大相撲春場所千秋楽。
『まあ、こうなるだろうなあ』
という予想通りに、
白鵬が本割で日馬富士を下して、
36回目の優勝を果たしました。
しかしその取り組み。
およそ『千秋楽の結びの一番』とも呼べないような、
白鵬の左への変化であっけなく勝負がつきました。
これには熱戦を期待していた館内の大観衆は、落胆とため息と激怒。
優勝後とは思えない怒号や野次、ブーイングが館内を包み、
表彰式時の優勝力士インタビューでは、
優勝した白鵬が涙をするという一場面が取り上げられていました。
最後涙ながらに、
『こういう(変化での)決まり方は予測していなかった。すみません』
と白鵬が”謝罪”したら今度は大歓声に包まれましたが、
ワタシは何だか白けきっていて、
『やっぱり白鵬は、今場所の優勝を花道に、やめるべきだな』
と大相撲ファンとして、強く思ってしまいました。
放送席の解説、北の富士さんも、
最初は例によって毒舌を絡めた威勢もよく
『横綱同士の千秋楽の結びに変化とは、礼儀も尊敬も何も、あったもんじゃない』
なんて言っていましたが、
白鵬が涙するのを見て『何もかもすっとんじゃったね』だって。
だからワタシはあんたが嫌いなんだよ。
本当に現役、親方時代から、
よくその口でハレーションを起こしてはいたものの、
何だか相撲に対する背骨が定まっていない感じだったんだよなあ。
弟子の千代の富士も然りだけどね。
対する小兵力士の舞の海さんが向こう正面に陣取り解説していましたが、
彼はさすがに相撲に対する背骨がしっかりしているといつも唸ってしまうほどの存在ですが、
昨日も『(白鵬が泣いて謝罪したという)そのことと今日の取り口については、分けて考えなければいけません』
ときっぱり言っていました。
北の富士さん。
アンタよく、
舞の海さんを小ばかにしたような物言いするよねえ。
まあ、北の富士は横綱で、舞の海は一介の小兵力士だったさ、現役時代は。
しかしながら、
ファンは良く知ってますよ。
舞の海は実によく勉強しているし、相撲に対する考え方は本当に一流、ということを。
対する北の富士さんは『口だけ番長』ということをね。
昔のベテラン解説者、
神風さんとか玉の海さんとかの昔のベテラン解説者は、
物言いも厳しかったけど、
本当にしっかりと土俵を見て、そして直言していたもんだよ。
若手のアナウンサーや自分より地位の低かった力士をあからさまに上から目線で見て、
『これも違う、あれも違う・・・・・・』
なんて言ってなかったけどね。
おっと、普段ふつふつ来ていたこと、
言っちまいました。
白鵬のことですね、本題は。
白鵬がインタビューで流した涙について、
『なんの涙だ?』
とワタシは不思議でした。
これだけは言えると思いますが、
『やってしまったことへの後悔の念にさいなまれて、謝罪した涙』
でなかったことは確かでしょう。
『では何?』
と言えばこれは、
やじられたことへの、
悔しさの表れ以外には考えられませんね。
そんなに悔しければ、
そんなこと、やらなきゃいいのにね。
千秋楽の結びの横綱戦、
そこで『変わる』なんてことを考えるなんて、
それこそが今の白鵬の『何でもあり』のココロモチを良く表していますね。
もちろん、
3場所遠ざかった優勝に対する思いはあったでしょう。
しかしながら、
それだから何をやってもいいということになってしまうほど、
追い詰められていたのかな?
ワタシはどうしてもそうは思えません。
昨日の千秋楽の一番だけなら、
そう思わなくもありません。
しかしながら、
15日間をトータルで見ると、
そんな『同情を引くような』ココロモチでなかったことは明らか。
前半の隠岐の海戦、
中盤の嘉風戦で見せた”禁じ手”に近い『ダメ押し』。
土俵を割り力をふっと緩めた力士に対して、
ダメ押しで土俵の外に吹っ飛ばすこと、
どんなに危険なことか横綱なら、いや、相撲の力士であるなら、
分からないはずありません。
嘉風戦では、
ダメ押しでブン投げた嘉風が土俵下の親方にまともに飛んでいって、
親方は全治3か月の重傷を負ったのですよ。
ワタシは、
このことについてこんな見方をしています。
『親方は嘉風、あるいは一般のお客さんの代わりに、傷を負ってくれた』と。
もし嘉風が誰もいないところに投げ落とされていたなら、
もしかしたら彼が重傷を負っていたかもしれません。
それほど危ない”技”でした。
そしてそのほとぼりも冷めぬ中で、
今度は”第2の禁じ手”、立ちあいのエルボーが、
栃煌山などの力士に炸裂しました。
このエルボーも、
『おいおい、こんな立ち合い、ありかよ』
と思う様なラフな技。
大砂嵐が相手にエルボーなどを見舞って物議をかもしたことがありましたが、
それよりもっと狡猾でむかつく技ですね。
これを見てもワタシ『相撲じゃねえな、もはや』
と思ってしまいました。
『こんな力士が大手を振って勝っているような相撲、どうかしている』
とさえ思った、春場所でした。
そして白鵬、
どうやら『相手を選んで、こういうラフ技を仕掛ける』ということも、
分かってきています。
何が彼の琴線に触れたかは知る由もありませんが、
一部の力士に対するご指名のラフプレー、
今後も気をつけなきゃ、なりませんね。
栃煌山が『最大のターゲット』として狙われているようですが、
来場所からは琴勇輝が危ないのではとみています。
お気をつけあれ。
なりふり構わず、ぶっ壊しに来ますから。
『何でも横綱』の白鵬さん、
最近ではワタシ、
まともに彼の相撲を楽しむことは全くできません。
36回の優勝も横綱最多勝も、
空しいだけの記録に見えてしまいます。
もう晩節をこれ以上汚すのはやめて、
引退の花道を作ったほうが良いと、
心から思います。
朝青龍の様になったら、
人々の心にも、
残らないですよ。
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