SPORTS! SPORTS! 寝てもさめても

16年目突入。ビッグイベントに心躍らせながら、草の根のスポーツの面白さにも目覚めている今日この頃です。

『一生に一度』の晴れ舞台

2014年03月18日 | 高校野球

選抜高校野球の21世紀枠。

21世紀に入ってから、
『一隅を照らす』
との高野連の方針のもと、
選抜大会で特別に設けられるようになった出場枠です。

この制度については、
今でも賛否両論あります。

しかしながら、
ワタシはこの『出場校枠』の設定には一定の評価をしています。

普段なかなか甲子園には届かない学校にも、
センバツに限って甲子園の出場をプレゼントするというのは、
どの高校にも励みになっていいと思いますね。

どの高校にもと言いますが、
地方大会で一定の成績を残さなければその推薦資格はなく、
そういった意味でも、
どの学校も『優勝は無理でも、頑張って地区で上位の成績を残して、21世紀枠の資格を取りたい』
という気持ちは持っていると思います。

『ワイルドカード』での出場は、
どんな競技のどんな大会でも、
あってしかるべきではないかというのがワタシの考えるところです。


ところでこの21世紀枠。
前述のとおり、
推薦される学校は地区で一定の成績を残しているわけですから、
決して弱いチームではありません。

キッチリと練習もできており、
どの学校も出場した甲子園ではその確かな足跡を残して、
去っていきます。

しかしながら、
その後の歩みは千差万別。

というか、
大きく2つに大別されるような気がします。

ひとつは、
この21世紀枠の出場、あるいは出場はかなわなくとも推薦されたことで、
グッとその後力を伸ばしていく学校です。

最初の年に甲子園4強に進出して世間をあっと驚かせた宜野座をはじめ、
出場はならなかったものの21世紀枠に推薦されその後全国制覇まで成し遂げた清峰などはその代表格。

近年でも、
甲子園常連になりつつある華陵や、
昨夏選手権にも出場した彦根東などのチームが続いてくれています。


一方、
本当に『ただ1度』のチャンスをつかんで甲子園でプレーした学校も数多いのが21世紀枠。

無論この先、
各校が夏の選手権を掴み取ることがある可能性は当然ありますが、
21世紀枠での『一度っきりの晴れ舞台』に、
まぶしいほど輝いた学校も数多くいます。

そんな21世紀枠校の中、
今年選ばれたのが東京都立小山台高校。

近年実績をあげてきているとはいうものの、
まだまだ選手権予選を勝ち抜いて甲子園に行くことに手をかけているチームではありません。

マンガ『砂の栄冠』でも描かれている通り、
普通の学校が甲子園に行く一番の近道は、
『好投手のいる代で、まだ各校ともチームの出来上がっていない秋季大会で一定の成績を残して、21世紀枠を掴み取る』
というもの。

小山台は、
まさにそれを地で行ったチームだと思っています。

東京屈指の好投手・伊藤くんを擁して、
秋季東京大会で8強まで滑り込んだ今年、
【21世紀枠】としての出場を強く意識したことでしょう。

そして、
その夢をかなえました。

ワタシも、
地元東京の学校ですから、
数年前から小山台高校には注目していました。

【総合力の高いチーム】
というのがワタシの評ですが、
これまではどうしても決め手に欠けて、
強豪との試合に『勝ちきれない』姿を現してもいました。

都立普通校としての、
共通した悩みを抱えたチームだったと思います。

しかし都内では有名なこの小山台の福嶋監督。
剛腕・伊藤を擁した今年のチームについては、
『春の選抜』の出場をひそかに狙っていたのではないでしょうか。

そして、
2013年秋は【風】が小山台に吹き、
初めての都大会8強を勝ち取りました。

そして『望んだ形』で射止めた21世紀枠。

都立校として初めてのセンバツを都内有数の進学校である小山台高校が射止めたという事実は、
80年の選手権で都立初の甲子園を射止めた国立高校にダブって見えてしまいますね。


昨今の東京都内の高校野球事情としては、
私立学校の特待生制限に加え、
折からの長期にわたる不況が重なり、
『野球強豪を目指す中学生』が【強豪都立校】を目指す傾向が顕著です。

しかし彼らが目指すのは、
入試に≪スポーツ枠≫を設けた都立校が主なところで、
そういった高校は強豪への道を歩み始めています。

施設を見ても、
私立強豪とそん色ない学校も多く、
選手権予選でもその存在感を年々大きくしていっています。

おそらく数年うちには、
都立の強豪が選手権の舞台に普通に(騒がれることなく)立ち、
全国でも活躍を見せてくれることでしょう。


しかしその流れの中に、

入試の難しい進学校であり、
しかもグラウンドなどの設備も揃っていない、
練習時間も制限が設けられている、

というような、
小山台高校のような学校が入っていくのは難しいことでしょう。


だからこそ。

千載一遇のチャンスであった今年のチームで、
見事に甲子園という夢を掴み取った小山台ナインに、
大きな拍手を送りたいのです。

≪一生に一度の晴れ舞台≫とは、
選手達のことを指しているのではありません。
学校のことを指しているのです。

だけど、
決して『もう二度と甲子園の土は踏めない』なんていうことを言っているわけではないので、
お間違いなきように。


昨日の甲子園練習で見せたナインの生き生きとした表情。
素晴らしかった。

その晴れやかな表情で、
甲子園狭しと暴れまわってください。

登場は大会初日。
21日の第3試合。

対戦相手は、
あの強豪、大阪の履正社高校です。

そういえば国立の初出場の時は前年優勝の和歌山代表、箕島。
城東の初出場の時は翌年全国制覇する強豪の和歌山代表、智弁和歌山。
雪谷の初出場の時はあの大阪、PL学園が相手でした。

今回も近畿の強豪ですね。
因縁を感じます。

事前の戦力分析では、
すべての新聞、雑誌など(あと、ワタシの予想でも)で、
『小山台の苦戦は免れない』
となっていますが、
ミラクルを期待しちゃってもいいかな?

それよりも何よりも、
『甲子園に小山台高校の足跡』
を残していってくださいね。

そして、
大応援がスタンドを埋め尽くすこと、
期待しています。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 小よく大を制す | トップ | ハマスタで投げる松井に、感... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

高校野球」カテゴリの最新記事