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【歴史】
勝間田(勝田)氏は、勝間田荘を治めた在地領主で、同族と考えられる横地氏とともに鎌倉時代には御家人、室町時代には奉公衆として活躍しました。しかし、応仁の乱以降、駿河守護の今川氏と対立し、文明8年(1476)に今川義忠の攻撃で本拠である勝間田城が落城し一族は離散しました。
【構造】
勝間田城は、勝間田氏が15世紀中頃に築城したと考えられる戦国時代以前の原形を残した貴重な山城です。牧ノ原台地に連なる尾根標高100~130mほど、勝間田川最上流部に位置します。その規模は東西200m、南北310m、総面積12,695㎡を測ります。1985年度から数次にわたる発掘調査により、多くの遺構(建物跡・井戸・堀)や遺物(土器・木簡・古銭等)が検出され、築城過程、建物の配置、城内生活の実態を知ることができます。木簡に書かれた文章からは、笠原を姓とする武将の存在や、池田衆と呼ばれる土着の兵力まで城内に存在していたこと、籾や竹を調達して食料や武器・建物に利用していたことが推測できます。本曲輪を中心に狭小である南区域に対し、幅10m程の大堀切を挟む北区域二の曲輪・三の曲輪は、一区画が広く外縁部に土塁を巡らせています。南区域より後の改修の可能性が考えられます。東方を向いて配置された堀・土塁・曲輪は今川氏に対する備えといえるでしょう。、、、牧之原教育委員会編集・発行の史跡パンフレットより
【場所】
静岡県牧之原市勝田
東名高速「相良牧之原IC」下車、国道473号線を左折北上し県道79号線とする交差する牧之原交差点で右折。突き当たりを右折しすぐに左の側道に入ります。山越えして合流する県道233号線(榛原金谷線)を右折すると200mほど先に案内標識があります。

案内標識に従って右折し、2つめの曲がり角を過ぎた辺りに専用の駐車場があります。

駐車場にはトイレが併設され、パンフレット置き場や御城印の販売先も案内されています。

この駐車場から山頂の城跡までは舗装道路となっていますが、住宅地を抜けた辺りからは城跡整備のための工事車両専用道路となるため通行止めとなっています。
自分が訪れた日は幸いにも工事が休止中で通行規制も解除されていたため、城跡入り口まで車で上ることができました。
※工事期間令和6年1月15日まで

城跡入り口の通行止めゲート付近では方向転換するスペースが狭いので要注意。

【遺構】
縄張り図
勝間田城パンフレットより

ゲートから見える茶畑が「的場曲輪」

遊歩道を進むと三の丸入り口の案内があります。

北側尾根に築かれた広大な作平地は二段に分かれ、下の段が三の丸、上段が二の丸となっており、それぞれ土塁で囲まれています。
その中心部分を遊歩道が貫いて、南尾根の本曲輪・南尾根曲輪へと続いています。

「三の曲輪」

三の曲輪下段の曲輪

土塁

土塁と虎口

「二の曲輪」

二の曲輪復元礎石建物
二の曲輪には複数棟の建物が存在しました。そのうち南端一棟はは礎石を利用した丈夫な構造の建物でした。

二の曲輪西側と土塁

土塁と虎口
曲輪を平坦に造成した際の廃土が硬く積み重ねられていました。

二の曲輪と三の曲輪(東尾根より俯瞰)

「北尾根大堀切」


「北尾根曲輪」

石積みか?

「本曲輪」
四方を小規模な曲輪と堀切で囲み防御しています。

本曲輪に建つ石碑
勝間田氏を偲ぶ勝間田神社・石碑・歌碑があります。

本曲輪土塁
本曲輪造成(削平)時の廃土を内側から周囲に盛り、高さ2m以上の分厚い強靱な土塁が築かれています。

腰曲輪

「南尾根曲輪」
牧ノ原台地へ通じる最高所の南端曲輪です。平面が「く」の字状に見える土塁は曲輪の西半分を占めます。

本曲輪との間の堀切

「東尾根曲輪」
東尾根曲輪では、柵に囲まれた物見台が発見されています。

東尾根五段連続堀切
鋭く切り込まれた5重の堀切は、東方向からの敵兵侵入を防ぎます。


【まとめ】
城跡入り口まで車で行けたので1000m程の移動距離と約30分の滞在時間で済みましたが、駐車場から歩くとかなり体力を消耗すると思います。
東尾根の5連続堀切が夏草で覆い隠されていたのが残念でした。地肌が出ている頃なら東尾根を下って堀切の深さを体験したり、その先にある曲輪も見れたと思います。
それでも3段目くらいまではハッキリと確認することができたので、改めて切り込みの深さを感じることができました。
ヤマップ行程データ

ヤマップ3D

【御城印】

販売先
牧之原市勝間239 「郷土菓子処 扇松堂」

【勝間田城】
《かつまたじょう》
名称(別名);
所在地;静岡県牧之原市勝田(勝間田城駐車場:静岡県牧之原市勝田2174-3)
城地種類;山城
標高/比高;131m/100m
築城年代;15世紀中頃か
廃城年代;1476年(文明8年)
築城者;勝間田氏
主な改修者;
主な城主;
文化財区分;静岡県指定史跡
主な遺構;曲輪、土塁、空堀
近年の主な復元等;建物跡(平面復元)
※出典、、、
地図;