日本歯科新聞 2020年5月26日(火曜日)
投稿寄稿
ポストコロナの歯科技工 岩澤 毅 (秋田市・歯科技工士)
新型コロナウイルス感染拡大防止のための政府による緊急事態宣言と知事による各種の自粛要請に直面し、歯科技工(
歯科医院、歯科技工所の設備でなければできない歯科技工は、従来からの感染予防の体制の再確認とさらなる充実により取り組むことは論を待たないが、通勤等には政府の唱える「新しい生活様式」とすり合わせた工夫のもと取り組みが必要なものと思う。
歯科医院、歯科技工所の現場から切り離し、テレワークとして取り組める歯科技工の部分、具体的にはCADデザインに関しては、その実施のための歯科技工士法令の調整が必要となると思われる。
雇用関係に(ある)歯科技工士が自宅等でCADデザインに取り組むとすれば、雇用先のPCとCADソフトを用いた作業を行う場合には、適法な歯科技工として医療法、歯科技工士法法令の中に包摂すべきだ。
具体的には、新たな通知の発出により雇用主・管理者の監督下の歯科技工として解決できるものと思う。その場合は、他業種の先行事例や「働き方改革」の文脈に準じてその円滑な実施の為に、通知等で環境整備を図り、保健所等の担当者に周知を図るべきだ。
CADデザインのみを行う歯科技工所を営むとすると、歯科技工士法施行規則第十三条の二の「歯科技工所の構造設備」との接触が問題となる。
CADデザインのみを行う歯科技工所の場合は、自動車等の運転免許の「眼鏡等」の限定条件と同様な考え方で、CADデザインのみを行うことのできる限定歯科技工所との位置づけ、従来型設備の不要な歯科技工所のカテゴリーを新設すべきだ。
ウイルス専門家によれば、新型コロナウイルスの感染拡大の第2波、第3波は当然にあるものとされている。歯科技工においてもCADデザインというテレワークに適した業務の拡大が予想される。この機会に、歯科技工業の安定性確保のため歯科技工士法等の整備に知恵を集め、その実現を一日も早く図るべきと考える。