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映画 誰もがそれを知っている

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イランの名匠アスガー・ファルハディにペネロペ・クルスが主演のサスペンスドラマ作品「誰もがそれを知っている」を鑑賞

 

セールスマン、別離でアカデミー賞外国映画賞を獲得し、カンヌの常連監督として知られるイラン人監督アスガー・ファルハディ。今回は、舞台をスペインに移して、ペネロペ・クルスとハビエル・バルデムが夫婦として共演、上質なサスペンス映画が完成しました。

物語は、スペインの田舎町で、ペネロペ演じるラウラが、娘イレーネを連れて妹の結婚式に訪れます。そこで、かつての恋人ハビエル演じるブドウ畑を営むパコと再会します。家族や町の幼馴染たちと結婚式のお祝いを開いていた夜に、過去の誘拐事件の記事を残してイレーネが誘拐され、犯人から身代金を要求されます。そこには、警察に通報しおさない娘が帰らぬ人となった過去の事件が絡み、かつての恋人パコは、ラウラのある告白で自らの経営権を売って身代金に当てようと考えます。

誘拐事件を発端に、ラウラの父と町の人々やパコに対する過去の因縁が再燃し、さらにパコの恋人や姉の家族を巻き込んで誘拐事件は泥沼化、そんな状況を監督の巧みな心理描写が隅々まで行き渡りサスペンスの醍醐味が味わえます。セールスマンや別離では、イランの社会問題をうまく取り入れたメッセージ色の強い作品でもありましたが、今回も、農園に従事する人が更生を図る場となっていて、そうした人々への疑いの目線をあり、犯人像が複雑化しています。ラウラとパコ、ラウラの夫の過去の歴史がサスペンスの伏線となる見事な演出に感服です。

終盤で犯人が明かされる設定となっていますが、その伏線となった出来事とラストシーンは人間心理を表現する監督の真骨頂を感じました。ファルハディ監督を知るには、この作品が一番しっくりくるのではと思います。過去の作品を観ていない人は、ここからスタートしてみてはどうでしょうか。きっと、ファルハディ監督の作品を好きになると思います。


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