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16年目突入。ビッグイベントに心躍らせながら、草の根のスポーツの面白さにも目覚めている今日この頃です。

怪物

2013年07月02日 | 高校野球




昨日、
浦和学院のグラウンドにて、

桐光学園vs浦和学院

の練習試合が行われました。

この夏最も注目されている両チームの、
このチームでの最後ともいえる調整試合です。

グラウンドには報道陣、スカウトのほかに多数のファンも詰めかけたということで、
その注目の高さをうかがい知ることが出来ます。

浦和学院と言えば、
言わずと知れた今年の選抜優勝校。

高い壁をついに突き破って全国制覇を成し遂げた、
今年一番の注目チームです。

センバツでは好投手に対して、
かさにかかって攻める凄まじい猛打を発揮して、
2ケタ得点が3試合。
決勝も剛腕・安楽(済美)の疲れに乗じて17点を奪うという圧勝でした。

その流れはセンバツ後も続き、
埼玉県大会、関東大会を秋に続いて連覇。
『負けないチーム』
として夏に臨んでいく超強豪です。

その浦和学院に対して、
桐光学園はその”1枚看板”である松井投手が先発。

この対戦には、
全国の高校野球関係者が注目していたのではないでしょうか。

結果は既報の通り、
7-0で桐光学園の勝利。

レギュラーメンバーをずらりと並べた浦和学院の打線に対し、
松井投手はわずか1安打、0四球、18三振。
なんと”残塁なし”に終わらせました。

残塁なし・・・・・・。

完全試合ではありませんが、
昔マンガ『タッチ』で、
須見工・新田くんが野球に本気で取り組むきっかけになった出来事として、
『上杉和也と対戦した時、一番を打っていた俺は3打席を完全に打ち取られ、そして4打席目は、打席が回ってこなかった。(つまり完全試合に抑えられた)』
と回想するシーンがありました。

そんなことをふと思い出してしまうような、
ライバルに対してのものすごいピッチングだったと思います。


そんな松井クン、
ずっと『桐光学園の土手ファン』を自認するワタシをここ2年半ほどずっと楽しませてくれましたが、
いよいよ今週末で”最後の試合”を迎えてしまいます。

『最後の試合って、これから大会始まるんじゃないの??』
という声が聞こえてきそうですが、
ワタシが『桐光グラウンド』で松井くんの胸のすくピッチングが見られるのはあと一回だけ。

『もうそんな季節になってしまったんだなあ』
と、感慨深く思っています。

もちろん、
その後に始まる【絶対に負けられない戦い】のことは別として、
ドンドン【松井ファン】になってしまっているワタシにとっては、
今週末は”何としても見ておかなければならない”戦いです。


ワタシが桐光学園のグラウンドに通い始めて、
かれこれ7,8年ぐらいでしょうか。

我が家の娘も学園にはお世話になっているので身内っていやあ身内ですが、
野球部とは、な~んの関係もないワタシ。

そんなワタシでも、
グラウンドの『土手』で見ているうちに、
ドンドン引き込まれてしまったチームです。

毎年チームを見ながら、
あ~でもない、こ~でもないと考えるのが大好き。

2年と少し前、
『今年は正直、厳しいなあ』
と思われるチームに、
1年生のいい投手が入学してくれた・・・・
という話が。

そのチーム、
2本のPがいたのですが、
入学してしばらくの練習試合で、
その1年生投手を見ていると『なかなかいい!』
との感想を持ちました。

『野呂監督、1年生を使うのが上手い監督だから、彼を使ってくるかもな』
と思っていると、
夏の県予選では大事な試合で常に先発を任されることになっていました。

そのピッチャーこそ、
松井投手。

抑えに147,8キロを投げ込む柏原クン(現同大)という大黒柱がいたため、
4,5回までは松井 ⇒ そこから先は柏原
という必勝リレーが完成し、
決勝まで進出することが出来ました。

決勝でも横浜相手に延長にもつれ込む大接戦を演じ、
『桐光は、ちょっとダウントレンドかな』
とささやかれていた声を一掃する活躍を見せてくれました。

そして新チーム。

『圧倒的に強い』
横浜高校の軍門に下った秋の大会を経て、
春の大会では東海大相模と対戦。

松井クン、
直前に足を故障して先発のマウンドは踏めずチームは大敗。

夏の大会を前に、
桐光学園は神奈川県予選では『全く隠れた存在』という扱われ方でした。

しかしながら6月~7月にかけての練習試合。
これを足しげく見に行っていたワタシは、
『松井がこの調子なら、横浜とも互角に戦えるはず』
とひそかに思ったりしていました。

だって、
甲子園常連校を相手に、
殆ど『打たれない』ピッチングを見せていましたからね。


果たしてその神奈川県大会、
そしてその後の甲子園に至る道程は、
今更ここで紹介するまでもありません。

今年はその一挙手一投足をつぶさに報道され、
居心地の悪さもあったかもしれません。

『松井包囲網』
成る言葉も生まれて、
気持ちがざわめくことも多かったことでしょう。

しかしながら、
そんな環境の中、
3月に今季初めてオープン戦を見にいったワタシ、
驚きました。

まずは松井くんのその腰回り。

明らかに『冬場鍛えてきた』ということが分かる、
パンパンに張った下半身。

そして投球を見てもっとビックリ。

速球が低めに『スパ~~ン』と音を立てて決まるようになっていました。
素人目にもその成長が分かるほどの、
素晴らしい進化を見せつけられました。
(その日1日、嬉しくてワタシはずっとニヤニヤとしていましたね)

一冬越して成長する選手は数あれど、
松井クンの成長の度合いはすごい。
夏までに故障をしなければ、
『真剣に全国制覇が狙えるのではないだろうか』
ということまで考えてしまいました。


桐光学園というチーム。

『好投手とバランスの取れた好打者のチーム』
とワタシは見ています。

これまでも好投手の宝庫。

ワタシが見たチームでも、
05年の山室(現ロッテ)、石渡の2歩柱から始まって、
甲子園を掴んだ立木、丸山。
鈴木クン、東條大樹クン、森クン、柏原クンなど、
どの年も素晴らしいピッチャーを揃え、
高校卒業後も大活躍する投手を輩出しています。
野手も六大学や東都大学をはじめとして各大学リーグで活躍する好選手ばかり。

たくさんの選手を見てきましたが、
しかしそんな中でも、
やはり松井クンは別格の存在感を放っていますね。

彼の最もいいところ、というか感心するところは、
そのあくなき向上心でしょうね。

向上心というよりも好奇心と言った方がいいかな。

『はたして自分は、どこまで行けるのだろうか』

ということを、
常に意識してプレーしているように感じています。

だから、
現状に満足している様子はこれっぽっちもないですね。

言ってみれば、
小学生が野球を覚え始めた時。
ドンドン速い球が投げられるようになり、
ドンドンバッティングで当たるようになり・・・。

『野球っておもしれ~~。上手くなりて~~~。』

そんなココロモチのまま、
彼の野球は『現在進行』しているのではないかと思っています。

だから『全国制覇』という目標も、
彼の『野球人生』のひとつの道程ではないでしょうかね。
そんな思いがします。

『オレはいったい、どこまで上っていけるのだろう』

そんな彼の野球人生、
1ファンとして、
これからも見つめていきたいですね。


これから予選が始まり、
周りはもっともっと、
かしましいことになっていくはずです。

『全国制覇の為に、投げまくれ!!』
という声や、
『いや、プロを考えると、連投や投球過多は、避けろ!!』
なんていう声も、
彼の耳には届いてきそうです。


しかし、そんな雑音、

『しゃらくせ~~~~~』

とすべてを蹴散らしちゃってくださいね。

そう、
いまのまま、
大きな夢を描きながらもを生きてください。
『今日の試合に、全力』
これこそが彼らしい気がします。



振り返ってみると、
高校野球界でこれまで『怪物』と呼ばれた投手は数多くいました。

『怪物』は現在の怪物なのかそれとも将来の怪物なのか、
そのあたりは微妙なところがあるのですが、
ワタシが印象に残った過去40年ぐらいでの『怪物』は、
こんなところでしょうか。(投手のみです。年度は高校3年時)


S48 江川(作新学院)
S51 酒井(長崎海星)
S54 牛島(浪商)
S56 工藤(名電)
S57 畠山(池田)
S58 水野(池田)
S60 桑田(PL)
S61 近藤(享栄)
H10 松坂(横浜)
H16 ダルビッシュ(東北)
H18 田中(駒大苫小牧)
H21 菊池(花巻東)
H22 島袋(興南)
H24 藤浪(大阪桐蔭)
H24 大谷(花巻東)


この中でも本当に『怪物』として甲子園を席巻したのは、
江川、工藤、松坂、ダルビッシュ、藤浪
当たりでしょうかね。

彼らは、
『いつでも三振を取りに行ける』
というあたりに、
【好投手】を超えた『何か』を持っていました。

勝ち運に恵まれたかどうかは別です。
それはやはり、チーム力というものがありますから。

しかし【掛け値なし】の『怪物』としては、
江川、松坂あたりが挙げられますね。


彼らと比較して今年の松井クンはどうなのか。

プロとしての今後については、
どのくらいのポテンシャルを有しているのかは、
現時点ではわかりません。

しかしながら『高校の最後の夏』ということだけに焦点を絞ってで比較すると、
『決して江川、松坂に劣ってはいない』
ということが言えるのではないでしょうか。

ワタシは現時点までで、
高校野球最高の投手』
江川だと思っています。

しかし江川が、
『金属バットの時代、バッティングマシンがが導入され、練習の精度もぐ~んと上がった』
最近の高校野球に来ても同じ投球ができるかというと、
首をかしげざるを得ません。

それだけに、
この時代に三振を量産する松井クンは、
『今の松井は当時の江川と匹敵するぐらいの力を持っている』
かも知れません。

松坂と比較した場合には、
コントロールでは明らかに松井が上回ると思いますが、
『松坂には有り余るタフさと、そして勝負強さがあった』
と思いますので、
『まだまだトータルに見ると、松坂の域には達していないかな』
なんて考えたりしています。

あの横浜高校、すごかったですもんね。


まあ、
別時代の人を同じまな板の上で論じること自体、
土台無理があるのですから、
【頭の中のワンダーランド】であそんでいるということですけど・・・・ね。
勘弁してください。

『高校野球最強の投手』
かどうかは、
今年の甲子園が証明してくれると思います。



さて、
これから1か月、
希望を言えば2か月。

松井くんがどんなピッチングを見せてくれるのか、
本当に楽しみになってきています。
今年の夏も、
昨年と同じく『長い夏』になって欲しいなあ。

あわよくば『おまけの秋』もついてくると最高だあ。
(だって秋の”おまけ”は、東京多摩地区開催ですからね)


最後に、
冒頭に写真を乗せましたが、
昨日神奈川県の野球誌『ベースボール神奈川』2号が発刊されました。

雑誌の冒頭に、
『神奈川に松井祐樹がいる幸福』
なんていうコラムがあったりして、
本当に【神奈川への野球愛】にあふれた雑誌です。

神奈川高校野球ファンとしては、
ドラフトではやっぱり、
ベイスターズに松井を指名してもらいたいかなあ・・・・。

やっぱりハマスタで投げる姿、
見たいもんねえ。


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