赤穂の加里屋に町家を改装した旅館が出来ると聞き、赤穂に行く機会があったので立ち寄ってみました。
5月30日開業なので、あと一週間ほどです。
外観は、黒漆喰壁に袖うだつがある二階家で、明治から大正にかけて建てられた商家です。
外見を見ただけで、傷んでなくて使える所は全て残すこと、新しく造り直す所も元の雰囲気を倣ったものにすること、の2点が徹底して守られていると感じられ、素晴らしい再生だと思いました。
外観だけ写して帰るつもりが、中にスタッフの方がおられたので概要を知るためパンフレットだけでも、と声をかけると、
パンフレットはまだ出来ていませんが見学しても良いですよ、という事で親切にも丁寧にご案内していただきました。
・ロビーおよび坪庭
落ち着いた雰囲気の北欧風のソファーやテーブルが町家の雰囲気によく合っています。
元は畳敷きだったものがフローリングに変更されていますが床の間は残され、掛け軸・屏風などの調度品は元々この町家に有った物を使うようにしているとのことです。
庭が白飛びしているので露出を変えてもう一枚
庭の右に見える離れは茶室と呼ばれる小部屋で宿泊者が自由に使うことが出来るそうです。左の離れは二階建てで丸ごと全てがこの旅館で一番大きい部屋になっているそうです。
・茶室
天井に何かついています。何でしょうかね?
茶室の窓から庭とロビーが見えます。
・更に、読書室と呼ばれる小部屋も自由に使うことが出来るそうです。
・左側離れの部屋『躑躅(つつじ)』
桧造りの内風呂
階段は造り直していますが、親柱のデザインは茶室の天井に見られる意匠に合わせて造られています。
細かい所にまで気を配った復元であると感じました。
階段を上って2階はフローリングの寝室
掛けてある巻物のような絵画はこの商家に有ったものを直したもので、天井や柱は少しシミも見える元のままに再利用していて、釘隠しも残っています。古い物の侘びた感じも生かされていて、本当に素晴らしい再生だと思います。
窓からは花岳寺が見えます
・主屋に戻って1階土間
この『蘇芳(すおう)』という部屋は開業前の最終工事中でした。
作業されていた方に、旅館として再生することになった経緯等お話を伺うことが出来ました。
そして、主屋2階には3部屋あり、計5部屋の旅館という事になります。
では、2階の部屋をひとつづつ見ていきましょう。
・表に面した1つ目の部屋『紅緋(べにひ)』
明るくて広い部屋です。
・裏に面した大きい方の部屋『撫子(なでしこ)』
写真では分かりにくいですが、波打ちガラスです。
壁に段差がありますが、、
防音材を入れたとのことです。言われなければ気付かない、絶妙な処理だと思いました。
2階の風呂はユニットバスですが、壁面は天然木で雰囲気を壊さないよう気配りされています。
・廊下に大きな屏風があり、おもむろに開いて見せてくれました。
この商家に有った絵を集めて屏風に仕立て直したもので、
こちらの猿の絵は、
花岳寺の天井画だったか障壁画だったか(聞いたけど失念)を描いた人の作品だという事です。
その土地の歴史的文化財を大切にし、それらに再び光を当てる。本当に、素晴らしいことですね。
・裏に面した小さい方の部屋『銀朱(ぎんしゅ)』
小さい部屋ですが天井が高く開放感があります。
そして、この部屋の風呂には、、
扉があり、
ベランダに出ることが出来ます。
ベランダから旅館の離れと庭、花岳寺が見渡せます。
離れの屋根は、重厚な本瓦葺きで建築当初の瓦のようです。新しい瓦に吹き替えてしまうと、綺麗になり過ぎて侘びた雰囲気が損なわれますが、そうならないよう、出来る限りの気配りがされた再生だと思います。
・主屋1階食堂、ダイニング『GOKAN』
食堂は表通りにに面しています。
突然の訪問にもかかわらず、ご案内有難うございました。
こちらのURLが旅館の紹介ページになります
https://www.ako-syokichi.com/co_navi/article/080a8f2d0e1a8e231c9b2921-231.html
私が住んでいる網干の古い建築も、このような素晴しい再生で後世に残れば良いと思います。
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