映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は、知られざる、もうひとつの軌跡のひとの実話「奇跡のひと マリーとマルグリット」です。
奇跡の人と言えば、誰もが知っているヘレン・ケラーとアン・サリバンを思い浮かべるでしょう。三重苦のヘレンを家庭教師であるアンにより克服した物語は、世界中に感動を起こしました。
今回の作品は、知られざるもうひとつの奇跡の人。三重苦のマリーを修道尼のマグリットが奇跡を起こした物語です。さらに、この物語には、ヘレンとアン以上の奇跡があります。
マリーは、本能のままに生きる野生動物のような存在。マルグリットは不治の病を抱える余命宣告をされた女性です。そんな彼女にも両親とのあたたかな触れ合いにマルグリットは希望を感じ、親元を離れてろう者や盲者が生活する修道院に入れ、残り少ない命をマリーに捧げ、懸命に言葉を伝えようとします。二人の生活は格闘の連続ながら、マリーは心を通わせ、マルグリットをかけがえのない存在として意識します。
マリー役のマリア―ナ・リヴォアールは、オーディションで選ばれた聾者で彼女にとって初めての演技ですが、野生から理性を持つ女性として変貌していく姿を見事に演じ切っています。マルグリットを演じたイザベル・カレの時に体当たりの愛情あふれる演技と二人の醸し出すハーモニーが絶妙でした。そして、自らもかつての映画「奇跡のひと」に感銘し、新しい「奇跡のひと」を作り出したジャン＝ピエール・アメリス監督の手腕によるところも大きいです。
二人の出会いと永遠の別れを描いたもうひとつの「奇跡のひと」は、ヘレンとアン以上の感動を観る人に与えるに違いにない作品です。
