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20181124 大人の社会科見学 vol.47@JAXA金井宣茂宇宙飛行士講演会「未来に開く きぼう の扉」@大妻女子大学

この数日、講演会ラッシュですが、今日も講演会。
先日、ISS長期滞在ミッションから帰還した、
金井宇宙飛行士による講演会です。

いやぁ、本当は、JAXA主催の帰還報告会があって、
そっちに行きたかったのですが、スケジュールが合わず断念。
その代わりと言っては何ですが、
偶然発見したこちらの講演会に参加です。

場所は、大妻女子大大妻講堂。
女子大への潜入ですよ(笑)

行って見ると、道から直ぐ入れるところに講堂は位置していました。
女子大の奥深くへの潜入はできませんでした(笑)
残念。

受付とか、会場案内、会場での司会は、大学生が実施。
学生主体に運営なんですね?
110周年記念事業なので、学生の企画と言うより、
学校法人側の企画の様な気もしますけどね?
だからか、大学生だけではなく、
付属の中学・高校からの参加者もいました。
数としては結構多かったです。

中学・高校生&保護者席と、大学生席、
そして、その他の一般席(大学生保護者含む)と
あったんですが、一般席が座席数としては一番多く、
次に中学・高校生&保護者席、大学生席は、ほんの少し。
場所は大学なんですけどねぇ。
まぁ、宇宙飛行士は、理系の人しかなれないので、
文系主体の大妻女子大学の学生の興味は引けなかったのかな。
中学生、高校生は、その後の進路次第で、いかようにもできるしね。
実際、中学・高校席は、結構いました。

時間になり、初々しい学生の司会で講演会開始。
まずは、学長挨拶があって、いよいよ開始です。

ダイジェストで以下の感じです。

    [金井宇宙飛行士講演]
  • 国際宇宙ステーションISSは、地球上空400kmに浮いている。地球一周は90分。ISSの大きさは、太陽電池パネルまで含めるとサッカーフィールドと同じくらい
  • ISS建設には、昔あったアメリカのスペースシャトルで、部品を一つ一つ打ち上げ、宇宙空間で組み立てた
  • 日本の実験棟「きぼう」があり、管制は筑波宇宙センターで実施。そのほか、ISS参加各国の実験棟もある。
  • 実験装置に点滴の様なバッグから水を補給する際、人がクルクル回って空気を片方に寄せて、実験装置に入らない様にする。
    プレゼン自体は、30分ほどで終了。随分とショートです。

    [生徒、学生によるインタビュー]
    Q:宇宙での実験は、私たちになにをもたらす?
    A:無重力を使う事で、地球ではできない実験ができる。例えば、たんぱく質の綺麗な結晶とか。それを地球で分析すると、たんぱく質の性質がわかり、創薬とかにつながる。地上の実験室の延長として宇宙の実験室があると考えてもらえるとよい。

    Q:民間人の宇宙旅行について
    A:宇宙は、そんなに特別なところでは無い。宇宙飛行士として訓練を受けたが、それは、非常事態に対処したり、実験したりするため。宇宙に行って帰ってくるだけなら、訓練は不要では?

    Q:漫画宇宙兄弟で、宇宙空間でのトラブル描写あったが?
    A:たしかに、宇宙への飛行は、安全が完全に確保されているわけでは無い。だからこそ、宇宙飛行士は訓練を受けている。それにともない、民間人が宇宙に安全に行けるようにもなっていくだろう

    Q:医師経験は役立った?
    A:いろんなバックグラウンドを持った宇宙飛行士がいる。自分は、実験が好きだった、楽しかったが、医師経験が役立ったと思う。パイロット出身の人は、宇宙船の操作が楽しそうだったし、エンジニアは、宇宙船や実験装置の修理とかが好きそうだった。自分の得意分野で貢献し、苦手なところは、他の人に助けてもらうという役割分担で、宇宙飛行士のチームは成り立っている

    Q:海中と宇宙での仕事を経験されたが。船酔いと宇宙酔いは、同じ?
    A:前職では海上自衛隊の潜水医官だった。確かに、宇宙では宇宙酔いがある。気分は悪い。船酔いと同じように、酔い止めも効く。細かくいうと、宇宙酔いと言うのは、上下左右がないこと、無重力による体液シフトなどの影響で逆立ちして頭に体液が寄るのと同じ様な現象が起きるなどの理由による。そういう意味で、医学的には、船酔いと宇宙酔いは違う。

    Q:宇宙酔いを防止するための訓練は?
    A:ロシアには面白い訓練がある。ガガーリン以来の訓練で、回転椅子訓練。そこで、気持ち悪さを自分でコントロールしたり、どういう体勢をすれば気持ち悪くならないかなどの訓練を行う。これらは、打ち上げ直前に行った。また、足を上げてベッドで寝たりして、敢えて体液を頭の方に集めるような訓練もした

    Q:宇宙酔いしたか?
    A:人にもよるが、自分は大丈夫だった。酔い止めもあるし、訓練も受けている。

    Q:潜水艦と宇宙船は、どちらも、閉ざされて狭いと言う共通点があるが
    A:閉ざされて狭いと言う観点で確かに似ている。同じ人と顔を付き合わせて生活すると言うのも同じ。しかし幸い、ISSは潜水艦よりも大きい。また、電話BOXくらいの個室も持てるので、プライバシーは確保できる。そういう意味では、潜水艦にくらべると豪華だった。

    Q:潜水艦での経験は生きた?
    A:自衛官としての訓練成果は、非常事態に対処すると言う意味もあって、活きた。ISSで非常事態があっても、冷静に対処できると思った。幸いに、そう言う事態は無かったが。

    Q:大変だったと思ったことは?
    A:緊張はした。宇宙は、訓練とは違い実戦。ロボットアームを使って捕まえると言うのは、訓練では失敗しても実害はないが、本物で失敗すると大事故だし、大損害なので、緊張して操作するのは大変だと思った。

    Q:潜水艦よりプライベート空間があり、快適だったと言うことだったが、6ヶ月の思い出は?
    A:宇宙ミッションは過酷で大変なところもある。なので、ON/OFFのメリハリが重要。毎週金曜夜の夕食会をする事にして、ロシア側とアメリカ側で交互で、料理でもてなした。また、土曜夜は、ムービーナイトと言って、映画を見て楽しんだ。

    Q:宇宙での体験を一言で
    A:難しい・・・。好奇心。宇宙は、特殊な環境。だから実験をするが、地上で考える考え方では思いつかないことが起きる。宇宙をもっといろんな人が使うことで、イノベーションが起きるのではないかと思う。それが、宇宙ならではのおもしろさ。

    Q:SNSでの情報発信で、世界の風景夜景をUPしていた。ミッションの初期と後期では、写真の撮り方が違っていたと思ったが?
    A:写真は得意では無いので、あんまり技術的に変わったとは考えていないが。難しいと感じたのは、地球の美しさは変化にあると思うが(それを写真に撮る事)。季節、昼夜。そう言う変化は美しいと思うし、壮絶と思った。それを撮りたいと思ったが、なかなかできなかった。これは、宇宙に行って自分の目で見て欲しい

    Q:宇宙と地上の風景、どちらが美しい?
    A:比較ではない。自然の美しさは、宇宙でも地上でも感じる。差はないと思う。

    Q:夜景は、都市部ではどう言う動き?
    A:街の光は宇宙からも見える。昼は慣れないと地面の形がわからないが、夜になると、パッと光がつくのでよくわかる。中国も、中東も、美しい。不思議にも思う。

    Q:星の見え方は、宇宙と地上では違う?
    A:地上400kmなので、宇宙のスケールで考えると(ISSと地上は)同じ。ただ、宇宙は空気がなくて、星が瞬かない。また、ISSは速度が大きいので、見ているうちに、どんどん見える星が変わると言う違いもある。

    Q:食事は、何を食べた?
    A:チューブに入った宇宙食とかを想像するかもしれないが、いまの宇宙食は、食品技術がすごくて、パウチに入っていてそのまま食べられたりするものもある。コンビニの弁当と同じで美味しい。JAXAでは、宇宙日本食と言う取り組みを行なっている。ラーメンもある。バラエティに富んだメニューで、6ヶ月で飽きることはなかった。

    Q:宇宙食の条件は?
    A:保存が効くと言うこと。ミッション期間が長いので。あと、安全であること。腐ったり、カビたりしないこと。日本の食品加工技術は高い。

    Q:ミッションについて。アミロイドの実験を行ったようだが。
    A:アミロイド実験を行った。アミロイド線維を地上で作ると、対流の影響を受けるが、宇宙ではその影響がないので、綺麗な結晶ができる。アルツハイマーとか、糖尿病とかの治療や原因究明に繋がるとよいと思う。アミロイドの性質は、良く分かっていないので調べるために行った。基礎実験のレベル。

    Q:今後は、原因が究明されて、治療や創薬につながる?
    A:基礎実験のレベルなので、ゴールが見えてやっていると言うわけではない。まずは、現象を調べると言うところ。アミロイドそのものの性質を調べる段階。

    Q:人生を振り返って、学生や若者へのメッセージを
    A:実は、子供の頃から宇宙飛行士に憧れていたわけではない。医師には、なりたいと思っていた。医師になってみたら、国際協力をしてみたいとか、興味の分野が変わっていった。そうした中で潜水医官をしていて、宇宙飛行での医療の事に興味を覚えて、宇宙飛行士になった。目標があって、まっすぐ行ければ良いが、なかなかそういかないときもあるので、そのときその時の興味のある所をやっていると、その先に違う興味深い事、面白いことが見えてくると思う。

    [会場との交流タイム]
    Q:ドラえもんで、玉になった水が顔にくっついて窒息しそうになると言うエピソードを見てから、宇宙では水は玉になると言うので気になっている。洗顔はどうするのか?
    A:その通り、宇宙空間では、水は玉になる。顔に着くとスライムみたいになるので、危険と言えば危険。適量の水をつければ、洗顔できないこともないと思うが、通常は、洗剤のついたタオルで顔を吹いたりする。シャワーもないので、そのタオルで体を拭いて清潔を保つ

    Q:宇宙に行ったことで、命とか、生きると言う事について変わったことは?
    A:宇宙でできる医療行為は限られている。そういう観点で、健康な人を選抜して宇宙に送っているし、睡眠時間をきっちり取り、緊張感を抜く時間もとって精神的な安定も保つようにしている。そう言うことは、地上にいる人も同じで、同じようにしても良いことだと思う。

    Q:ISSで家族と話したり、メッセージを交換したりできる?
    A:そう言うコミュニケーションは重要。家族とは、週一回TV電話で話ができるし、ISSからは電話をかけることもできる。逆は出来ないが。また、Eメールもできる。

    Q:宇宙酔いになる宇宙飛行士は、どのくらいいる?
    A:半分もいないと思う。ただ、初めて行く人は、気持ち悪くなる人が多い。2回目、3回目になると、慣れるのか、あんまり気持ち悪くならない人が多い。ただ、無重量から地球に帰ってくる時は辛い。三半規管が狂って、調子が悪くなる。三日位寝込んだ。これには経験による慣れはない。

    Q:金井宇宙飛行士がアメリカに留学した際、アメリカの女性医師から宇宙飛行士になった人が居ると聞いて、宇宙飛行士を目指したと聞いた。宇宙飛行士に必要な資質のうち、リーダーシップとは?また、忍耐力は、どうやって身につけた?
    A:リーダーシップは難しい。「俺についてこい」で引っ張るタイプの人もいれば、「君はどう思う?」と人の意見をもとにキメるタイプの人もいる。どちらが良いとかは決められない。宇宙飛行士はチーム。チームとして仕事をする際、チームの成績を上げるために、全体の成果をどうやって上げるかと言うことが優先される。先輩後輩と言う人間関係まで含めた環境の中で、最初は「俺についてこい」とやるのかと思っていたが、そう言う事では無くて、徐々に自分は自分でいいと言う気持ちになっていった。チームに対して、自分が貢献できることはあると思う。それと、忍耐力だが、昔は看護師と喧嘩もした。しかし、医師の仕事をしていると、「これをしないと、患者が死んでしまう」とか言うような、絶対引けないと言うことがある。そう言う仕事をしていく中、人生経験の中で忍耐力が培われたと思う。自分の飛び込んだ世界で、精一杯やって経験を積んでいくこと言うことが重要。なので、宇宙飛行士は、社会に出て、人生経験を持った人しか採用されない。

司会とか、会場運営とかが、中々初々しい感じでしたが、
中身は濃い講演会でした。
特に、最後のQ&Aは、良かったです。

残念ながら、会場内での撮影は不可だったので、
金井宇宙飛行士の写真はありません。
会場との質疑の時、めっちゃ近くにいたんですけどね:-p
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