透明人間たちのひとりごと

草の根運動と共感力

 参院選から解禁となったネット選挙ですが、期待された
若い世代の投票率の押し上げ効果は、ほとんど見られず
浸透するにはまだまだ程遠いというのが実情のようです。

 今回の選挙区投票率は、前回を5ポイント余りも下回る
52.61%で、過去を振り返っても3番目に低い数字でした。

 もちろん、

 その裏側にはさまざまな要因が複雑に絡んでいるわけ
ですが、そこを探り始めると何とも収拾がつかなくなりそう
ですし、参院選の総括がこの記事の目的ではないので、
低い投票率のことはとりあえず置いておくとして、ネット上
での選挙運動の解禁について ボク なりに少し考えて
みたいと思います。

 解禁の前に期待されていたことは、ネットへの馴染みが
ある若者の投票率UPのほかにも、候補者が選挙期間中
に随時更新する政見などの閲覧が可能となり、ツイッター
や動画配信などで街頭演説の様子や予定なども知ること
が出来るうえに、双方向性の特徴と機能を生かしたSNS
(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を通じて候補者
に直接的に問い合わせをすることも可能だという触れ込み
だったわけなのですが …

 実際の利用状況や活用結果はどうだったのでしょうquestion2

 共同通信の出口調査によると、投票先を決めるときに
ネット情報を 「参考にした」 と回答した人は10.2%、逆に
「参考にしなかった」 人は86.1%と言う結果です。

 スタートしたばかりで準備不足だったことは否めませんし
、候補者も有権者にも戸惑いがあったのかもしれません。

 それでも、ブログやツイッターなどで投票の呼び掛けや
演説日程の告知が始まり、動画サイトでは各政党党首の
第一声が生中継され、候補者の演説が投稿されましたが、
興味を持った候補者がいたとしても、その情報を受け手側
(有権者側)から取りに行かなくてはならないということは、
これまでと何ら変わることはないわけで、発信された情報
も大半が一方的な内容に終始していて興味や共感を呼ぶ
ものではなかったようです。

 ただ、まだ始まったばかりの制度で手探りの段階ですが
、投稿公開された情報はネット上に 「保存」 されています
ので、検索などで誰でも簡単に閲覧が可能ですし、必要に
応じて双方向で利用できるというメリットも残されています。

 とにかく、

 有権者にとっては、政党や候補者に対する新たな判断
材料を提供してくれる重要なファクターのひとつであること
は確かなようですので、情報の発信の継続と一方通行と
ならないような発信方法を当面の課題として、より完成度
の高い制度の充実を目指してもらいたいものです。

 ああだこうだと非難するのは簡単ですが、双方向の機能
を積極的に活用して、候補者と有権者との距離をより一層
近づけるための工夫と使い勝手をよくすれば、さらに有益
なる制度となることでしょう。

 ところで、 

 無名候補者がフォロワー数で第1位だったと聞き及んで
いますが、その辺りのことを含めても、有権者と双方向で
情報を交換し共感力をそのまま票に結びつけた一例として
は、全国有数の激戦区・東京で初当選した無所属の俳優、
山本太郎氏(38)と『ネット草の根運動』の有権者
たちとの関係があげられます。

 山本氏のツイッターのフォロワー(読者)数は 21万人超で
、約1200人のボランティアは主にネットを通じて集まった人
たちだったそうです。

 シングルイシューであるとは言え、山本氏が選挙の争点
とした 原発問題 は主婦層を中心に関心度が極めて
高く、相乗効果的に街角での街頭演説などサイバー空間
から現実の世界での運動も活発化して、それが、また動画
やツイッターでのつぶやきとなって、さらにそれがネット上
に拡散していったわけです。

 そうかと思えば、

 あるタレント候補者は街頭での演説はせずに事務所から
のネット中継とツイッターやフェイスブックを中心とした運動
に徹することで、「視聴者は多い時には18万人、ブログにも
10万人以上のアクセスがあったがどうすれば票に結びつく
のか分からなかった」 と語り、終盤に一度だけ街頭に出て
みたが結果は自民党比例代表候補 29人中24位で、ブログ
のアクセス数の3分の1強の得票数でした。

 この数字をどう見るかは意見の分かれるところでしょう。

 興味をもってアクセスしてくれた有権者の半数以上の票を
逃したと見るか、3分の1もの人が投票してくれたと見るか、

 やはり後者の方が分が悪そうではありますが …

 つまり、山本氏のような共感を得ることができなかったと
いうわけです。

 ネット選挙に関しては、これからも試行錯誤を重ねて発展
していくものと思われますが、その鍵となるのは、普段から
政治活動の情報を継続かつ意欲的に発信し続けられるか
どうかにかかっていると思われます。

 ツイッターはフォロワーを獲得しなければ、つぶやいても
有権者の耳には届きません。

 支持者を獲得するには政策を分かりやすく伝え、議論を
重ね、自分の考えや思いをストレート(直接的)に訴える
ことに尽きるでしょう。

 選挙運動の紹介や活動報告といった夏休みの絵日記の
ようなものではなく、自分の言葉で考え方や思いや信念と
いったものを書き込むことで、より深く理解してもらえること
になるでしょうし、有権者からの声や問いかけにも真摯に
応じることで、国民と政治との距離は確実に縮まるものと
思います。

 価値観が多様化して、いろいろな考えを持った人たちが
暮らす現代ではカリスマ性のある圧倒的なパワーをもった
リーダーは生まれ難(にく)く、何かことを起こそうとか変革
しようとするには、不特定多数の人々が集うようなSNSの
世界とかその他のソーシャルネットワークのコミュニティー
の力を活かすのが、これからは常套手段となりそうです。

 ムーブメントを起こす時に欠かせない必須のアイテム、
それが 『ネット草の根運動』 かもしれません。

 草の根運動と言うと、支配層ではなく弱者の代表である
一般市民層による連帯や連携で横のつながりを重要視
する運動です。

 1人ひとりの輪が少しずつ連帯の幅を広げていくだけに、
強力なトップダウンによる運動に比較していかにも効率が
悪そうですが、命令された行為や行動ではなく自主的なる
連携は、まさに草の根 right 雑草のように固く、強く、そして、
しぶとい根を張れるのです。

 しかも、

 SNSの世界では、共感さえ得られれば、一気に爆発的
に拡大するチャンスと可能性が秘められているわけです。

 いずれにしても、キーポイントは「共感力」です。

 前述の山本氏の当選の影にも反原発・脱原発
いう共有する有権者の思いと、それに共感した他の有権者
のパワーが結実したもので「共感力」が遺憾なく発揮されて
奏功した事例だと言えるのでしょう

 一部では500円硬貨の大きさにまで拡大した円形脱毛の
勇姿が 「日の丸flag1」 や 「勲章」 のようにみえたとか …

 もちろん、山本氏にとっては、

 それも併せて、大団円 でしたが …

 そこで終わってもらっちゃ困るんですよ

 幕が下りるんじゃなくて、これから始まるんですからpeace

コメント一覧

ゲリラ豪雨
土曜日の報道特集で見たけど、政治を変えるのは有権者の意識だね。
山本太郎の場合はネットを上手く活用した感じで、ボランティアというか追っかけみたいなおばちゃんが街頭演説する姿をせっせとブログやツイッターにアップしてたし、あの円形ハゲも注目を集めるのに役に立ったようで、まさに台風の目だったのかもよ!
透明人間5号
得票数の確保という点で言えば、地方の議員選挙の方がネットの選挙運動が機能する可能性が高いですね。
保守的なのか、あきらめに近いのかは不明ですが、若者が政治に熱狂しないのは、ある意味、平和でいい国なのかもしれません。

でも、本当にそれでいいのかとも思いますが …
ココナン
心配されていた誹謗中傷や成りすましなどの懸念材料も、盛り上がりに欠けたせいもあって大きな事件になるようなこともなく、候補者への批判コメントで「炎上」する事態もほとんどなかったようです。
国政選挙となるとどうしても票への食指は政治家個人よりも政党の方に向いてしまうようです。
ネット選挙は地方選の方がより効力を発揮するのかも知れません。
それにしても、今時の若者はコンサバティブですね。
おいら
http://sin-sei.at.webry.info/
ネットに馴染んだ若者が多くなったても、政治に興味がないのが多く、興味があったにせよ選挙前の政治家の言葉やマスコミを信用せずに違う情報で判断してるのじゃなかろうか。

まぁ、若者が熱狂的に政治に関わる国に良い国はないし、人に流されず自分で判断することも悪い事ではないと思う。
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