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バラの名前

2012-06-09 23:13:44 | 園芸
庭のバラ、9種11株に増えました。
フランス文学にちなんだ名前のバラを集めて育てています。



《コレット Colette》
花の中心はアプリコット色をしていますが、周辺はピンク。
いえ、咲き始めがアプリコットで、咲き進むにしたがいピンク色に。
いえ、1輪目が柔らかなアプリコットで、花の季節が終わるころの最後の花は濃いピンク。
どちらともいえない微妙な色加減。
ガブリエル・コレットの成熟した女性らしさ、あるいはコレットの代表作『シェリ』の女主人公レアを表す色がアプリコットなら、小説を書くだけでなく踊り子として舞台で美しい姿を披露したり、男装したりという奔放さにどこか少女らしさもただようピンクが似合う。
1994年フランスの育種家メイヤンによって作出されたこのバラは、つるバラ。しなやかな枝、洗練された香り。
ガブリエル・コレットに相応しく美しい。


《アルベルティーヌ Albertine》
つるバラで、枝がとても元気よく伸びるさまは、ティーンエイジャーの少女たちのすらりと伸びた手足のよう。
蕾は、内側から咲く力を充満させているかのような力強さを感じさせるふくらみ。
花数も多く、一度にたくさん活発に咲いて、まるで少女たちがはしゃぎながら町を闊歩している時のにぎやかさ。
色は、花びらの外側がやや濃い目のピンクなら、内側はほとんど白に近い、と色を違えている。
「花咲く乙女たち」と思わずつぶやいてしまう。
そう、プルースト『失われた時を求めて』、第2篇「花咲く乙女たちのかげに」の最も重要な登場人物であり、この小説の主人公「私」の最も重要な恋人アルベルティーヌ。
日本のバラの主な本で、このバラが掲載されている解説のどこにもこの名前がこの小説のアルベルティーヌにちなんでいるという記述は見当たらないが、フランスの育種家バルビエがこのバラを作出した1921年の2年前、プルーストは『花咲く乙女たちのかげに』でゴンクール賞を受賞している。

(つづく)


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