先日、映画ファンの中で高評価を得てロングラン上映されている春本雄二郎監督の「由宇子の天秤」を鑑賞しました。
物語は、フリーのドキュメンタリー監督の由宇子が女子高生自殺事件の真相を追う中で、塾講師の父親から衝撃の事実を聞かされます。テレビ局の軋轢を受けながらも真実を追求しようとする由宇子に突如ふりかかるもう一つの事件、由宇子の中の正しさが揺らぎ続ける中で、思いも寄らない事実が待ち受けています。
主演の由宇子を演じたのは「彼女の人生は間違いじゃない」や「火口のふたり」で主演を務めた瀧内公美、その父親には光石研、また今回の作品のもう一人の主役と言える女子高生には河合優実も瀧口や脇を固める実力派の俳優陣に引けを取らない演技でした。
ドキュメンタリータッチで進む内容に加え、父親として講師として信頼を寄せていた父への不信感、組織に属すことなく真実を伝えようと立ち向かってきた由宇子の正義が歪み始める様や事件の当事者や家族、親族をさえも巻き込んで進んでいく顛末を見事に描き切った力作です。父親から告げられた衝撃の事実を超えるラストの真実にも驚きました。
今後も全国各所で上映予定ですので、ドキュメンタリーと社会派人間ドラマとして、そして上質のサスペンスと見応えのある本作をぜひ鑑賞して観てください。