あぽまに@らんだむ

日記とか感想とか二次創作とか。

偽りの主は優しく笑う(京スタ)

2020年04月28日 | BLE◆CH関連

 

 

腐的露骨な表現があります。閲覧には充分に注意して下さい。

また、再掲にあたり、部分的に改訂しています。予めご了承下さい。

大丈夫な方のみ下へスクロールしてご覧下さい。

↓↓↓↓

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<偽りの主は優しく笑う>

 

京楽が記録改ざんの罪で拘束されたという知らせは、すぐに京楽邸にいるスタークにも届いた。
勿論スタークは京楽の無実を信じていたが、京楽邸に軟禁されている身である。
スタークには何の力も無い。
ただひたすら京楽が無事戻って来る事を祈って、自室で一人健気に待ち続けた。
そうやって夕刻過ぎまで過ごしていたスタークは、寒さに身を震わせて起き上がった。
朝から飲まず喰わずで居たので、疲れて眠ってしまったようだった。
強張る身体を擦りながら周囲の霊圧を探る。
まだ京楽は帰って来てないようだった。
すっかり暗くなった自室で身体を起こし、上着を羽織る。
廊下まで出ると白い月が目に映る。子供が齧ったような小さく欠けた月に、何故か安堵する。
柱に寄り掛かり、暫く月を眺めていると、遠くから大きな霊圧が近付いて来るのに気付く。
スタークは眉を潜め小さく身を震わせた。
月が何故か赤く染まっていく気がした。

いつも通り鼻唄を歌いながら、京楽が自邸に戻って来た。
玄関を潜り草履を脱ぐと、真っ直ぐにスタークの自室へ向かう。
いつもなら恥ずかしそうに廊下の向こうで待っている筈のスタークが居ない事に片眉を吊り上げ「ふぅん」と鼻を鳴らすと、
颯爽と廊下を突き進んで行く。
そして蝶の舞う障子の前で立ち止まると、嬉しそうに囁いた。
勿論、大袈裟な演技は忘れて居ない。

「スタークく~ん。僕が帰って来たのに、お迎え無しなんて酷いんじゃない?」

霊圧を抑えていない為、スタークが障子の向こうに居る事は分かっている。
しかし返事が無い。「おや」と驚いた顔をして、京楽は朝から出掛ける迄に、
何かスタークを怒らせるような事をしてしまったか考えるが、思い浮かばない。
引き攣る笑顔を必死に直しながら、京楽が更に猫撫で声を出す。

「スタークく~ん、開けるよ。いきなり斬り掛かるとか無しだからね…」

許可を促しながらも、京楽は思い切り良く障子を開けた。
怒っている表情のスタークを想像していた京楽は、一瞬きょとんとしてしまう。
其処には、緊張した面持ちのスタークが正座をしていたからである。
心無しか怯えも感じられる。
京楽は何か遭ったのかと焦り、居室に脚を踏み入れようとした。
すると鋭い声が上がる。

「入るな!俺にそれ以上、一歩も近寄るな!」
「ス…スターク、一体どうしたんだい?何か、僕、怒らせるような事、君にしたかい?」

京楽は狼狽して手の付けられない幼子をあやすかのように、身を屈め更に近寄ろうとした。
スタークは雷を放電させたかのように、びりりと緊張を走らせる。
京楽にもそれが伝わり身を凍らせた。

「……気安く俺の名を呼ぶな。……京楽の振りをして……、あんた、一体何者なんだ…」

スタークが搾り出すかのように呻くと、一瞬で京楽の表情が無くなる。
暫く両者睨み合い、無言の時が過ぎると、先に口を開いたのは、案の定京楽だった。
スタークを愛でている京楽が絶対に見せる事など無い人を侮蔑するかのような高圧的な表情。
「へぇぇ…」と口先だけでは感心するかのように、京楽は口端だけで笑った。

「僕の演技、完璧だと思ったのに、霊骸のことなんて少しも知らない君に気付かれちゃうなんて、
これも原種の君への愛所以かな」
「霊…骸…?…一体何の事を言っている。…原種って…それ、春水の事なのか」

一瞬で京楽はスタークの目の前に移動し、そっと人差し指の腹でスタークの顎を上げさせる。スタークには早過ぎて見えなかった。
冷たい汗が流れる。
不敵な笑みを浮かべ、霊骸の京楽は京楽と同じ声で囁く。

「酷いな、僕だって春水だよ。原種と同じ記憶を持ち、原種より強い力を持っている。
それが僕等さ」
「放せっ!俺に触るな!」

スタークは身の危険を感じ、身体を擦り寄らせて来る偽京楽の胸を突き飛ばし、逃れるように後退さる。
まるで狩りを楽しむように、偽京楽はその様を面白そうに見詰めていた。
恐慌に陥りそうになる弱い心を必死に奮い立たせ、スタークは状況を把握しようとしていた。
今、目の前に居るのは、霊骸という偽京楽で、本物の京楽は牢に監禁されている。
原種と呼んだ本物の京楽では無く、何故偽京楽が平然と自邸に戻って来るのだ。

「………春水を牢から出せ!あんた……一体何が目的なんだ……」
「だ~か~ら、僕が春水だって言ってるでしょ。
………、ま、いっか。……う~ん…流石第1十刃(プリメーラ・エスパーダ)だった子だね。
洞察力が鋭い。でも、それを知っちゃったら、僕は君を始末しなくちゃいけない。
君も僕に殺されたくないでしょ」
「……牢の中の春水は……無事……なのか……」

不安そうに薄い水色掛かった灰色の瞳を揺らし、スタークが小刻みに震えている。
好戦的に作られた霊骸の京楽は、その細い肢体を引き裂いて、啼き叫ばせたい衝動を必死に抑えた。
それは独占欲にも似た愛故か、ただの殺戮衝動か、判断出来ない程の激情だった。
戦慄く唇を噛み、一呼吸置くと口を開いた。

「うん、今は…ね。…まぁ、…原種の命は僕に一任されてるから、殺すかどうかは僕の気分次第…かな」
「………え………」

ぎくりと身を強張らせてスタークが一瞬縋るような目で、偽京楽を見上げた。
しかし、それは一瞬で、すぐに野生の狼のような険しい瞳で睨み付けて来る。
神聖で気高い美しい獣の目だ。

「……春水は……、あんたなんかに負けはしない」

まるで自分に言い聞かせるかのように、スタークは呻いた。
今にも卒倒しそうな程、顔色が悪い。偽京楽はおかしくなってせせら笑った。
どうにかして、この野生の狼を辱め、穢したいと思った。
それは原種から引き継いだ記憶の所為だが、彼は気付かない。
スタークを保護し、愛すると決めた強い意志。
京楽の強い想いは霊骸にも強く反映されていた。狂おしい程に。

「だから、その原種を僕が倒して監禁してんの。
じゃなきゃ、僕じゃなくて、彼が此処に居る筈でしょ」

その道理にスタークは青褪めた。
確かにその通りだった。
護廷十三隊の隊長として大人しく牢に拘留されて半日経ったが、冤罪であるならば京楽は脱獄し、
スタークの元へ戻って来てくれる筈だ。
こうして偽京楽が戻って来るのはおかしい。
京楽は一人でいいのだ。
偽京楽が居る以上、本物の京楽が居ては困るのだ。

「………ぁ……春す……、そ…な……」

スタークは目の前が真っ暗になっていく気がした。
京楽が死んでしまう。
殺されてしまう。
自分を置いて逝ってしまう。
冷静である筈のスタークは次第に我を忘れていく。
身体が戦慄いて座って居られず畳みの上に卒倒しそうになる。
それを難なく偽京楽は受け止め、本物の京楽と同じ悪戯っぽい笑みを浮かべる。

「まぁ、人目に付かない処に監禁してるし、脱獄なんて出来ないだろうから、
殺す必要も無いんだけど。……どうしようかな。ね、スターク」
「……ろさ……な…でくれ……」

腕の中、真っ青な顔で囁くスタークに偽京楽は、業とらしく聴き返す。
スタークは涙を堪えながら口を開く。

「……春水を……、殺さな……で……くれ……」

偽京楽は嘗て彼と闘った時と同じ暗黒な表情で不気味に笑った。
スタークは小さく息を呑む。

「ちゃんと、お願いしてくれないと駄目だよ。
それに……、僕も原種と同じく君の事が好きなんだよ」

一体何を言っているのか。
スタークは認めたくない。
自然と拒むかのように首を横に振る。

「君が大切過ぎて出来なかった原種の欲望も…、霊骸である僕なら出来る。
頭のいい君になら、この意味、分かるよね。
君の願いを聞いてあげる替わりに、僕の願いも聞いて欲しいな」
「……一体……何を言って……」
「君も僕のこと、好きでしょ?…抱いてあげるよ。原種と違って優しくは……出来ないけど」

スタークは声無き悲鳴を上げた。
この男は、京楽と同じ姿で、京楽と同じ声で、京楽の命を盾にして自分を抱くつもりなのだ
自分の愛した全てを穢すつもりなのだ。
その卑劣さに悔しさに涙が次第に溢れて来る。

「俺が好きなのは、此処に居ない春水だ…!……あんたじゃない!」

必死に身を捩り、その力強い腕から逃れようと抗うが、びくともしない。
力の差は歴然としていた。
唯一自由になる視線だけで相手を睨み付ける。
碧い炎のように燃えるスタークの強い視線を、偽京楽は平然と受け止めている。
その余裕の表情から偽京楽の意思が決して変わらない事は分かっていた。
それでもスタークは叫ばずには居られなかった。
黙って抱かれるなんて、耐えられる筈も無かった。
暫く面白そうにスタークを眺めていた偽京楽はやがて、小馬鹿にしたように鼻で笑った。

「だ、か、ら、いいんじゃない。君の全てを壊してあげるよ。
原種の大切な物は全て僕のものになるんだ。
君だけ僕の者にならないなんて、認めないよ。
ほら、さっさと帯を解いて横になるんだ」
「………いや……だ………」
「聞き分けの無い子はお仕置きだよ。いいのかい?」

腕の中から畳みの上に下ろされても、恐怖と無力感でスタークの脚は動けなかった。
替わりに必死に首を振って、相手を身体中で拒んだ。
すると、右頬に鋭い衝撃が走って、スタークは後ろの襖まで吹き飛ぶ。
余り強い力ではなかったのか、襖が少し音を立てただけで、スタークは自分が叩かれた事に気付いた。
京楽に手を挙げられた事など、勿論一度も無い。
ショックでスタークは諤々と震え始めた。
偽者なのに、京楽に虐待されたような錯覚に陥る。
心が粉々に砕けていくような衝撃だった。

「僕は、原種とは違って気が短いんだ。ほら、早く横にならないと…もっと痛い目に遭うよ」
「………いや……だ………」
「それとも、原種に死んで貰う?」
「………春水……、助け……て……」
涙が溢れて視界が狭く、暗く、濁っていく。
霞む視界の中、迫ってくる大きな掌にスタークは絶望し、固く目を瞑る。
着物の裾を割って入り込んで来る熱い掌に、大袈裟な程びくりと身を竦ませると、
スタークはやがて意識を全て閉じた。

 

<BAD END>

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此処からの続きは妄想乙で、どうかひとつ。

 

 

 


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