映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は西島秀俊と佐々木蔵之介W主演の映画「空母いぶき」です。
沈黙の艦隊のかわぐちかいじのコミック原作を豪華なキャスティングで実写映画化した本作。時を同じくして憲法9条をめぐる解釈で自衛隊の存在がクローズアップするタイミングで公開され、首相を演じた佐藤浩市の演出を巡って一部保守派から批判の的となったことでも話題になった作品です。
世界が再び空母の時代となった近未来、日本が国籍不明の軍事勢力から攻撃を受ける中で、戦闘状態下で、現憲法の下で国家と国民を守るために奔走する自衛隊の姿が描かれているフィクションです。
自衛隊が置かれた立場を西島演じる秋津と佐々木演じる新波との異なる立場から、憲法下でいかに国民を守るかがテーマとなっています。いわゆる解釈を巡って国会でも論争となっている専守防衛についてですが、局面局面の攻防で瞬時に判断する自衛隊の決断に対して、原作者の意図と監督に加えて脚本家の意図が三位一体となってうまく描かれていると思いました。また、俳優陣も中堅、ベテランに重きをおいたことで緊迫感が出ていました。
批判にさらされた首相役の佐藤も中立な立場で自らの意見を役柄に反映しているなと感じました。この映画の大きな意義は国家は国民のためにあり、戦争が起こさない、戦争の引き金とならない国家の在り様です。自衛隊の違憲云々や専守防衛の解釈云々よりも、その点がもっとも重要視することがラストで明確に表れているように思います。