◇ エイザン × ヒナ オクタマスミレ②
エイザンスミレの学名は V.eizanensis 、ヒナスミレは V.tokubuchiana var.takedana です。この両種の雑種にも学名があります。オクタマスミレの学名は V. × savatieriとなります。「 x 」は雑種を意味する記号で, savatieri は雑種につけた種小名です。この場合、どういう種と種の雑種かわからないので、 V.eizanensis × V.tokubuchiana var.takedana とした方がわかりやすいですね。さて、生殖的隔離で交雑ができないのですが、近いレベルでは交配が可能で、当然交雑種には双方の遺伝的形質が現れる場合が多いです。*雑種では稔性が無いのが一般的で、つまり不念の雑種の存在は、生殖的隔離が確立しているわけです。*例外も有り。
今回は葉の形態に注目しましょう。
③ 撮影日:2012.4.29 撮影地:関東地方 撮影者:研究員A
③の写真を葉に注目してトリミングしたのが④の写真です。ヒナスミレの葉は長卵形~長披針形で、エイザンは3裂の深い切れ込みがあり、それがさらに裂けて一見5小葉に見えるものもある(2004.いがり)。つまり、ヒナの葉の形に葉の基部に切れ込みが入っているので、これはヒナではなく、エイザンか切れ込みのあるヒゴスミレかな?と考えます。となると、ヒゴ×ヒナの交配種と比較したくなりますね。それは次回になります。参考文献:2004.いがりまさし 山渓ハンディ図鑑6増補改訂日本のスミレ
よく、鋸歯と葉の切れ込みを勘違いして鋸歯が深いものをオクタマスミレと判断しがちですが,鋸歯とここの深い切れ込みは全く違います。鋸歯とは文字通り鋸の歯の様に一直線上にギザギザに切れ込みが入る物を指します。エイザンスミレ等との交雑でできる切れ込みはそれとは異なり二段階で角度を変えて切れ込みが入ります。(コンコルド旅客機の先端みたいな感じ?)
文責: ●<研究員A> ●<研究員B>