フォレスト・ウイテカー主演、リー・ダニエルズ監督作品の「大統領の執事の涙」を観賞。
7人の大統領に仕えた黒人執事の実話に基に作られた、アメリカの激動の時代と執事の家族愛を描いた秀作です。
執事セシル・ゲインズを演じるのはオスカー俳優のフォレスト・ウィテカー。30年間の大統領の執事役を演じています。感情を抑えた渋い演技の中に黒人差別が深く根付くアメリカの闇が彼のどこか寂しげな瞳の中に感じられました。
大統領を演じる俳優のアイゼンハワー役のロビン・ウイリアムスからハリウッドの名優が顔を並べ、レーガン大統領のナンシー夫人にはジェーン・フォンダが演じる豪華なキャスティング。さらに、セシルの母役にマライキャリー、執事の同僚にレニー・クラヴィッツと黒人監督リー・ダニエルズの信頼の深さを感じます。
黒人差別が根強く残る南部の農村での衝撃的なシーンから、大統領の執事として仕えながらホワイトハウスの中にもある差別に、公民権運動、ケネディ暗殺、ベトナム戦争、そして黒人大統領誕生と揺れ動く社会の渦に巻き込まれながら、執事の仕事を黙々とこなすセシルと家族の葛藤と愛も同時に描かれ感動と涙を誘います。
アメリカの暗黒の歴史の中で生まれた差別。その差別と闘う家族の歴史を通して負の歴史と差別の意味を深く感じさせられる作品でした。