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映画 ムーンライト

本年度アカデミー賞作品賞を受賞した映画「ムーンライト」を観賞

 

ラ・ラ・ランドが最有力だったことと、発表でのトラブルもあってか、日本公開が急きょ早まった本作。実は、アカデミー賞作品賞は、近年、社会派作品が多かったのことでムーンライトも本命視する評論家も多く、今回の受賞はトランプ政権の誕生や前年の白いオスカーと揶揄された状況を考えると、僕も当然の結果として受け止めてました。

ただ、ムーンライトが日本でヒットすることは、先ず考えられないなと思ったのが率直な感想です。それは、この作品がアメリカ社会の抱える貧困問題を背景に生きる人々の間にある差別に加え、LGBTQ(性的マイノリティ)を中心に据えた複雑な作品だからで、観る人の持つ意識や価値観で評価が分かれると思ったからです。

映画は、主人公のシャロンの人生を、少年時代と青年時代、そして成人となった主人公の人生の変遷を生々しく描き、彼の内面が徐々に浮き彫りにしながら、シャロンの唯一の親友の友情と裏切り、そして愛情を静かに描いています。

シャロンを演じた三人はいつも月明かりに照らされたような冷たい瞳を持ち、生きることにもがき苦しんでいるのに決して感情を表に出すことなく自らの運命を受け入れているように感じました。

友の再会により、安息へと向かうエンディングも、決して未来を保証するもには僕は思えませんでしたが、きれいごとでは済まない現実社会があるからだと思うし、その事が観る人の立場に呼応するからこそだと感じます。

ムーンライトは、人間の持つ陰の部分を自分自身の心に素直に照らし合わせてこそ、この作品の持つ価値が伝わってくるのではと思います。


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