さえら

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『踊り子』 ジャン・コクトー

2011-08-17 10:39:02 | フランス詩 試訳
立秋は過ぎましたが、まだまだ暑い日が続きます。
夏の浜辺を想いうかべながらジャン・コクトーを読んでみます。


Danseuse
                Jean Cocteau

Le crabe sort sur ses pointes
Avec ses bras en corbeille ;
Il sourit jusqu’aux oreilles.

La danseuse d’Opéra,
Au crabe toute pareille,
Sort de la coulisse peinte,
En arrondissant les bras.

              「Poésies」



踊り子
        ジャン・コクトー

蟹が爪先立ちをして出てくる
腕を花籠のようにして。
蟹は耳元いっぱいに微笑む。

オペラ座の踊り子、
蟹とそっくり、なにからなにまで、
色塗りされた舞台裏から出てくる
両腕を丸く輪にして。

   『ポエジー』より


~~~

地中海の砂浜の蟹とパリのオペラ座の踊り子のイメージが、重なり合います。
蟹の歩き方は、踊り子のよう。踊り子のステップは蟹のよう。
どちらがどちらの比喩というのではなく、蟹は踊り子、踊り子は蟹に見えてしまいます。