
佐藤光華 『大原の人』
院の女一の宮殿下は、兄宮の皇嗣殿下のご発言の事は事前に知らされていましたので、御母宮の上皇后様が『ご発言』の事を知られてどのような行動をとられるかは、長年お側におられた経験上予測されて、いらっしゃいました。

伊藤小波 『初夏の頃』
朝早くから、女一の宮様は、身支度もそこそこに、御母宮様の『暴走』をお止めしなければと、院の御所へ参内されましたが、もうその時は、既に御母宮様は、人力車で、皇嗣邸に向かわれた事を知らされました。

直ぐに皇嗣の兄宮様にメールで確認されましたが、兄宮様によれば上皇后様による、『世にも恐ろしき生地獄』の有り様となっていたのでした。

一刻も早く皇嗣邸に行かなければと、思われましたが、まだ事情をご存知でない、ご高齢の院にどの様にご説明したら良いのかと、思案成されていらしたのでしたがしかし、院におかれては、おおよその事態は既に分かっていらっしゃいました。
院のお話だと、今朝のニュースで皇嗣殿下がかつてお上の『人格発言』をそっくり其のまま、引用されて、皇嗣妃殿下が『休養』に入られる事を知られました。
お上のあの時の『ご発言』には、当時は大変な驚きようでいらした院でいらっしゃいましたが、しかし今回は、妃殿下のお辛さ等は十分ご存知でいらっしゃいましたので、驚かれても、あの時といきなりの『ご発言』の時と、比べたら・・・・・・というお気持ちでしたので、恐れながら割合と、冷静でいらしたのでした。


アニメ・『活劇 刀剣乱舞』 第4話「守りたかったもの」

鶴丸国永
「よっ」
「よっ」


鶴丸国永
「・・・・・・驚いたか~~♪♪」(そりゃみんな驚きますよ)




上皇后様も院と同じく早朝のニュースでその事を知られました。その時のお心は、

(・・・・・・ムカつくわ💢)
院とは違い、上皇后様は、強い衝撃を受けられたご様子で、身支度をされると、院に皇嗣ご夫妻に直接、事情を聞かれたいからと・・・・・・

甲斐荘楠音 『横櫛』(多分試作品だと思います)

「直ぐに戻って参ります」
と、仰らまして早々と皇嗣邸に向かわれたのでした。しかし、上皇后を最も身近でご覧になられていらっしゃる経験上、どうにも悪い予感しか、なされなかった院は、侍従を通されて、皇嗣邸の奥の職員の侯所に連絡を取られて、その侯所に居た仕人に、邸内の様子を探らされたのです。
その仕人は、院の御所からの知らせを2階から降りられて来られた、皇嗣殿下、そして『お写真の間』という名のバリヤにおられる、二の姫宮様と若宮様のお側に居た、老女の花吹雪にも知らせたのでした。
皇嗣殿下は、その仕人に
『皇嗣妃殿下は、座り込まれたけど、立ち上がれてその後は、一方も退かれていない、姫宮も若宮もその様子を伺っています』
と、院にその様にお知らせする様、詳しい事情は、後でご説明に上がります・・・・・とお伝えするようにと指示を出され、
一方、花吹雪は、その仕人にメモを渡して、

『まだこちらの皆様、朝のおばん(ご飯・御所言葉)も頂いていらっしゃいません。お育ち盛りの若宮様が、お可哀想で御座います』
その書いた内容のまま、院の御所にお知らせて下さいと、伝えたのでした。
皇嗣殿下と花吹雪からその知らせを受けられた、院におかれても、上皇后様が今、とのような有り様と成られているかは、おおよそ察していらっしゃいました。
時間が経つにつれて、院は、大層不機嫌に成られて、ご自分が直接行くと言われたほどでした。しかし侍従達は、それを止め、侍従の一人が皇嗣邸に出向いて、(自転車に乗って)木の影から、

『世にも恐ろしき生地獄』の様子・・・・・『鬼女』(きじょ)のような上皇后様、その『鬼女』皇后に毅然と対峙なさる皇嗣妃殿下、そしてそのお側で泣き崩れている、御用掛の先の老女の唐糸の様子を目撃したのでした。

院の女一の宮様がご参内されたのは、そんな時でした。院のお側にいるとき、戻って来た侍従から、ただならない事態と聞かされたお二人は、妃殿下の事を一番に心配され、なおかつ若宮様の事も思われて、女一の宮様は、直ぐに

伊藤小波 『初夏の頃』

「おもー様、あちらに参りまして、おたー様を連れ戻して来ます」
そう言われて、側近達に車に乗られることを伝えられ、女一の宮様は表へと、行かれました。しかしその後、皇嗣邸から、
『上皇后陛下がお倒れになられました。疲労かと思われますが、侍医をこちらにお寄越し下さい』
との連絡が入りました。その知らせを受けられた院は、大層ご立腹されまして、
「上皇后を実家に下がらせたらどうか?軽井沢でもいい。しばらくは顔も見る気もしない。まして、今日は皇嗣の誕生日だ。それに若宮の今後に障りが有ればどうするのだ。朝から上皇后に巻き込まれて、お腹を減らして、可愛そうに」
上皇后様の事を聞かれて急いで、院のいらっしゃるお居間に戻って来られた、女一の宮様は、院のそのお言葉を聞かれて、

「おたー様は、今はもう、帰るところなどもうありませんわ。軽井沢は、今はお寒いですし。お下がりさせるなら、もう少し後でなさいませ。おもー様のお心は、わたくしがあちらに出向いて、よくお伝え致しますわ」
そう言われると、侍医を連れて、軽車(電気自動車)に乗られて大急ぎで、皇嗣邸に向かわれたのでした。


高畠華宵 『秘曲』

一にも二にも若宮殿下の事を、中心にお考えになられるようになっておられました。

何事も若宮様、中心でいらっしゃる、院のそんなご様子に、上皇后陛下におかれては、それがどうにも、大層ご不満でいらっしゃいました。

院は、上皇后様との御成婚より、60年という歳月のなかで、いつも上皇后様の事を何よりも大切に、お考えになられていらっしゃいました・・・・・・。

しかし新しい御代となった現在では、院のお心の中のそのお立場を、若宮殿下に取られてしまったという『妬み』が上皇后様のお心の内で日に日にどうしようも無いほど、強い『妬み』という名の『焔』が大きくなっていったのでした。

上村松園 『焔』
上皇后様は御成婚以来、半世紀を超えて、常に国民から見た皇室の『中心』でいらしたのでした。それは恐れながら、御夫君たる院のお心も同じでした。

それが今や、院のお心は常に若宮様のご将来を何よりも一番に、お考えになられていらっしゃいまして、上皇后様は実の孫の若宮様にご自分の立場を奪われたという『嫉妬』と『被害』意識を持たれていたのです。

そしてその原因を産み出された妃殿下のせいにされていたのでした。




八十路を半ばになられる上皇后様には、『生き甲斐』というものを上手く見出だす事が出来ませんでした。それ故、お上の女一の宮殿下を将来『天皇』という御立場になされば、ご自身新たな生きる目的を見出だされ、『生き甲斐』というものを持てるうえ、将来の天皇を導く『上皇后様』として、かつての様に、国民から大きく注目を受けるだろうという、夢見る心持ちでいらしたのでした。

そんな上皇后様をよそに、御高齢の院には、若宮殿下のお立場を確かなものにしなければと、御所のお上と、皇嗣殿下方とお話合いを重ねておられ、又皇室の歴史に詳しい学者などを、院の御所にお呼びになられて、過去の先例を調べていらしたのでした。
現在の皇室典範では、天皇は養子をお迎えになられる事が出来ません。そして、養子をお迎えになられる様にするとなると、皇室典範をどうしても改正しなければならず、内親王方の場合は特例という形としてなさったのですが、養子となれば将来の天皇に直接関わることになる最重要の事柄ですので、かつてのようには、ゆきません。
皇室典範の改正となれば、間違いなく女性天皇、女系天皇の議論が高まり、まかり間違えれば、お上の女一の宮殿下が、皇位継承第一位のお立場となられてしまうという、事態になってしまいますので、

そのような可能性もある皇室典範の改正には、お上を御始め、どなたも慎重なのです。


ただ過去の前例を上手く活用し、なおかつ若宮様のお立場を盤石なものとする案も有りまして、お上も、院も、そして若宮様の父宮の皇嗣殿下もその『案』がいいのではないかと、思われていらしゃいました。

上皇后様は、世間に公表されていますが、皇位に関わる事はご自分が関与するのは、良しとされておられませんでしたので、まだ院からは直接にお聞きになられてはいらっしゃいません。それがが余計に上皇后様のお心を波立たせて、いらっしゃるのでした。

一方で皇后様の場合は、お上からは、その『案』を御聞きになられている御様子で、その『案』に対して、別段御異義を唱えられてはいらっしゃいませんでした。

高畠華宵画(モデルは李香蘭??~細眉の皇后様~)
皇嗣妃殿下は、皇嗣殿下から、まだ詳しくは伝えられておられませんでしたが、皇嗣殿下のご様子から、良い方向へ進んでいると、思われていました。

院の女一の宮様は、皇后様から若宮様に関しての事は、遠回しにお聞きになられており、若宮様のお立場が将来に向けてはっきりと定まる事になると、ホッとされていました。

皇嗣邸に向かう最中、院の女一の宮様は俗にいう・・・・・二人の兄嫁方を比較されて矢張、皇嗣妃殿下はこうなるべくして、皇室に来られた方だと改めてお考えになられていました。

吉村忠夫 『弁財天』

皇室のお妃方では異例なほど、確かな『後見人』もない庶民育ちの皇嗣妃殿下ですが、当然ご結婚後の、道のりは険しいものでした。

随分前に妃殿下は、院の女一の宮様に、ご結婚前、自身まだ夢見るような思いと、これから先の事等さまざまな不安な気持ちでもあった時、当時の宮様からは、ハッキリとこれから歩む道は決して楽でないことを、正直にお話になられたと、話された事がありました。

植月あや 『春』

・・・・・・例えばこんな感じであったのでしょうか?

アニメ・『赤髪の白雪姫』
第11話で、白雪がゼン殿下に自分の想いを伝えるシーン。

白雪
「ゼン・・・・・」

白雪
「ゼンの事が好きです」

白雪
「ゼンが凄く大事で、尊敬してて、力になってゆきたいのに」


白雪
「こ、恋もしていると分かって・・・・・だ、だから・・・・・」

白雪
「今までと同じように、ゼンを見たいと思うのが、望んでいいことなのか、分からなくって・・・・・」

ガチャ(剣を置いて)

ゼン殿下
「俺も望んでいるよ」

ハッとする白雪

白雪の前で膝を折るゼン殿下(騎士の誓いデスネ)

ゼン殿下
「白雪、俺の持つ『王族の称号』は、『お前を守るものなのではない』のかも知れない・・・・・・」
(シロガネ注・物凄く重要な事を言われています)

ゼン殿下
(シロガネ注・物凄く重要な事を言われています)

ゼン殿下
「お前が俺にくれるもの、どれだけ返せるか分からないが、それでも俺は・・・・・お前とこの先、共に在りたい」


ゼン殿下


ゼン殿下
「側に居て欲しいと願っている」

~~~~~♪♪♪(音楽が流れる)
ゼン殿下

~~~~~♪♪♪(音楽が流れる)
ゼン殿下
「お前との出会いにかけて、互いの望みを俺自身が守り抜く。その為に」


ゼン殿下
「お前に力を貸して欲しいというのは、可笑しな話かも知れないが」

ゼン殿下
「お前は確かに、俺に強さをくれる」

ゼン殿下

ゼン殿下
「だから・・・・・」

ゼン殿下

ゼン殿下
「この手を取って貰えないか?白雪・・・・・」

じっとゼン殿下を見つめる白雪。

そして・・・・・・・


白雪

じっとゼン殿下を見つめる白雪。

そして・・・・・・・


白雪
「はい・・・・・ゼン王子」


お互いを見つめる白雪とゼン殿下。

風の響き

青葉が舞い落ちるなかでの二人。
ここから先もジーンとくる展開になるのですが、又いずれに。(書くのが恥ずかしい・・・・・・(*/□\*))
・・・・・・当時の宮様は、正直に皇族としての立場は、決して妃殿下を『守るものではない』と、お伝えになられたという事です。そして、それはそのまま、お言葉通りの事となったのですが、しかしだからこそ、妃殿下は、

「わたくしは、『覚悟』と『強さ』いうものを、身に付ける事が出来ました」

そう、女一の宮様におっしゃられました。


某仮面より。

一方、皇后様に対して、お上の方は・・・・・・・

アンリ・ルソー 『岩の上の少年』


某仮面より。

一方、皇后様に対して、お上の方は・・・・・・・

アンリ・ルソー 『岩の上の少年』
岩の上に浮いていらっしゃいます。流石、ルソー先生。

「皇室に入られるのは、ご不安でしょうが、僕が生涯全力でお守りします」

余りにも有名なお言葉です。

リアル皇子様の、そのお言葉で胸キュンされた(かも知れない)皇后様は、こんな感じだったのでしょうか??



連載は、昭和35年との事デス。(生地の流れる様な美しさが素晴らしいです)

『お守りします』とおっしゃられた素敵🌟な皇子様のお言葉を受けまして皇后様は・・・・・

と、なられました。しかし・・・・・

心は、まさにバラ色でいらっしゃたのです。高橋真琴さん画(全部手書きなんですよ)

男の人!!!です。(シロガネ注・初めて知った時は、ビックリ仰天しました)


以外に乙女でいらしたのですね。


しかし御成婚後・・・・・・・

某バラより

イロイロな出来事が起こるのです。

高畠華宵画 『香枦の夢』
恐れながら、皇后様はこの結婚は間違えであったと、思ったのですが、今さらどうしようもありませんでした。その結果・・・・・・・

「覚えておいて下さる?」
「わたくし、紫のバラが大嫌い・・・・・!」

紫の色は、古(いにしえ)より高貴な色です。
こんな状態がなんと、20年近くも続いたのです。しかしこんなお気持ちでいらっしゃた、皇后様のお気持ちを当時、東宮殿下でいらした、お上は、お気付きに成られていたのかは、畏れ多くて分かりませんが、しかし誰が見ても深く、皇后様を愛されたのです。

お上は、長い年月をかけて、そんな皇后様の影でさえも慈しまれる深い愛を注がれ続けられました。

やがて・・・・・・御諦めか、もう・・・・・御自分を一番に愛して下さるのは、お上、御一人だけだと御認めになられたのかは、分かりませんが、皇后様は、徐々にお上の、深い愛を受け入れられたのでした。

アンリ・ルソー先生画

お上の愛を素直に受け入れられた後の皇后様
それから後は、御自分が気の向いた時には、御出ましになられて、御自分が面倒なと思われた事は、長年患われている謎の気鬱の『御病気』を理由に、御出になられないという・・・・・・自由気儘な『お慎み』の御生活を日々送られていらっしゃいました。
そんな皇后陛下に対して、多くの国民は、常に暖かく、優しい心と寛容さを持ちまして、常に見守っているのでした。

アニメ・『活劇 刀剣乱舞』 第5話『戦火』
鶴丸国永
「さて、今日はどんな驚きが待ち受けているかな?♪♪」


そして、皇后様をお慕いする多くの人達は、かつてのようなお元気な皇后様の復活をひたすら待ち望んでいたのでした。

しかし、皇后様の公式の生のお言葉は、もう、「某仮面」が終るのが先か、皇后様のお言葉がお先になられるかいう状態ですが

こういう毎日を送られるのも、お上の深い理解と愛情による賜物でしょう・・・・・・・。

そんな世間からかなり外れた生き方でも皇后様、御自身にはそんな日々が、とても御楽しみでいらっしゃり、反って以前よりは、御健やかでいらっしゃり、とにもかくにも、最愛の女一の宮様と共に幸福な日常生活を送られていたのでした。

木谷千種(きたに・ちぐさ)『浄瑠璃船』


院の女一の宮殿下は、お二人の義理の姉君の皇室にお上がりになられた後のそれぞれの生き方を比較せずにはいられませんでした。

伊藤小波 『春之山路』

ある意味、御自分の生き方を見出だしていらっしゃる、皇后陛下に比べてやはり、皇嗣妃殿下を見ますと、つくづく苦労と苦悩を背負い込んでいらっしゃると、院の女一の宮殿下は見ていらっしゃいます。

伊藤小波 『落葉志ぐれ』

しかし女一の宮様は、そんな妃殿下に対して、こんな風に思われていらしたのです。

アニメ・『ワールド・トリガー』第18話
何も持っていない(地味・メガネ)主人公、三雲修と戦った後の風間駿の名言

風間駿
「自分の弱さを良く自覚していて、それ故の発想と、相手を読む頭がある。知恵と工夫を使う戦い方は、俺は嫌いじゃない」

かつて、皇后陛下や上皇后様と、比べようも無いほど、何も持っていらっしゃらなかった皇嗣妃殿下。その結果、多くの困難がありました。

しかしその度事に、『知恵と工夫』でご自分の出来ることを、精一杯なさってこられました。そして、それらの様々な経験をご自身の『力』となさり、現在では途方もない、大きな運命を歩まれていらっしゃいます。

妃殿下の、これまでの歩みをずっとご覧になられていた、院の女一の宮様は、そんな妃殿下をお側で支えそして、そしてずっと見守っていきたいと、思われていらっしゃるのです。
其の25に続きます。


伊藤小波 『春之野』