透明人間たちのひとりごと

続 『はだしのゲン』問題

 夕刻からの局地的な激しい雷雨、ストロボのように点滅
する稲妻の嵐とドドォーンという雷鳴の刹那、バチッと音が
して、ついに停電という緊急事態が発生したのです。

 嗚呼、時すでに遅し …  停電の恐れがある
ことは分かりきったことなのに、何故、こんなときに限って
SAVE しておかなかったのか

 毎度、毎度、悔やまれる不手際にもかかわらず一向
に改善されないのは、快調に筆が運ぶという落し穴を前に
して一気呵成に仕上げてしまおうとする我欲が突っ張って
しまったからでしょう。

 文字数にして、数千の文章が一瞬にしてお釈迦になって
から嘆いてみても始まらないわけですが …

 思えば、東日本大震災後の計画停電以来の真っ暗闇の
なかで人知れず流す涙の武勇伝となったのですase

 「涙の武勇伝」 right (キータッチのミスや停電などに
よる文章の喪失をそう呼んで冷笑しています)

 詳しくは、拙稿 『涙の武勇伝』 を …

exclamation http://sun.ap.teacup.com/japan-aid/283.html(参照)

 さて

 強引に 『はだしのゲン』問題の続編を書かせろ
と無理強いをしたことへの天罰 だと言う 5号の怨念に
報いる意味からも …

 さあ、気を取り直して、 思い出し、思い出し …

 兎にも角にも書き進めることにしましょう
ase2

 先頃、

 原爆投下の同意決定にチャーチル(当時の英国首相)
の直接介在があったという機密文書が公開されましたが、
2000年9月にも、米国立公文書館が第2次世界大戦前後
の機密文書を公開したことがありました。

 それは 1998年に連邦議会で制定された「ナチスの戦争
犯罪に関する情報公開法」 に基づく措置で、公開された
文書には、全米のみならず世界中を揺るがす衝撃の内容
が書かれていたのです。

 1945年のニュルンベルク裁判では、ナチス・ドイツによる
人道に対する罪などで多くのナチス党員が戦犯として有罪
判決を受けたわけですが、大戦中に残虐な行為を行なった
ナチス党員のなかには、処罰されることなく、戦後、米国の
諜報員として活躍していた者がいたというものです。

 CIA(米中央情報局)とナチス・ドイツ下で陸軍参謀本部
の情報将校を勤めていたラインハルト・ゲーレン(1902年
~1979年)が戦後まもない時期から密接な関係を築いて
いたという内容で、ゲーレンが強制収容所の捕虜を残忍
に扱っていたという疑惑があったのにもかかわらず、彼を
米国本土に密入国された経緯について、CIAの前身組織
である対敵諜報機関OSS(戦略活動局)が深くかかわって
いたというものでした。

 ドイツの敗戦が濃厚となる時期を前にして連合国内では
資本主義体制の米英と共産主義体制のソ連との間に亀裂
が生じていました。

 そこで、降伏後のドイツの処遇をめぐって、両者の対立が
表面化したわけですが、そうした国際情勢の潮流を敏感に
感じ取っていたゲーレンは投降する際に、米国が咽喉から
手が出るほど欲しがるものを手土産として持参したのです。

 それは、戦時中に集めたソ連の軍事基地などに関する
膨大な機密情報でした。

 ゲーレンの対ソ諜報活動の経験と能力を高く買っていた
米国は、戦犯として葬るよりもソ連その他の共産勢力との
諜報合戦における貴重な戦力としての活用を検討したこと
で利害の一致を見た両者の蜜月はこのときからはじまり、
ゲーレンはベルリン陥落からおよそ1年後の1946年7月に
ドイツに戻り、早速、ソ連の情報を収集できる人材の確保
に着手したのです。

 やがてゲーレンの下には優れた諜報能力をもった人材が
集まり、米国の支援もあって数百人規模の対ソ諜報組織
「ゲーレン機関」 が設立され、以後、欧州における
対ソ諜報活動の一大拠点として発展していくわけです。

 ところが、ゲーレンが集めた諜報員の多くは、元ナチスの
高官や親衛隊、ゲシュタポ(秘密警察)に所属していた人物
であり、なかには戦犯の容疑者も存在していたのです。

 さらに、

 この公開文書には、CIAがナチス戦犯を匿っていたという
事実の他にも、CIAがナチス残党(アイヒマン)の所在情報
を隠蔽していた事実なども記されていたのです。

 同じことは東京裁判でもあります。

 旧日本軍の731部隊(関東軍防疫給水部本部)right 通称:
石井部隊では、捕虜とした中国人やロシア人、朝鮮人など
を使って、生物化学兵器の生体実験を行なっていたことで
知られていますが、こうした非人道的な行為自体は、日本
が無条件降伏する1945年まで続けられていました。

 戦時中に蓄積した実験データは、戦後日本を占領統治
したGHQ(連合軍最高司令官総司令部)に引き渡された
わけですが、生物化学兵器の実験データが欲しい米国が、
すべての研究資料と引き換えに、731部隊員の戦争犯罪
を免責にするという取引を行なっていたのです。

 事実、東京裁判では731部隊の関係者は1人も裁かれて
はいないのです。

 さらに、GHQは元731部隊員に研究データ提供の見返り
として現金を供与していたことも判明したのです。

 これらは、ゲーレン機関とCIAとの関係と同様に、米国立
公文書館が公表したGHQの機密文書から明らかとなった
事実なのです。

 ゲーレン機関や731部隊に対しての姿勢は、人道上重大
な犯罪に目を瞑る行為ですが、国際政治や力学における
情報の重要性はますます高まっているわけで、冷戦終結
から20年が経った現在でも世界中で熾烈な情報戦が繰り
広げられていることは 「スノーデン事件」 を見る
までもなく、同盟国を裏切り続ける米国という国家の現実
ダブルスタンダード)を如実に示すものなのです。

 「歴史のミステリー」 No.66 By DeAGOSTINI 適宜引用


 おいおい

 いつになったら 『はだしのゲン』 が出てくるんだ

 すいません。 決して、忘れているわけではないのですが
、なにせ、きのう書いた文面が思い出せなくって …

 やっぱり、忘れてるじゃないかexclamation2

 思い出せないことを忘れているって言うんだろ eq

 … って、そんな愚にも付かないような 屁理屈
捏ねくりまわさないでください。


 symbol2symbol2 つまり、こうした論点のすり替えや取り違えが

 『はだしのゲン』問題(きも)なのです。


 ブラックアウトから開放され、復活した明るい部屋で見た

 昨夜の「NHK news Watch 9」
での特集だったと思うのですが、富山の大空襲の記録と
して、空襲をうけた被害後の特高警察による市民に対する
戦意や心情に関する調査報告には、痛々しくも生々しい
市民の本音が語られていました。

 そこにあったのは誰に憚(はばか)ることなく体制を批判し
戦争終結を望むサイレント・マジョリティの 声なき声
叫ばれていたのです。

 『はだしのゲン』 のなかで叫ばれるもそうした
民衆のつたない叫び声なのです。

 体制を批判するのが民衆のせめてものうっぷん晴らし、
ならば、稚拙な政治的な言葉しか持ちえなくても、それが
精一杯の抵抗や怒りのはけ口でしかないことは十二分に
理解できるでしょう。

 それが真実であり、そこに 「政治的主張」や「思想信条」
や「天皇制批判」 の意図などがあるとは思えないのです。

 ただ、気になる点がないわけではありません。

 『はだしのゲン』 は、前半部と後半部で掲載誌が
違います。

 前半で作者は、被爆体験を中心に描き、『少年ジャンプ』
で連載されました。

 後半は左派系市民誌『市民』、日本共産党系の論壇誌
『文化評論』、日教組の機関誌『教育評論』(いずれも現在
廃刊)で掲載されていました。

 掲載元から察するに後半は政治主張が甚だしく、残虐な
場面や旧日本軍および日本国家への批判が繰り返されて
いると安直に連想してしまいがちで、漫画の雰囲気が変化
したとする意見が多くみられますが、前半部と後半部では、
視点が変わったのです。

 前半でのゲンの被爆体験の視点から、後半では俯瞰化
されて戦中戦後の民衆の記録漫画になったということです。

 symbol2★☆ しかし、市教委の判断はそこではありません

 あくまでも過激な描写への懸念によるもので、その意味
からは真実性はともかく妥当性を否定できないわけです。

 そして、この問題の正当性を問うとなると、先の米国の
ダブルスタンダードと大同小異の二律背反となって自家
撞着を起こしてしまうのかもしれません。

 いずれにしても、

 「過激な描写」 を問題としているのなら妥当の判断
があっても不思議ではなく、『はだしのゲン』 に特化
して 「閉架」 とするなら、他のすべての蔵書の総点検が
必要となるでしょう。

 個人的には 『はだしのゲン』 は、清濁併せ呑む
配架されるべき貴重な図書だと思いますが …

 正直、判断の分かれる問題ではあると思います


 やれやれ、昨夜の文章とは打って変わり、随分と
 
 テイストの違う記事になってしまいましたが、アホ
「涙の武勇伝」 がまたひとつ増えたということで …

 なにとぞ ご勘弁を !! ase2

コメント一覧

ココナン
アメリカという国の現実はダブルスタンダードで「はだしのゲン」問題ともリンクすると指摘していますが、そうかも知れません。
NSA(国家安全保障局)が国内のEU施設や各国大使館だけでなくニューヨークの国連本部でも内部の会議を盗聴していたことが、スノーデン容疑者からの極秘文書で明らかになったと、ドイツの有力誌シュピーゲルが報じていました。
「はだしのゲン」問題も裏で暗躍する何者かが仕掛けたと100%否定できない気がします。
時期が時期だけに、どす黒い陰謀が蠢いているのかも。
(限りなく可能性は低いですが…)
バカボンのパパのパパ
姑息というよりは痛いところを上手く突いていたのだ。
ところが、予想外の反響に面食らってしまったのだ。
個人的には閉架にさほどの違和感はないのだ!
そういう市町村がひとつやふたつあってもいいのだ!
そのほうが健全なのだ。その地域の子どもたちには不幸な出来事だが、それも仕方がないのだ!
昭和小僧ジロ吉
旧日本軍の見るに堪えない残酷シーンや女性への暴行場面は嫌でも問題の「慰安婦」=「性奴隷」を連想させるものでもある。
良しとしない一部勢力の意見はわかる。
ところが矛先は「過激な描写」に向かった。
この方が母親達の共感を得やすく否定されにくいとでも判断したか? 松江市教委!

古希古希マン氏の指摘どおり姑息であるな。
餃子ライス
「天皇をわしゃ許さんわい! 君が代なんか国家じゃないわいっ!」

こうしたセリフを日教組や左翼系のさしがねだと問題視する意見があるけど、これこそが文中にある民衆の怒りの声だよ。
俺だって怒っているときには尊敬している人に向かって心にもない悪態を吐くし、雑言を浴びせることもある。
それが人間ってもんじゃないの?
クライングフリーターマン
「見るな」と言われれば見たくなるのが人情。
いろいろ意見が分かれても、興味本位に勝る誘引剤はない。
『はだしのゲン』バカ売れの現実…
古希古希マン
日本軍が中国人やアジアの人々の首をはねたり、女性に性的な辱めや乱暴を行なうシーンは、子どもには過激すぎるという松江市教育委員会の判断は妥当ではあるが、姑息であることに変わりはない。
ならば、閉架対象外図書の総評とその理由も同時に発表すべきである。
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「ひとりごと」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事