透明人間たちのひとりごと

ウサギとカメの物語 <2>

 「ウサギとカメの物語 <1>」 からのつづきです。

 イソップ童話のなかでも、超のうえに超のつくほど有名な
「ウサギとカメ」 の物語 は、小は巷にゴロゴロと転がって
いるような各個人の問題から、大は国家間や世界の問題、
あるいはイデオロギーや歴史に代替される対象や事象にも
なり得る壮大な比喩の物語なのです。

 ですから、

 その表面上の結末も物語の解釈も、これだとひとつ
にしぼれるものではありません。

 この話を聞かされたときに、なんとなく不自然に感じること
がいくつもあると思います。

 ひとつには、ウサギの不遜さとデリカシーのなさですが …
以下にいくつか箇条書きにしてみます。

 1 歩みの遅いカメを挑発するウサギの心理(意図)
   (オトナがハイハイする赤ん坊をからかうようなもの)

 2 競争の途中なのに休むだけではなく眠った理由
   (休んだり寝るのであればゴールしてからでしょう)

 3 ウサギのホームグランド(陸上)で勝負するカメの心理
   (陸ガメでもハンデはなく、海ガメなら無茶な話でしょう)

 4 寝ているウサギを起こさずに黙って追い抜いたカメ
   (途中で具合が悪くなって倒れている可能性もある)

 5 真の勝者や敗者が不在(不明)の物語となっている
   (表向きは継続は力なりだが油断大敵でもある)

 これらの不自然さはすべてある目的のために仕組まれた
トラップ(罠)なのです。

 その目的とは、ズバリ 八百長 だということです。

 レースそのものを成立させてカメが勝つように演出された
言わばイカサマの八百長レースだったのです。

 しかし、ただのイカサマではありません。

 表面上ではカメが勝ちウサギが負けるというストーリーは
ポピュリズムの極み大衆迎合そのものです。

 そして、そこに 落とし穴 があるのです。

 私たちが真実・本物だと信じ込んでいる世の中の出来事
そのものがイカサマであり世界中が欺(あざむ)かれている
という可能性を示唆するものなのです。

 そのために二重三重のトラップが張り巡らされていたわけ
ですが、そのことを演じているウサギやカメはもちろんのこと
他の一般の人々にも気づかれては元も子もありません。

 簡単に読み解かれてしまうようでは、イソップとしての
名折れですし、その名も廃(すた)れてしまいます。

 気づいてもらいたい人は、未来の聞き手や読者の一部で
あって、だからこそ、いかようにも自由に解釈ができる内容
になっているのです。
 
 前回の 「ウサギとカメの物語 <1>」 のさわりの部分で
未来人への挑戦状と言ったのはそういう意味なのです。 

 つまり、

 聞くべき人々が聞き、読むべき人々が読んだときにだけ
気づくようにわざとらしい不自然さを漂わせているのです。

 ですから、ウサギやカメの不自然に思える行動の裏には、
人々がそれぞれに勝手な想像力をかき立てて、自分なりに
納得のいく結末や解釈を導かせるためのトラップ・ポーズと
なっているわけなのです。

 いくつもの解釈や結末を用意させるために仕組まれた罠に
あなたもどっぷりと嵌(はま)ってはいませんか

 たとえば、
 
 1 ウサギがイヌやネコを挑発して勝負をするのなら、まだ
   分かりますが、あきらかに足の遅いカメをからかう経緯
   (いきさつ)が腑に落ちませんよね。

   そこで、カメが生意気だったからとか、仲間内ではビリ
   だったウサギが必ず勝てる相手として選んだというよう
   な勝手な解釈が生まれてきます。

 2 レースの途中で休み眠ったことも、わざと負けてカメに
   自信を持たせようとしたとか、余裕で寝たふりをしてカメ
   がゴール寸前に迫ったら猛ダッシュで差し切るつもりが
   つい寝てしまったとか、慢心と油断からの結果であると
   いう極めてオーソドックスな解釈も当然あるわけです。

 3 途中で意識を失うとか、足を折るようなアクシデントでも
   起こらない限り、ウサギの勝ちは明々白々なのに何故
   カメは勝負を挑んだのか。

   カメの目的はレースに勝つことではなくゴールすること
   にあったとか、ついカッとなって競争しようなどと心にも
   ないことを言ってしまったけど、いまさら後に引くことが
   できなくなっってしまったというふうにも思われます。
  
   つまり読み手や聞き手の自由な解釈が可能なのです。

 4 寝ているウサギを尻目に黙って抜き去ったカメの行為
   は、スポーツマンシップに欠ける卑怯な行いであるとか
   勝負とは非情なものだから、それはそれで当然である
   など、かしましい限りですよね。

 5 結局、かたちのうえではカメが勝ち、「ボクの負けだよ、
   君はなかなかたいしたものだ」 とウサギが脱帽すると
   いうストーリーが多いようですが、果たして、イソップの
   言いたかったことは本当にそうなのでしょうか

 ウサギに対して 「のろまな人をバカにしてはいけない」 と
言っているのではなく 「うぬぼれるな」 でも 「油断をするな」
でもないような気がします。

 カメに対しても 「コツコツと地道な努力が実を結ぶ」 という
ことでも 「努力するものが勝つ」 でも 「継続は力」 でもない
ような気がするのです。

 「努力したものが勝つ」 というイメージは、実に耳ざわりの
いい響きがあって、大多数の人のこころに心地よさを与える
ものなのかも知れませんが、そもそも努力をし続ける能力の
ある人なら成功する確率は端から高いわけでダメなものは
努力し継続する才能においてもダメなわけです。

 そういえば、

 カメとの勝負に敗れたウサギは、仲間からウサギの面汚し
だとして仲間はずれにされていましたが、あるときオオカミの
生贄となる3匹(羽)の仲間を救う目的でオオカミを崖の上に
誘い出し、不意をついて突進し体当たりして崖からオオカミを
突き落とすことで汚名を返上し名誉を挽回するというなんとも
涙ぐましいまでの続編も用意されているそうなのです。

 イソップにしてみれば 笑い が止まりませんよね。 

 狙い通りに に嵌(はま)ってくれているのですから
 
 それでは、私たちが嵌(はま)る 落とし穴 とは …、
イソップ真意 とは、いったい何なのでしょうかquestion2

 それは、次回 「ウサギとカメの物語 <3>」 で探ることにして
前回の <1> においてお茶を濁す意図で列挙したいくつかの
事例を簡潔に説明しておきましょう。

 イメージ         ウサギ         カ メ

   1           女性          男性
   2          デジタル        アナログ
   3          先進国         後進国
   4          強大国         弱小国
   5          古参(老人)      新参(若者)

 まず、

 1 のウサギが女性をイメージするのに抵抗感はないで
しょう。 PB誌のバニーガールや世界のスーパーアイドル、
ミッフィー(うさこちゃん)など説明の必要もありませんね。

 カメが男性を暗示しているのも抵抗はないでしょう。 その
姿から「鎧(よろい)をまとった戦士や家を背負った主人」に
もたとえられ、カメの頭(亀頭)は男性自身そのものです。

 2 のデジタルがウサギで、アナログがカメだという暗示も
イメージとして、その逆は考えにくいでしょう。

 3 先進国のウサギに対しての後進国のカメという暗示は、
走るスピードもそうですが、情報を取り込むアンテナとしての
ウサギの耳に象徴される先取性に比して甲羅に代表される
古くからの因習や旧来型のシステムという殻から抜け出す
ことができないカメの後進性を表わしています。

 4 強大国のウサギと弱小国のカメについては異論や反論
などがありそうで意見の分かれるところです。

 イメージ的には逆にも見えるのですが、イソップのギリシャ
にはウサギでは最大種のヤブノウサギ(体長50~76㎝)しか
生息していませんでした。 ウミガメやゾウガメ類を除けば、
ギリシャ陸ガメでも20~30㎝ですから、圧倒的にカメの方が
弱小(チビ)でしょう。

 5 古参(老人)のウサギと新参(若者)のカメにも違和感が
あります。

 どうしてもカメには長寿のイメージがあるからです。

 カメは種類によって寿命が20~200年と大きく違います。
それでもウサギの7~10年よりはずっと長生きです。

 つまり、

 2倍~20倍も違うということは、ウサギにとっての5歳は、
カメにとっては10歳~100歳にあたります。

 … ということは、

 生まれてからの同じだけの年数で比較すれば、ウサギの
方が2倍~20倍も古参の年寄りで、カメはまだまだヨチヨチ
歩きの新参者ということになるのです。

 いやはや、なんとも、逆説的というか無理やりですが …

 それでは、これらのことを十二分に念頭に置いたうえで、

 次回 「ウサギとカメの物語<3>」 でイソップの

 真意本音 に迫ってみることにしましょう。

 って、強引に終わろうとしてますね。

 八百長レースだけに 強引我が道 を走るのです。

 GOING MYWAYゴーイング・マイウェイ

 なんちゃって … っ、 寒(ぶ)ぅ~ animal1

 心頭滅却じゃなく亀頭でもなく念頭に置くんだよ<script language="JavaScript" type="text/javascript" charset="utf-8" src="http://p.aboutme.jp/p/qjs/34/89334.js"></script>
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