映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は、50年にわたりファッションフォトグラファーとしてストリートを撮り続けるビル・カニンガムに取材したドキュメンタリ作品「ビル・カミンガム&ニューヨーク」です。
日本でも街角のファッション・スナップは、定着して、各誌競うように特集を組むようになりました。僕が20代の頃には、メンズクラブの「街のアイビーリーガーズ」こと街アイが全国で流行してました。当時は、掲載月に合わせて季節を先取りしたファッションで、街に繰り出し、カメラに収まるように取材場所をうろちょろしたしてたものです。
ニューヨークポストの名物カメラマンでファッションコラムニストとして50年にわたり活躍するビル・カニンガムを10年にわたり取材したドキュメンタリーです。
世界でもっとも刺激的な街、ニューヨークを自転車で走り回り一日中、ストリートファッションを取り続けるビルの美意識により、ニューヨーカーたちは彼に撮られることそのものがファッションとなっています。
彼が切り取るストリートファッションは美しく、多彩です。そして個性的でありキュートです。そうして撮り続けれたショットは、ファッションを通したニューヨークカルチャーの歴史を刻んでいて刺激的です。
作品の中で語られるビルの言葉は、ファッションに対する愛にあふれ、さらにファッションを撮るという行為を人生にかえた存在に感じます。その言葉は、決して格言的な重みではなく、彼のカメラを向け時に被写体に向けられるキュートな微笑みのよう染みわたります。
そんな彼がフランス芸術勲章を受章した時のスピーチ「美を追い求める者は、必ずや美を見出す」彼の人生そのものを物語っていました。