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歯科技工士・岩澤 毅

希望難民ご一行様 ピースボートと「承認の共同体」幻想 (光文社新書)

2010年08月23日 | amazon.co.jp・リストマニア
論争は仕掛けられた, 2010/8/23

By 歯職人

 本書は、論争を仕掛けたい著者・古市憲寿氏と仕掛けの仕掛けをしたい本田由紀氏の一冊です。
 ピースボートが社会学の素材として扱われるべき期間を十分に過ぎ、「ご一行様」と表記されるべき規模となり、「希望難民」と呼称されるべき「客層」を安定的につかんだこ時期の考察・リポートと出版は、古市憲寿氏のマーケティング力の冴えを見せつけます。
 本書の価値は、この仕掛けられた論争への今後の参加者数とその質により測られるものと思います。
 「承認の共同体」への思い入れの強弱と嗜好を背景にした論考が、五月雨的に続くことを期待したいと思います。

http://www.amazon.co.jp/gp/product/4334035787/ref=cm_cr_mts_prod_img

キボウナンミンゴイッコウサマ ピースボートトショウニンノキョウドウタイゲンソウ コウブンシャシンショ
光文社新書
希望難民ご一行様―ピースボートと「承認の共同体」幻想

古市 憲寿 本田 由紀【解説・反論】
光文社 (2010/08/20 出版)

306p / 17cm
ISBN: 9784334035785
NDC分類: 290.9
価格: ¥903 (税込)


詳細
最近、「コミュニティ」や「居場所」は、若者や生きづらさを抱えた人を救う万能薬のように語られることが多い。
しかし、それは本当なのか。
本書は、「世界平和」や「夢」をかかげたクルーズ船・ピースボートに乗り込んだ東大の院生による、社会学的調査・分析の報告である。
なんらかの夢や希望をもって乗り込んだはずの船内で、繰り広げられる驚きの光景。
それは、日本社会のある部分を誇張した縮図であった。
希望がないようでいて、実は「夢をあきらめさせてくれない」社会で、最後には「若者に夢をあきらめさせろ!」とまで言うようになった著者は、何を見、何を感じたのか。
若者の「貧しさ」と「寂しさ」への処方箋としてもちあげられる「承認の共同体」の可能性と限界を探っていく。


1章 壊れた日本、希望は共同体?
2章 旅の終焉と新しい団体旅行
3章 ピースボートの秘密
4章 自分探しの幽霊船に乗る若者たち
5章 ルポ・ピースボート
6章 あきらめの舟
7章 だからあなたはあきらめて

著者紹介
古市憲寿[フルイチノリトシ]
1985年東京都生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒業。現在、東京大学大学院総合文化研究科博士課程。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。有限会社ゼント執行役。専攻は社会学。大学院で若者とコミュニティについての研究を進める傍ら、コンサルティング会社でマーケティング、IT戦略立案等に関わる

本田由紀[ホンダユキ]
1964年生まれ。社会学者。東京大学大学院教育学研究科教授。著書に『多元化する「能力」と日本社会』(NTT出版、第6回大佛次郎論壇賞奨励賞受賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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