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今回の美術展レビューは、碧南市にある藤井達吉現代美術館で開催中の「夢を追いかけた前衛の鼓動」展をお届けします。前衛芸術と言うと何を浮かべるでしょうか?おそらくは現代美術を思い浮かぶかと思います。
前衛美術とは、本来は第一次大戦後のシュルレアリスムや抽象絵画をさしますが、日本においては第二次大戦後に新しく生まれた芸術を指すのではないでしょうか。今盛んに呼ばれている現代美術の源流に今回の展覧会があります。今や誰もが知る岡本太郎や草間彌生もこの時代に登場します。
今回の展覧会は、足利市立美術館に寄贈された浅川邦夫氏のコレクションにより構成された日本における現代美術の潮流となるものです。また、コレクターでもあった画商・浅川氏の作家との親密な関係や現代美術への愛情も伺えるでしょう。
展覧会は、浅川氏が在籍し、志水楠男氏が設立した現代美術画廊「南画廊」が取り上げた中西夏之、三木富雄、加納光於、今井俊満など海外でも評価の高い現代美術家の作品が浅川氏による出会いと解説で平易に展示紹介されています。
ともすると難解な現代美術の世界をより深く理解するのには、とても良い展覧会で、戦後の前衛芸術を担った作家たちの存在があったからこそ、今日の日本の現代美術の系譜が続いていることを感じれると思います。
本展は2月24日まで。吹き抜けのガラス張りのカフェが併設されたモダンなリフォーム美術館で日本の現代美術の誕生を感じてみてはどうでしょう。