日展の篆刻部門で、入選数を調整した問題が朝日のスクープで発覚しました。
このスクープは、芸術界のタブーに踏み込んだことで注目を浴びているように思います。美術に携わる者としては、誠しやかにささやかれたことで、特に日本一の公募団体である日展と言うことで衝撃的ではありますが、地方の美術展では、よくあることです。
懸賞付きの公募展の場合には、こうしたデキレースは、存在しないと思いますが、多くの公募展では、学閥、派閥により入選が決まることはよくあることです。
端的な例をだすと、芸能人の入選などは、個人の実力以上に師事する先生の力により決まると想像できます。
今回のスクープは、形骸化している日本の芸術界に一石を投じた点で評価できます。それは、美術品が売れなくなっている現状が一因しているように思います。
それは、時代を担うアーティストが、その聖域から飛び出し国際的な評価を得るようになって来ていることとで、既成の美術界が崩壊しつつあるからでしょう。
書の世界においても、それが端的に表れており、現在活躍する気鋭の書家は、団体に属さないフリーアーティストであり、相田みつを人気が発端となって遊字が生まれ、書の基本を習わずとも容易に生み出すことができる書家が数えきれないほどに生まれたことで、もっとも徒弟的な書の世界が崩壊しつつあることを現しているといえます。
しかしながら、絵画の世界では芸大の存在と共に、有名団体に所属する若手には人気と実力を兼ね備えた人材が多数存在するのも事実です。そうした人材をつぶさずに、美術界の改革がなされれば、日本の芸術が国際的な評価を受ける早道になると考えます。