生田斗真と瑛太主演のミステリー作品「友罪」を観賞
今回の映画は64の瀬々敬久監督がミステリー作家・薬丸岳の同名小説を実写映画化した作品で、少年犯罪の殺人犯だった少年Aを中心に、その周辺に罪を犯した人や罪を背負った人、罪の償いに手を差し伸べる人の苦悩や葛藤を描いた骨太のミステリー作品です。
先日の紹介した光やミックス、そして大河ドラマの大隈役など様々な役作りに意欲的に挑戦し、僕自身、その演技力に注目している瑛太が、今回は少年A役に挑んでいます。ジャニーズ所属の生田の正統的な演技と変幻自在なカメレオンのような魅力を放つ瑛太の組み合わせは見事で、さらに佐藤浩市や富田靖子に夏帆など二人を取り巻く人々の名演が光ります。特に瑛太の演技は、秀逸で少年Aの心の揺れを眼で表現していて、その成長ぶりは目をみはります。
物語は生田演じる元ジャーナリストの益田と瑛太演じる鈴木が、工場で出会うところからはじまります。寮の同僚となった益田と鈴木、周囲になじめず寡黙で得体のしれない鈴木、一方益田は上司とのトラブルでジャーナリストの仕事を辞め、いじまにあっていた親友の自殺に悩み苦しんでいます。同時に二人が住む町に、児童の殺人事件が起こり、ネット上で、児童連続殺人事件の少年Aの犯行ではないかと噂が広がります。
今回の作品は、親友が殺人犯とわかったときに、どういう思いを抱き行動をするか。難題を突き付けながら、犯した罪に対する家族や関係者、当事者の心理も包括しながら進むミステリアスな展開です。社会の不条理の前には、誰もがきれいごとだけでは済まされない、心の中の二面性を見ました。
今回の作品は、答えなき答えが、益田と鈴木のラストで突きつけられた感じがします。