末っ子の3歳だったリュウが亡くなって3回目の命日を迎えた。
甘えん坊だったリュウ、私たちだけでなく、お兄ちゃんお姉ちゃんたちにもかわいがられ、みんなのアイドルだった。
私が一番好きだったのは、写真を撮っていなかったのが今でも悔やまれるが、朝食のときに、オットのあぐらに座って、楽しそうにパパが食パンなどを食べるのを見ていた、その毎朝のありふれた、そして温もりのある光景だ。かわいかった。
あの日、リュウは腎臓がんのために、ついに意識が混濁した状態になった。オットは出かける直前まで泣きながらリュウの名を呼び撫でていた。そして、「じゃあ行ってくるよ」と言って立ち上がったとき、リュウは一瞬意識を回復し、泣いた。それが「パパ行かないで」だったのか「パパさようなら」だったのか、今となっては分からないが、それがリュウの最後の言葉だった。
それから、私はリュウのかすかな呼吸を見守り続けた。そして、いつも抱っこを好まなかったリュウをせめて最期だけでもと思ってそっと抱いた。14時20分永眠した。どんどんとリュウは冷たくなりリュウでなくなり、そしてリュウに戻っていった。
オットが泣きながら帰宅し、リュウの屍を前に二人で泣いた。
次の日、お葬式をすることにし、リュウを抱いて、全てのニャンにお別れをさせた。そして、動物用の葬儀場に行き、いざ、火葬となった段階で、リュウを乗せて閉められていく釜を見て、たまらず「リュウちゃんリュウちゃん!」と、係の人の静止を振り切って釜のところまで駆け寄った。しかし、釜は一定の速度を保ちつつ、ぴったりと閉まった。あの時の胸が潰れる様な想いは忘れられない。骨になったリュウ。私は半ば放心状態でオットと骨をいくつか拾った。
こうしてリュウは天使になった。
私はここで、何か、教訓めいたこととか、前向きな何かとか、言いたくない。それはリュウを利用しているように思えるからだ。
ただただ、悲しい。それだけだ。それだけでいい。