透明人間たちのひとりごと

大人の対応と決着

 日韓両国が領有権を主張する竹島(韓国名・独島)の
領有権問題を国際司法裁判所に共同提訴する旨を提案
した野田首相からの李明博(イミョンバク)大統領宛の親書
を韓国政府は23日に返却すると発表して、韓国大使館の
参事官が日本の外務省を訪れましたが、外務省は構内へ
の立ち入りを拒否したために返却は叶いませんでした。

 これを受けて韓国政府は書留郵便で日本政府に送り返す
という対抗処置を取ったのです。

 「これじゃ、まるで子供のけんかだ」

 そう口火を切った1号 さんに、「当然じゃないですか !!
親書を突き返してきたんですよexclamation2」 憤懣やる方ない形相の
2号 さんがツッコミます。

 「親書を返すのは非礼だけど、大使館員を門前払いする
のもどうかな。 見た目には無礼な行為に映るし …」

 「どっちに非があるかは別にして国際社会が見ていること
を念頭に置いておかないとね」

 「だけど、親書として渡したものを返すと言われて、『はい、
そうですか』 って受け取るわけにもいかないでしょう」

 2号 さんだけでなく ボク もそう感じていたので …

 「じゃあ、どうすれば良かったんですか eq

 思わず、ボク は大きな声で 1号 さんを見返しました。

 「そうだな、まずは応接室に招き入れて冷たい飲み物でも
差し出して余裕を見せる。 相手は使いの者で決定権者じゃ
ないからね。 それから徐(おもむろ)に親書を受け取らない
ことのマイナス面を説いた後に、再度来られるのならその時
には返却を甘んじて受けると伝え、今回は引き取ってもらう」

 「まあ、これが 大人の対応 だな」

 自画自賛するかのように頷(うなづ)く 1号 さんでした。

 要は、日韓のメディアだけでなく世界中に配信されること
を考えて対応するのが、大人の知恵であり、空気を読む
ことにもなるというのです。

 ところで、

 暗黙の了解、大人の知恵、空気を読む、これらを称して
「大人の対応」 と呼ぶらしいのです。

 揉めごとの論点や問題点を曖昧にしたままに、先送りし、
棚上げし、引き延ばすという最善でも次善でもなく、また
最悪とも言い難い結論を導くように配慮し調整することが、
どうやら 「大人の対応」 だとされるようです。

 「あちらを立てればこちらが立たず、こちらを立てれば
あちらが立たず
」 で結局のところ大人の知恵を働かせて
頬かむりをするのです。

 「大人の対応」 としての大人の知恵による
妥協の産物 というやつです。

 ところで、「大人の対応」 をするには、ある程度の
余裕がないと出来ないのも事実です。

 たとえば、経済的な余裕とか、心理的な余裕です。

 この件では日韓両国共に余裕が見られません。

 その余裕を是とするわけではないのでしょうが …

 
 そういえばと思って、束ねた新聞紙をひっくり返して見つけ
出したのが8月14日の静岡新聞 「論壇」 にある佐藤隆三氏
(ニューヨーク大名誉教授)の 『竹島問題と日本の外交』 と
いう記事です。

 そこには、

 「外交とは相手が最も嫌がることを最も思いやりのある
方法で実行することである
」 という言葉が踊っていました。

 これはハーバード大出身のアイザック・ゴールドバーグ博士
の名言だそうです。

 さて

 本日(24日)午後6時からの臨時会見において野田首相は
、竹島や尖閣諸島の問題について 「毅然と不退転の覚悟で
臨む」 として、一貫して冷静な対応をしたと言っていました。

 書留により返却された親書を受け取った玄葉外務大臣は
「日本の外交の品位が問われる」 として再送付はしないとし
藤村官房長官も再度送らないことが 「大人の対応」
だと述べましたが、なんだかスッキリとしません。

 果たして、それが毅然とした対応であると言えるのか

 如何なる関係下にあろうとも親書は受け取るのが礼儀で
すし、外交上の不文律でもあったはずです。

 言い換えれば 「紳士協定」 を一方的に突き破って
返しに来たとも言えるわけです。

 だから門前払いをしたはずなのに、書留で返送されたら
何事もなかったかのように受け取るのですかeq

 プライドに固執しないそうした柔軟性は評価されるとしても
、短絡的に後始末をつけようとする後ろ向きのチキン体質
は相変わらずで、現状逃避する敵前逃亡のような事なかれ
主義を標榜する従順なる遺伝子が、今回、またしても遺憾
なく発揮されたということではないのでしょうか。

 異論もあるでしょうが ボク にはそう見えてしまうのです。

 「さすが大人の対応」 とか 「なかなか大人の対応だね
とか、一般的には褒め言葉のようですが、ボク にはむしろ
、イソップ物語の 『キツネとツル』 にある駆け引きを駆使した
報復合戦を とすれば、決してスッピンを見せたがらない
厚化粧の女性の いやらしさ とする 負のイメージ
その言葉の裏に垣間見る思いがするのです。

 佐藤隆三氏は、「歴史的に見て竹島が日本の領土である
ことは疑う余地がない」 として 「この問題の根は、日本外交
が戦後、日本の主権を守る外交努力をしてこなかったところ
にある。 領土と主権を守る外交とは、最終的には武力行使
も辞さずの毅然たる態度を国家が貫くことだ」 としています。

 その通りだと ボク も思うのです。 

 その意味からも門前払いをして返却を拒否したのならば、
書留で返された親書も拒否するべきだったと思うのです。

 品位の問題ではありません。  返却を受け付けないとして
門前払いをした段階ですでに品位に欠けているのですから、
あとは最後まで有限実行あるのみです。

 毅然 とはそうした 姿勢 を言うのではありませんかeq

 そのうえで、今夕のような関係各国と国民に向けた会見を
して政府の確固たる意思を表明するメッセージを発すれば、
尚更に良かったと思うのですが …

 佐藤氏の記事では、「相手国の大使を呼びつけたり、日本
の大使を帰国させたり、のレベルの抗議が精一杯で …。

日本さえ平和を遵守すれば、他国は悪意のある行為
をしないから、思いやり外交を守る
>が日本外交の基本
であった。 これは決してゴールドバーグ外交ではない。

 北方領土でも尖閣諸島でも、日本の国益を守るためには
、相手の嫌がる手段を取らざるを得ない場合もある」 … と
しています。

 そして最後に、

 「性悪説がはびこる国際社会で性善説を信奉してきた
日本外交の限界が表面化している
」 と結んでいます。

 なるほどその通りですが、ボク は、ゴールドバーグ外交
を必ずしも是としません。

 弱みと見れば、因縁をふっかける非合法組織のようで …

 どうも シックリ と来ないだけではなく 納得 のいかない
表現ですが、1号 さんの言う 「大人の対応」 とは
、こうしたことも含めて言っているのでしょうかquestion2


 嗚呼

 「何も分っちゃいない」

 とでも言うように、首を振り続けている1号 さんです。

 野田首相の会見を受けて、早速にも韓国政府は抗議の
会見を開いたようですが …

 子供の喧嘩 は、いつになったら 大人の決着
見せてくれるのでしょうか

 はてさて、これから先の日韓両国の未来は …

 どうなってゆくのでしょう

コメント一覧

皮肉のアッコちゃん
弘法も筆を誤ったのか? サルが木から落ちたのか?
ダダっ子の転がりマチガイだったようで、アテがはずれて
弁解に必死の李明博大統領に仏心は禁物ですよね!

ゴキブリ大使さん。 
ゴキブリ大使
皮肉のアッコちゃん、大正解です。

駄々をこねるガキが地べたに寝転がってジタバタするから
やむなく欲しいものを買ってあげるなどのご機嫌をとる。
これが日本人の言う大人の対応で、味をしめたガキどもは
たびたびこの手で目的を達成する。

こうしてガキのふりをした他国からむさぼられ続けている
大人のつもりの日本は、大きく国利国益を損ねている事実
に今もって気づかないんだからまったくの悲劇だぜぇ~。

皮肉のアッコちゃん
 ― 国是が全方位外交の国民の悲劇 ―

泣く子と地頭には勝てない訳で、子供の対応→駄々っ子作戦は
常に八方美人に勝るのです。

ゴキブリ大使
甘いな、1号! ガキの使いじゃないんだから、省内に入れば面会者に対峙して、何としてでも親書を置いてくるだろうよ。
場合によってはドタバタ劇の果ての修羅場だってあり得るかも…

書留は突っ返すべきだったという5号の意見にオレは賛成だな!
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