SCIENCE AGORAに初参戦。
JSTでお馴染みの、科学技術振興機構のイベントです。
昨日の11/09に日本科学未来館で開幕し、
土日はテレコムセンターに会場を移しての開催
と言う事だそうです。
まずは、午前に開催されるセミナーに参加する予定だったのですが、
「0945に受付開始」と、事前受付メールに書いてあるにも関わらず、
テレコムセンター1Fの総合受付に行くと、「受付開始は10時です」と言う
ちぐはぐな対応。
スーパーバイザー的な人だけ、事情を把握している様で、
セミナー参加者は10時前に優先受付と言う扱いの様でした。
アルバイトを雇ったのかもしれないけど、きちんと教育してね。
ま、でも言う程のトラブルでも無く受付終了し、セミナーへ。
セミナーは
「Society 5.0 における学びとは?~AI技術は学びをどう変えうるのか」
と言うもの。
と言う内容です。
セミナー講師はこういう方々。
前半に、講師の方々によるショート講演を行い、
後半に、ディスカッションと言うスケジュールだそうです。
トップバッターは、NTTの柏野さん。
スポーツ脳科学で有名な方ですね。
講演で面白かったところは、こんな感じ
- 日本女子ソフトボールチームの強化に関係しているが、中身は言ってはいけない事になっている。MLBも強化に関係しているが、契約でどこのチームか言ってはいけない事になっている。
- 研究所の地下に、ソフトボールや野球の選手に実際に動いてもらえ、データを取ることが出来るスマートブルペンがある。
- 運動選手が上達するには、相手選手の事も選手の成績と言う事には関係してくるので、自分の技能を上げるだけではダメ。
- この研究では、スポーツ選手の感覚と言うものは、本人も意識していないくらい潜在的。主観と客観のズレや選手とコーチのコミュニケーションの壁と言うものもあるので、潜在を顕在化することを行っている
- スマートブルペンでVRを使って、ソフトボールのストレートと変化球のフォームを入れ替えたりすると、打者は打てなくなる。
- 選手の動きを、何秒か遅らせた遅延映像を選手自身が見る事で、選手は自分の状態が把握できて、改善点を知る事ができる。
- 野球のピッチングでの例。ビデオだと、ピッチャーのフォームの形はわかるが、どこで力を入れるかと言う事がわからない。そこで、投球動作の際の筋活動を音に変換して聴かせている。草野球程度の選手は投球動作全体で力んでいるが、プロは、ここは力を入れるところ、ここは力を抜くところと、力の入れ方にメリハリを付けた動作を、一連のピッチングの中でしている。
- 将来は自律的トレーニングになるだろう。選手が、自身の問題意識を、ICTを活用して科学的に検証。指導者の役割は、データと読み解いて選手に通訳、トレーニング選択肢の提示などになるだろう
二番手は、明治大学の五十嵐さん
手芸とか、ハンドメイドのものに対して、ICTを活用したアプローチをしている方
面白かったところは、こんな感じ
- オリジナルな手芸作品作りでは、型紙作成が難しい。だいたい市販しているものを購入して使う事が多い
- PCでマウスを使ったり、ペンタブレットで作りたいものを書くと、わたを入れた後の状態を考慮した手芸の型紙を出力するアプリを作った。また、作品の状態のシミュレーションもできる・これにより、専門家が作った型紙を縫うだけではなく、自分のデザインを容易に縫う事ができる
- ビーズは、単なる三次元ではなくて、ビーズを糸で結んで形状を作っていくので、手芸以上にデザインが難しい。同じ大きさのビーズであると言う前提で、手芸のアプリの様な、最終形状を描くと、ビーズのパターン図に起こす事ができるアプリを作った
- 子供が自分でやっているところに親が介入して教えてしまうと、子供は自分で考えることを止めてしまい、親が教えたそのままになってしまう。しかし、子供のやっているままやらせ続けると、何でそうなるかを子供が自分で考えさせるきっかけになる
- 親が教えてしまうと、子供の発想力が伸びない
- プログラミングは、発想を育てる道具。プログラミングスキルを磨く事が目的ではない
三番手は、京都大学の緒方さん
LMS(Learning Management System)と呼ばれる学習管理システムの研究者の方
元々は九州大学にいた方だそうです。
面白かったところは、こんな感じ
- コンピュータが教育に入ると、学んだ事、教えた事が全て記録する事ができる。ラーニングアナリティクスが出来る
- 電子化された教材や教科書を使う事で、学生の知っている事、知らないことを自動的に知識状態モデルを作る事ができ、知識状態により学生をペアリングしたりする事もできる
- 出席状態や、学習状態も管理できるので、成績が芳しく無いとか、出席がよろしく無いとかの場合、LINEで連絡するなど、学生に連絡がやりやすくなる
- 大学一年の場合、異なる高校から来ているので、集団としてどこを知っていて、どこを知らないか知識状態を把握する事ができる。それにより、教える内容、教材を整える事ができる
- 海外では、LAを導入する事で、成績下位者の成績が向上し、成績中間層が増したり、成績の芳しくない学生に介入する事で、成績を向上させたりできている事例がある
- 日本で、全学的なLAを導入しているのは九州大学だけ
- 教育現場のICT環境が整備されていない、国全体での教育データを利活用する仕組みがないとか、データに基づく教育カリキュラムの策定や、そのための教員の養成と研修を行う必要があるとか、データやエビデンスを長期的に蓄積して行くための継続的な予算措置が必要・・などの諸課題がある
最後の四番手は、
日本オープンオンライン教育推進協議会常務理事・事務局長で、
明治大学の福原さん
JMOOCの推進元の方ですね
面白かったところは、こんな感じ
- 海外の事例として、Curtin大学。アジア太平洋地区で最も先進にデジタル化が進んだ大学。講義はデジタル化され、87%のコースは反転クラスに転換。そう言うクラスでは、オンラインで学んだことを、教室でディスカッションしてより理解を深めると言う様な事を行っている。
- Minerva大学。全ての授業がオンライン化。合格率が1.9%と、世界でも最難関の大学。授業では、学生の顔がビデオで共有されるような仕組みなっているが、それぞれの学生がディスカッションに参加しているかorしていないかと言う事が教員にわかり、消極的な学生に対して教員がファシリテートする事が出来る様になっている。
- MOOCは海外の方が進んでおり、コンテンツも英語のものが多いが、AIがMOOCに取り入れらる事で、そう言う沢山ある海外のコンテンツを翻訳して利用する事が出来る様になるので、日本に居ながら、日本語で世界中の様々な学習者と交流する事が出来る様になる
この後は、ディスカッション。
- インタラクティブ性は、ドンドン増してきている。教師や、コーチが方向性を決めて強制するのではなく、ファシリテートして、学びをアシストするようになる
- 過去、現在含め、情報が多い。そんな状況で、(特に子供は)気づく事が難しい。教える側は、気付き、学びのきっかけを与える事が役割に。
- 自分のデータを取る事ができる時代。気付きを与える役割は大きい。
- 世界と比較をしてみると、日本の場合、提供側の論理に陥っている。本来、学んでいる人の成長に合わせ学びの側に寄り添うべき。教えると言う考えから、学びをencourageすると言う方向に変わっていくべき。
テーマ「新しい教育を行う上で、教育環境、ICT環境について、コストも含めて、新しい教育環境をどうやって整備して行くべきか。いまの、机を並べる形態が良いのか?」
- センサを張り巡らせるのは、たしかにどこのスポーツクラブ/チームでもできるわけでも無い。今はトップ層をやる事で、何をやるとわかると言うことを試している段階。将来は、松竹梅のように、目的、コストに合わせて、選べるようになって行くと思う。
- デジタル黒板が導入されていても、使いこなされていない。一方で、ジグソー法を取り入れて、上手くやっている教育現場もある。
- 幼稚園から大学まで含めると42000くらいの機関がある。一気に全てにICTを入れることはできないので、どうすればどうなるかと言うエビデンスを示して、情報を共有すると言うのが大事。
- 日本の場合、環境整備はハードウェアに偏りがち。アプリケーション、使い方を開拓していくと言う取り組みも大事。お上にお任せと言う事では、上手く行かない。民間の取り組みも大事。
- リカレント教育へのMOOCの取り入れと言う観点もあり、企業でのMOOC活用の事例としてDENSOがある。全社員に対する健康と学びの施策で、JMOOCを取り入れる。約50000程度の社員数に対して、登録アカウントは40000くらいある
テーマ(結び)「Society5.0の学び?」
- 学ぶ側の主体性、自主性というのは、やはり必要
- 幅を広げるというのは大事。理系文系ではなく、文理融合型と言う時代。
- 日本は、資源がない国なので、人材育成が大事。人材育成を社会全体で語る事が大事
- 東南アジアでは、学びたいと言う要求は大きいが、コンテンツが少ない状況。学ぶ事で社会は変わるので、学び疲れの日本でも、学ぶことの重要さを再認識する事が大事
テーマ「多くの教育のシステムは、明治維新後、座学中心に作られたのが、今まで踏襲されてきている。しかし、いまでは、一人一人に合わせた教育ができる環境ができている。教師やコーチの役割が変わってきているのでは無いか?」
あまりAIとの関連は見られませんでしたが、内容的には興味深かったです。
ランチの後の午後は、展示物を見学。
どちらかと言うと、科学に子供を親しませようと言うのが意図ですかね?
そう言うワークショップ的な企画が多かったです。
大学の研究室や、高校の科学部みたいなところの展示もあって、
一種の文化祭的な雰囲気もありました。
意外に面白かったです。