カンヌ国際映画祭、パルムドール受賞作品、是枝裕和監督の「万引き家族」です。
カンヌの常連である是枝監督が、ついに最高賞のパルムドールを獲得しました。今回の作品は、監督自身が述べているように、自身の集大成とあんる作品だと感じました。
舞台は東京の下町。古い平屋の家で暮らす柴田家は、家主の初江の年金を目当てに、夫婦と息子、娘の五人で細々と暮らしている、そして年金の不足は、万引きで生活費を稼いでいる。ある日、ベランダで寒さに震える幼い娘を連れ帰ったことから、彼らの生活に波紋が起こり、徐々に家族の抱える過去が明るみになっていきます。
リーリーフランキーと安藤サクラの夫婦役の、幼い子供に対して愛情深く接する姿と幼き子供の無垢な姿が印象深い。また、樹木希林の老婆は、存在感を外に出すことなく演じているのに、その振る舞いや言葉に人間臭さを感じます。娘の松岡茉優の演技も今までない悲哀が感じられました。翔太とゆり役を演じた子役の二人により柴田家の家族の絆がそこはかとなく感じられます。
僕の是枝監督のイメージは家族を舞台に社会に潜む様々な問題に映画というフィルタ―を通して定義する人というイメージがあります。ゆえに、監督自身の思いとは別のところで批判や揶揄されることがあります。今回の作品も、そのタイトルと犯罪に手を染める虚構の家族が主人公なので、先入観でとらえられているように感じます。しかし、監督ほど家族の絆や愛に対して真摯に向きあっている監督はいないと思うのです。
次回作は、フランスを舞台にフランス人キャストで制作される予定だとか、日本を舞台にした映画は、今回が一区切りなる作品だと思います。今ある日本の社会を見つめ、そこにある問題を確認し、人間同士の絆を思う。多くの人が、万引き家族を絶対観てほしいです。