今回の映画レビューは、ジャク・オーディアル監督の新作「パリ13区」です。
今回の作品は、2021年のカンヌ国際映画祭のコンペティション部門出品作で、ミレミアム世代の男女三人が主人公です。主人公の三人はコールセンターのオペレーターとして働く台湾系のエミリーとアフリカ系の高校教師カミーユ、そして、ソルボンヌ大学に復学したノラ、ルームシェアの相手を探していたエミリーとカミーユが出会い肉体関係を持ちますが、ルームメート以上の関係ではない二人ですが、エミリー意識しだしたことで二人の関係がぎくしゃくし始めます。同時期、大学に復学したノラは、あるパーティー会場でウエッブ上で人気のポルノスターと勘違いされ大学内に噂を広められてしまいます。
R18指定とあって、性描写の多い作品ですが、モノクロームの映像と三者三様の性の価値観の違いがベースになっているので、決していやらしさは感じません。男性主人公のカミーユがエミリーとノラのつなぎ役とねってストーリーの流れもスムーズで、前半はカミーユによって変わるエミリーの日常を、後半はノラとポルノスターのアンバーとの関係をつぶさに描いていて心の揺らぎがうまく表現されていました。二人の女性に翻弄されるカミーユもスパイスとして効いてます。
鑑賞後に、あるシニアカップルがドライブ・イン・カーに似てると言ってましたが、セックスをベースにしているからかな。両者とも人間の再生のドラマである部分では、個人的にはシンプルでストレートに入ってくるので今回の作品の方が面白かったです。
モノクロームの世界とドラマチックな音楽で奏でられる美しさと主人公たちの愛あるドラマを感じてほしいです。