正規の運賃の数分の1となる超格安切符が用意されているが、短期滞在の外国人だけが対象。JR西日本では紅葉シーズンの11月には、建物の外にまで張り出した列が何重にもなると見込む。担当者は「日本へのリピーターになってもらえれば」と外国人旅行客に熱い視線を注ぐ。
■建物に入りきらない!
初秋の平日。昼食時間が過ぎた頃、JR関西空港駅の「みどりの窓口」は、中に入りきらない外国人旅行客らが建物の周りをぐるりと囲んでいた。みどりの窓口はもちろん、日本人も利用でき、新幹線などの切符を購入できるが、建物の中で聞こえてくる言葉は、中国語が多く、ときおり韓国語が耳に入る。中国語ができる女性スタッフが、中国語案内のプレートを首から下げ対応していた。
.並んでいた外国人旅行客の目的は、「JRパス」と呼ばれる格安切符を買い求めることだ。みどりの窓口の建物には「JR Ticket Office(チケットオフィス)」と大きな文字の英語を掲げ、英語や中国語、韓国語で「パスポートを準備してください」などと書かれている。
並んでいた韓国から来た女性に聞くと、「(長い待ち時間も)安いから大丈夫」と笑顔をみせた。
「JRパス」はさまざまな種類があるが、現在の売れ筋は「関西ワイドエリアパス」。兵庫県の浜坂駅、和歌山県の新宮駅、福井県の敦賀駅、岡山駅まで行けて、一部の新幹線や在来線の特急も乗車でき4日間乗り放題で7千円というから、長蛇の列も理解できる。
このほか、もう少し値段が下がる「関西エリアパス」は1日用2千円、2日用4千円、3日用5千円、4日用6千円で、こちらは一部特急を含め在来線のみだが、関西地区の路線が乗り放題だ。
また関西から博多まで使える「山陽エリアパス」が4日間で2万円、8日間で3万円。関西から四国、山陽、九州で使えるパスは5日間で2万5千円。いずれも新幹線に乗れるというから驚きの安さだ。
JR西によると、「長蛇」の列ができる時間はある程度決まっており、海外から早朝の到着便がある時間帯の午前5~8時、午後1~5時の間になるという。
.■「とぐろ巻く列」へ
外国人用のパスは関西空港駅のほか、京都駅や大阪駅などJR西の主要駅でも扱っているが、空港に降りたってすぐ駅に直行できるため、関空がやはり利用者が多い。
ただしパスはいずれも残念ながら日本国籍だと購入できない。
対象は短期滞在の外国人に限られている。
みどりの窓口の建物に大きく英語、中国語、韓国語でパスポートを準備するよう書かれているように、窓口の職員にパスポートをみせ、短期滞在であることが確認されれば、購入することができる。
この長い列は昨年あたりからできるようになった。その背景としては、関空を拠点とするピーチ・アビエーションが昨年3月に就航し韓国や台湾、香港便が次々に実現するなど、格安航空会社(LCC)が実績をあげていることがあげられる。またLCCで安く日本旅行が可能になっていることに加え、今年は安倍晋三政権の「アベノミクス」で円安基調が続いており、さらに旅行がしやくすくなった。パスの人気はより高まっている。
そして紅葉の季節を迎える11月には、JR関西空港駅のみどりの窓口に並ぶ行列は、「とぐろを巻いたように何重にもなる」(JR西日本担当者)という。紅葉は、沖縄より南にある台湾や香港などから訪日した旅行者には人気で、この時期各地を安く旅することができるJRパスは魅力だ。
.■紅葉時期には態勢強化
JR関西空港駅には現在、天王寺や大阪、新大阪、京都など主要駅を英語、中国語、韓国語で表記し、所用時間なども書いた看板を掲げている。ほかにも前述したみどりの窓口建物にある「JR Ticket Office」など外国語表記は数多い。みどりの窓口には中国語ができるスタッフも1人いる。
だが、これらは今年9月13日なってから新たに始めた。JR西の外国語ホームページで、JRパスを紹介し出したのも昨春になってからだ。
関空が開港したのが平成6年。20年目にしてようやく実現した試みだ。
JR西の担当者によると、これまでJR関西空港駅には外国語表記が少なく、切符を買い求めようとする外国人が右往左往する姿が見られた。
そうした不便さを解消しようと、9月13日からは駅の各種説明文は日本語、英語、中国語、韓国語の4カ国語を併記。みどりの窓口には、4カ国語のパンフレットも用意し、中国語の案内スタッフ1人を来年4月までの予定で配置している。台湾人2人と中国人1人が交代で勤務し、午前11時から午後7時まで1人が常駐している。
紅葉を迎える11月には、中国語スタッフを2人配置にし、窓口も4カ所から5カ所に増やすという。
JR西の担当者は「昨年からイン・バウンド(外国人旅行者増加)の取り組みを本格化した」とし、「海外のお客さまが利用しやすくするため」と説明するが、列車運行の固定費は変わらないため、格安でも商売になるという事情がある。
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■建物に入りきらない!
初秋の平日。昼食時間が過ぎた頃、JR関西空港駅の「みどりの窓口」は、中に入りきらない外国人旅行客らが建物の周りをぐるりと囲んでいた。みどりの窓口はもちろん、日本人も利用でき、新幹線などの切符を購入できるが、建物の中で聞こえてくる言葉は、中国語が多く、ときおり韓国語が耳に入る。中国語ができる女性スタッフが、中国語案内のプレートを首から下げ対応していた。
.並んでいた外国人旅行客の目的は、「JRパス」と呼ばれる格安切符を買い求めることだ。みどりの窓口の建物には「JR Ticket Office(チケットオフィス)」と大きな文字の英語を掲げ、英語や中国語、韓国語で「パスポートを準備してください」などと書かれている。
並んでいた韓国から来た女性に聞くと、「(長い待ち時間も)安いから大丈夫」と笑顔をみせた。
「JRパス」はさまざまな種類があるが、現在の売れ筋は「関西ワイドエリアパス」。兵庫県の浜坂駅、和歌山県の新宮駅、福井県の敦賀駅、岡山駅まで行けて、一部の新幹線や在来線の特急も乗車でき4日間乗り放題で7千円というから、長蛇の列も理解できる。
このほか、もう少し値段が下がる「関西エリアパス」は1日用2千円、2日用4千円、3日用5千円、4日用6千円で、こちらは一部特急を含め在来線のみだが、関西地区の路線が乗り放題だ。
また関西から博多まで使える「山陽エリアパス」が4日間で2万円、8日間で3万円。関西から四国、山陽、九州で使えるパスは5日間で2万5千円。いずれも新幹線に乗れるというから驚きの安さだ。
JR西によると、「長蛇」の列ができる時間はある程度決まっており、海外から早朝の到着便がある時間帯の午前5~8時、午後1~5時の間になるという。
.■「とぐろ巻く列」へ
外国人用のパスは関西空港駅のほか、京都駅や大阪駅などJR西の主要駅でも扱っているが、空港に降りたってすぐ駅に直行できるため、関空がやはり利用者が多い。
ただしパスはいずれも残念ながら日本国籍だと購入できない。
対象は短期滞在の外国人に限られている。
みどりの窓口の建物に大きく英語、中国語、韓国語でパスポートを準備するよう書かれているように、窓口の職員にパスポートをみせ、短期滞在であることが確認されれば、購入することができる。
この長い列は昨年あたりからできるようになった。その背景としては、関空を拠点とするピーチ・アビエーションが昨年3月に就航し韓国や台湾、香港便が次々に実現するなど、格安航空会社(LCC)が実績をあげていることがあげられる。またLCCで安く日本旅行が可能になっていることに加え、今年は安倍晋三政権の「アベノミクス」で円安基調が続いており、さらに旅行がしやくすくなった。パスの人気はより高まっている。
そして紅葉の季節を迎える11月には、JR関西空港駅のみどりの窓口に並ぶ行列は、「とぐろを巻いたように何重にもなる」(JR西日本担当者)という。紅葉は、沖縄より南にある台湾や香港などから訪日した旅行者には人気で、この時期各地を安く旅することができるJRパスは魅力だ。
.■紅葉時期には態勢強化
JR関西空港駅には現在、天王寺や大阪、新大阪、京都など主要駅を英語、中国語、韓国語で表記し、所用時間なども書いた看板を掲げている。ほかにも前述したみどりの窓口建物にある「JR Ticket Office」など外国語表記は数多い。みどりの窓口には中国語ができるスタッフも1人いる。
だが、これらは今年9月13日なってから新たに始めた。JR西の外国語ホームページで、JRパスを紹介し出したのも昨春になってからだ。
関空が開港したのが平成6年。20年目にしてようやく実現した試みだ。
JR西の担当者によると、これまでJR関西空港駅には外国語表記が少なく、切符を買い求めようとする外国人が右往左往する姿が見られた。
そうした不便さを解消しようと、9月13日からは駅の各種説明文は日本語、英語、中国語、韓国語の4カ国語を併記。みどりの窓口には、4カ国語のパンフレットも用意し、中国語の案内スタッフ1人を来年4月までの予定で配置している。台湾人2人と中国人1人が交代で勤務し、午前11時から午後7時まで1人が常駐している。
紅葉を迎える11月には、中国語スタッフを2人配置にし、窓口も4カ所から5カ所に増やすという。
JR西の担当者は「昨年からイン・バウンド(外国人旅行者増加)の取り組みを本格化した」とし、「海外のお客さまが利用しやすくするため」と説明するが、列車運行の固定費は変わらないため、格安でも商売になるという事情がある。
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