西側の南堀川復元模型


上の模型を踏まえて・・



邸宅の目の前に南堀川(人口の運河)の船着き場があったということですね。

少し西から遠巻きに工楽松右衛門旧宅旧宅を見る。

現在、南堀川はこの道の所まで埋め立てられているが、、

道の西側には運河が残る。


☆1994年5月

現況では無くなっているが、古い倉庫建築がある。元米蔵だろうか?

運河の右(南)の建築

これも、元米蔵だろうか?

☆1994年5月


工楽松右衛門旧宅旧宅より東の街並みを少し見てみよう。


工楽松右衛門旧宅旧宅すぐ南の町家


☆1994年5月

現況とあまり変わりない

工楽松右衛門旧宅旧宅表通りの街並




工楽松右衛門旧宅旧宅すぐ北の屋敷

三連蔵のある大きなお屋敷だ




このお屋敷では三連蔵のみ兵庫県景観形成重要建造物に指定されています。



これが表玄関のようだ


そして、全体像。


旧高砂銀行本店
(不詳/S7/RC2/兵庫県景観形成重要建造物)








☆1994年5月


なお、高砂市内の近代建築群は過去記事『高砂市の近代建築』で紹介しています。


旧ハリヤー邸(うろこの家)

2018-05-28 01:10:19 | 近畿

2018年2月某日及び5月某日、神戸(中央区+α)でVoigtländer SUPER WIDE-HELIAR 15mmによる近代建築撮影を行いました。
3回に分けて物件紹介をするつもりですが、旧ハリヤー邸(うろこの家)は内部を含めて多数撮影したので単独で紹介します。

使用カメラ・レンズ:SONY α7・Voigtländer SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 ASPHERICAL III E-mount
今回は5月撮影分です。2月撮影の写真は有りません。


旧ハリヤー邸(うろこの家)
(不詳/M38頃・T年間移築/木2/登録文化財・兵庫県指定住宅百選)

建築を見せるのが第一目的ではないので、庭にはアート作品があります。

塔屋見上げ

スレート一枚一枚の色艶が違うのも趣きです。昔の瓦屋根も同じ趣きがありますね。

西面外壁

ステンドグラスが入っています。不自然に飛び出したコンクリートは何?

入り口

塔屋の真下です。

玄関入って北向きに撮影。

玄関入るとすぐに階段。

振り返って玄関を撮影。


一階南西の部屋南西の壁。

外から見えたステンドグラス。そして、コンクリートの正体は暖炉。(煙突は撤去されています)



南のステンドグラス


北のステンドグラス

ステンドグラスは新しいかな?

同じ部屋、玄関の方を向いて南東の壁。

西洋アンティーク好きにはたまらない調度品だと思います。
門外漢なので詳しくは分からないですが、茶箪笥にあるロイヤルコペンハーゲンのイヤープレートなら、自分の誕生年のを持っています。

一階北西の部屋北西の壁。

更に凄そうな食器類が展示。

一階南東の部屋。売店です。

売店なので撮影禁止ですが、お願いしたらバーカウンターだけ撮影させてくれました。
部屋の北西に設置されています。ハリヤー氏が設置したのでしょうか?


ワイングラスを引っ掛ける所があるので、間違いなくバーカウンターですね。

二階北側の廊下から南向きに撮影。


二階南西はL字型に廊下が続いた形でサンルームになっています。


二階北側に東西の部屋を結ぶ細い廊下があります。


二階南東の部屋北東の壁。

調度品が素晴しい。

同じ部屋南東の壁。


二階南西の部屋南西の壁。

執務室?

同じ部屋北側の壁。

書斎ですかね。

二階北西の部屋北西の壁。


同じ部屋北東の壁。

東の部屋につながる細い廊下とステンドグラスが見えます。

二階北東の部屋南東の壁。

寝室でしょうか。

左隣は「うろこ美術館」1982年に開館した新しい建築です。

30年ほど前の神戸市景観ガイドラインの冊子には「伝統的な建物の象徴的意匠を安易に模倣することは避けるべきです・・・」と評されています。
伝建地区外なので、このような建築を造ることが出来たのだろうと思います。

何故か、庭に電話ボックスが・・・

ロンドン旧市街で実際に使われていたものだそうです。
神戸にも、この建築にも、何のゆかりもない展示物・・・

神戸北野の異人館は、純粋に建築を見学したい人にはちょっとキビシイ場所とも言えます。

では、次回以降3回で神戸の近代建築を紹介します。


さよなら『ヤマトヤシキ』

2018-03-10 18:20:20 | 近畿

2018年2月28日、ついにその日が来てしまった。
全国的に見ても閉店相次ぐ地方老舗百貨店が、また一つなくなった。

『ヤマトヤシキ』は姫路中心市街地の象徴的存在だったが、時代の流れには逆らえず閉店。
店内改装などのテコ入れをしていたのに、いきなりの閉店発表だった。

戦後竣工ながら貴重な村野藤吾設計の百貨店建築が無くなるのは惜しい。
2月某日、最後の姿を見ておくためにカメラを持って姫路に出かけた。


使用カメラ・レンズ
1.SONY α7・Voigtländer SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 ASPHERICAL III E-mount 2017.12撮影(印なし)
2.SONY α7・FE 28-70mm F3.5-5.6 OSS(★印)


旧やまとやしき(現ヤマトヤシキ姫路店)
(村野藤吾/S26・以後増築あり/SRC8/文化財指定なし)

姫路城をバックに



大きな塔屋が特徴的だ


大手前通り側、南西から見た全景


塔屋の窓枠には粋なデザインがある。



壁面はパネルで覆ってあり、建築当初のものではない


御幸通り側、南東から見上げると建築当初の壁面が見える


右の低い所が第一期工事部分


神戸新聞に掲載された第一期竣工当時の写真と見比べると、窓枠や壁面目地のデザインに当時の物が遺っている。

そして上の高い所がおそらく第二期工事部分。壁面目地デザインが第一期工事部分に合わせてある



御幸通りを東に抜けて見る



竣工時の壁面が遺る部分。増築を重ねたせいか、複雑な構造になっている



御幸通り南側入り口



御幸通り北側入り口



大手前通り側北の壁面


大手前通り北側入り口



大手前通り南側入り口の回転扉



大手前通り側南端の看板



大手前通り側南の壁面


御幸通り南側入り口の看板



案外、あっさりした文面



子供のころは入店すると天井が眩しく感じた



エレベーター



旧ロゴが入ったエスカレーターの調度品



店内の様子



8階食堂街エスカレーター壁面装飾



8階食堂街柱装飾タイル



8階食堂街柱装飾パネル



8階食堂街窓枠、ヤマトヤシキの頭文字Yを模っているようだ


かつては大食堂だったはずなので、これらの装飾は近年の改装によると思われる。だとすると、村野さんのデザインではないのか・・

屋上出入口、塔屋の窓枠デザインと同じだ


かつては屋上で観賞魚を販売していた。

大手前通りの整備が進むが、その完了を待たずに町の顔ともいえるヤマトヤシキは閉店する

名残惜しいが、これでお別れだ


旧水井家住宅(姫路市網干区)

2017-12-24 16:08:18 | 近畿

「網干ロマン街道めぐり」で内部公開されていた旧水井家住宅 をご紹介する。
こちらは純和風建築だが内部を見ると、すぐ近くにあり先に建った山本家の影響を受けているように思う。


使用カメラ・レンズ;SONY α7・Ai NIKKOR 20mm f3.5S・2017.11撮影


【2019.7.17 写真追加】
2019.7.6撮影分の写真を追加します。追加分には☆を付けます。

使用カメラ・レンズ;SONY α7・Voigtländer SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 ASPHERICAL III E-mount


旧水井家住宅
(不詳/T11/木2/姫路市都市景観重要建築物等)

【外観】
全景

戦前には材木問屋であったという。

少し引いて全景

道路付け替えで、向かい側の街並が失われたのが残念だが旧水井家住宅は上質な建築だ。
左奥電柱の向こうに山本家の望楼が見える。

ちなみに、この空き地には染物屋と土蔵があった。

(カメラ;Nikon FA・1996/8/9撮影)
古い写真を整理するまで、染物屋のことはすっかり忘れていた。

土蔵


主屋





内玄関


応接間窓台の格子


前庭から裏庭への入り口扉


【内部】
中玄関の梁


表玄関より南西向きに応接間、前室、客間10畳


客間10畳西面


客間10畳仏間上の欄間


客間10畳北西面

客間10畳北の縁側


客間10畳南面欄間


客間10畳の西仏間内部


左に躙り口のような入り口があり、そこからお坊さんが出入りしていたという。

客間10畳の西仏間天井


格天井になっています。

客間15畳北西面


客間15畳西面


客間15畳脇床

立派な花頭窓(火灯窓)がある。

同上


客間15畳床天井

客間15畳南の縁側


同上


縁側南西角の床


縁側南西角の天井


洗面台

タイル張りは先に建った山本家の影響を受けているのかも入れない。

階段


土蔵への入り口?

位置的に見て表の土蔵に通じる出入り口かと思われる。

客用浴室

山本家のように大理石というわけにはいかないが、当時としては立派のものだと思う。

客用浴室天井

天井は中央が高くなり、湯気抜きがある。

表庭



2階客間15畳南西面



2階客間15畳南面襖


素晴しい障壁画。

2階客間15畳西面脇床



2階客間15畳南面欄間


浅野家と同じ家紋「丸に違い鷹の羽」

2階前室南面の欄間


茶道具一式が彫られている

各所の襖引手








初めて2階を見ましたが、大変素晴らしい内装です。
しかし雨漏りで傷んだ部屋もあり、早急な対策が必要です。


※表題写真のみ 使用カメラ・レンズ;SONY α7・Voigtländer SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 ASPHERICAL III E-mount・2017.12撮影


【余談ですが、カメラ・レンズのはなし】
Ai NIKKOR 20mm f3.5Sは1982年発売。設計は1979年発売の非Sタイプレンズと同様で古いレンズだ。
今回掲載した写真からも分かると思うが、直線で構成された和室内部を撮影すると単焦点レンズと云えども収差が目立つ。
特に、座敷を真正面から写した写真に樽型収差が確認できる。

Ai NIKKOR 20mm f3.5Sで山本家・水井家を撮影後すぐに
Voigtländer SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 ASPHERICAL III E-mountを購入したのはそういう事情だ。

更に、SONY Eマウントのフルサイズ化は設計上無理をしているので、
周辺部が蹴られないようにイメージセンサーを少し歪曲させてあるという怪情報もある。
すなわち、専用に設計されたレンズでないと歪んでしまうというのだ。
これは、通販サイトか何かの口コミに書き込まれていた内容なので信ぴょう性に問題があるが、
Eマウント専用のレンズを選んだ理由でもある。


旧山本家住宅 2017

2017-12-24 01:47:32 | 近畿

「網干ロマン街道めぐり」とVoigtländer SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 ASPHERICAL IIIの試写で再撮影した旧山本家住宅の画像。
前回の画像はSONY α7のオートホワイトバランスの微調整設定が一番右(赤味をプラス)になっていて色がおかしかったので再撮影したという事情もある。
そもそも、そんな設定の存在も知らず触った覚えもなっかったので、SONYのカメラは色の味付けがおかしいと思っていた。
結局1年近く設定が狂っていることに気付くことが出来ず、その間、色がおかしい故にα7は殆ど使っていなかった。

※前回の記事はこちら
『旧山本家住宅(姫路市網干区興浜)その1』
『旧山本家住宅(姫路市網干区興浜)その2』


使用カメラ・レンズ
1.SONY α7・Ai NIKKOR 20mm f3.5S・2017.11撮影(★印)
2.SONY α7・Voigtländer SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 ASPHERICAL III E-mount・2017.12撮影(印なし)


【外観】
道路から見た外観(北西より見る)

右側町家は主屋。

道路から見た外観(北より見る)


道路から見た外観(北東より見る)


正門裏手建仁寺垣



洋館玄関前敷石


少し曲面になっているのは擦り減ったのではない。手間を掛けて加工している。

洋館玄関唐破風

銅張の唐破風。洋館とはいうものの、和風の要素が多い建築だ。
洋風の要素は、玄関扉、下見板、鎧戸くらいでむしろ少ない。

洋館正面見上げ



洋館左側面見上げ(東より見る)



洋館裏ステンドグラス



離れ和館北面


窓格子も手間を掛けたいい仕事だ。

離れ和館と洋館裏面(南東より見る)


屋根は寺の本堂のようだ。

庭園



【洋館一階内部】
玄関床

大理石のモザイク。

玄関天井

漆喰装飾。

応接室前廊下天井

また漆喰。

応接室北東面

ボロになっているが、重くて高級そうなカーテンが印象的だ。

応接室天井


漆喰装飾が美しい。灯具も素晴らしい。

応接室南東面


応接室南面暖炉


大理石。

応接室北面床・壁

凝った文様の寄せ木張りの床が素晴しい。

応接室西面壁

独特な木目の楓の板材。

書斎前廊下

レッドカーペットに隠れているが、床は寄せ木張りだ。

書斎前廊下天井



書斎北東面


書斎東面ステンドグラス

曲芸のような意匠が面白い。

書斎北面本棚

机とセットになった意匠。

書斎南面ステンドグラス

燕、鶏頭、桔梗など初夏を思わせる意匠だ。

書斎西面鏡台


書斎南面机



書斎西面ドアノブ


書斎天井

漆喰装飾が細かい。

金庫室西面

床は近年の張替え。床(トコ)があるので畳の間だった可能性も考えられるが、どうだったのだろうか?

南廊下硝子窓から離れ和館を見る

硝子一枚一枚に面取りがある。単なる板硝子ではない。

南廊下(西より見る)

天井の曲面が素晴しい。

【付属屋・離れ和館内部】
便所前廊下

窓の組子が軽快なリズムを奏でる。便所前の廊下も手抜きがない。

便所北西面

便所といえどもおしゃれな灯具。

便所南面

大理石の下駄??

浴室横廊下(右に浴室、奥に洗面室)

どこかの温泉旅館で似たような天井を観たことがある。

浴室横廊下天井ステンドグラス



更衣室

近年まで実際に使用していたのだろう。窓と壁は入れ替えられている。

更衣室天井


浴室


浴槽

大理石だ。

浴室天井


洗面室南西面

洗面台の石鹸置き?らしいところがハート型。

洗面室南面

一面に貝合わせが貼られている。

洗面室天井


洗面室に折り上げ格天井(ごうてんじょう)。驚きの格式高い仕様だ。

洗面室東面ステンドグラス(外側より見る)

少女趣味な意匠だ。当主が娘さんのためにしつらえたのだろうか?
山本家には多数のステンドグラスがあるが、宇野澤組ステインド硝子製作所大阪出張所(後の玲光社)を設立した木内真太郎の作品だという。

南端和室6畳


和室8畳・和室6畳(南から見る)


東側廊下

床板は継ぎ目なく一本で通っているように見える。

和室8畳西面(右に和室6畳)


和室8畳西面


和室8畳天井


和室6畳西面


和室6畳天井


和室6畳北側廊下


【洋館階段室】
一階南東面(左に応接室、右に金庫室)


一階東アーチ(奥に応接室ドア)


一階床

寄せ木張りの床は各所でデザインが異なっている。

一階天井


一階西面


階段手摺主柱


階段手摺(下から見る)

手摺りに曲線が素晴しい。

階段手摺(上から見る)


列柱も手が込んでいる。

北西面大窓(二階から見る)

窓の木組みがシンプルで美しい。

二階天井

木材の天井。漆喰ばかりではない。

【洋館二階内部】
南西側和室6畳東面灯具・天井・欄間


南東側和室10畳北西面(奥に南西側和室6畳)


南東側和室10畳西面欄間


南東側和室10畳東面


南側廊下


南側廊下より離れ和館を見る

大覚寺の本堂大屋根も見える。まるで兄弟のように呼応している。

南東側和室10畳北面


南東側和室10畳灯具



南東側和室10畳床

床柱は黒檀だろうか?

南東側和室10畳床天井

誰も見ない所にも手を掛けている。

南東側和室10畳床組子障子

凝った組子だ。

北東側和室8畳南東面


北東側和室8畳南西面

詳しいことはわからないが、この床が最も高級な材を使用しているように思う。

北東側和室8畳床左側天井



北東側和室8畳床右側天井


二面とも網代天井だ。

北東側和室8畳西面欄間(奥に北西側和室6畳)


北西側和室6畳北面(窓外を見る)

窓から古い屋根が見える。周辺の街並も大切に保存してほしい。

北西側和室6畳北面猫間障子


北西側和室6畳猫間障子(北側廊下より見る)



北西側和室6畳北側廊下


【洋館三階望楼内部】
南東面

折り上げではないが、格天井(ごうてんじょう)だ。

北西面

三階手摺りの列柱も下が太くなっている。手間を惜しんでいない。

北西面窓外の景色

ちょうど双方の窓に古い甍が見える。この景観は守ってほしい。

北窓より姫路城を見る
(この写真のみ使用レンズ;Zoom NIKKOR Auto 80-200mm f4.5)

天守の最上層しか見えないが、建築当初はもっと見えたのだろうと思われる。

クド(おくどさん)




陶器製分銅


戦時代用品だという。

【主屋内部】
仏間4畳北面



仏間4畳北西面



座敷8畳北西面



南側廊下



廊下扉のつまみ


扇子を模っているようだ。こんな所にも遊び心がある。


※表題写真は洗面室(貝合わせの間)


姫路の近代建築 2017

2017-12-20 22:05:14 | 近畿

Voigtländer SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 ASPHERICAL III試写の一環で姫路の近代建築も撮影した。
以前紹介した物に加え、初出物件も含めて紹介したいと思う。

※以前の記事はこちら
『姫路の近代建築(その1)』
『姫路の近代建築(その2)』
『姫路の近代建築(その3)』


使用カメラ・レンズ
1.SONY α7・Voigtländer SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 ASPHERICAL III E-mount 2017.12撮影(印なし)
2.SONY α7・FE 28-70mm F3.5-5.6 OSS(★印)


白鷺橋
(不詳/S8/RC/文化財指定なし)

橋幅を拡げたせいか下部アーチ部分が少し奥に入っている。


欄干が黒ずんでいるのは空襲で焼け焦げた跡だという。


欄干の材質は高砂名産の竜山石。昭和初期に爆発的な人気を誇った石材。柔らかく加工がし易く、カラフルな色目が好まれたのだろうか。


空襲のせいもあり、石材の劣化が激しい。
ここまで、南側の欄干。

ここから、北側の欄干。

竜山石の基本色は黄だが、赤、青(緑)のものもある。
この欄干が赤いのは空襲のせいかもしれない。




国道2号線に架かる橋は立派なものが多い。


旧第三十四銀行姫路支店
(不詳/T6/煉瓦/文化財指定なし)

戦災で焼けた後、修復された。正面はモルタルで塗りこめられているが煉瓦造りだった。
















背面の様子から正面の旧状が想像できる。


旧姫路郵便局電話分室
(上浪朗/S5/RC2/姫路市都市景観重要建築物等)











アールデコ調の装飾が美しい。
それにしても、この台は何だろうか?










趣味の京染 山本
(不詳/不詳/木?/文化財指定なし)



デザイン的には戦前のように思われるが、空襲で焼け残った建築があったとは考えにくい。


旧やまとやしき(現ヤマトヤシキ姫路店)
(村野藤吾/S26・以後増築あり/SRC8/文化財指定なし)

戦後建築ですが、村野藤吾作品ということで掲載。






百貨店の品格を感じられる回転扉。