先日の金曜日、夜間鑑賞で愛知県美術で開催中の「曽我蕭白ー奇想ここに極まれり」を訪れました。
目的は、曾我蕭白と後輩のBARの訪問で共に栄にあるのでナイトミュージアムとBAR呑みを楽しむことにしました。
曾我蕭白は若冲や蘆雪と共に奇想の絵師として江戸時代に活躍しました。
しかしながら、その画業期間は僅か20年あまりと短いです。しかしながら、その短い画業の中に凝縮された作風は観る者を驚愕させます。
蕭白が世に知られようになったのはボストン美術館所蔵の雲龍図ではないかと思います。今回の展覧会でも、龍や唐獅子、鷹などの動物が登場します。動物の細密な描写に墨の描線だけで描く背景のコントラストは蕭白ならではの作風です。また、中国の故事に習う仙人たちの姿は、表情豊かで魅力的な人物像を多数登場します。その作品が巨大な屏風絵として描かれ壮大な物語絵巻として迫ってきます。
蕭白は、伊勢を旅し数々の名品を残していますが、今回の展覧会でも三重県立美術館や石水博物館、浅田寺所蔵の作品が数多く展示されています。なかでも文化庁所蔵の重要文化財「群仙図屏風」や屏風絵は圧巻です。
近年、伊藤若冲ブームにより奇想の画家が注目を浴びましたが残念ながら若冲にとどまっているように思います。確かに若冲の細密な描写力や独自の絵画技法は目を見張るものがありますが、中国の故事や歴史を題材にしながら、その独特な発想や表現力は若冲をしのぐものだと思います。
奇想の画家である、伊藤若冲、長澤芦雪、曽我蕭白と三人の画業を知ってこそ江戸絵画の魅力が伝わるのではないでしょうか。