モグリッチョのフィールドノート

八丈島の自然などを紹介しています。

カギイバラノリ

2009年05月03日 | 植物
学名: Hypnea japonica
 
 
 春の潮間帯岩礁域などに繁茂し、海中では綺麗な虹色の蛍光色を発するちょっと変わった海藻の仲間です。この海藻の最大の特徴は枝先の鍵状になった部分で、他の海藻に絡み付いて成長します。
 
 
 この海藻を八丈島以外の伊豆諸島では食用としませんが、八丈島ではこの海藻をブドと呼び、煮出して隠し味に醤油や味噌、具にはワケギやトビウオなどの魚介類などを入れて煮こごり料理とします。各家庭で具も味も様々、八丈島の郷土料理の一つで、磯の風味が何とも言えない酒の肴に最高の一品です。個人的には味噌、ワケギ、イボアナゴ(アナマモリ)が入っていれば、文句なしです! 島の居酒屋などでブドを出しているところがあります。機会がありましたら、是非ともチャレンジしてみてください!!
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ハチジョウクサイチゴ

2009年04月27日 | 植物
学名: Rubus nishimuranus
 
 
 
 シマミツバイチゴという別名でも呼ばれるキイチゴの仲間で、3月頃に白い花を咲かせたものが実をつけ赤く熟し始めています。八丈島の植物ガイドブックによると、このキイチゴはカジイチゴとクサイチゴのハイブリッドではないかと考えられているそうです。八丈島ではキイチゴの仲間の実を“アビ”と呼び、他のキイチゴの実の味がほんのりと甘いのに対し、本種の実は甘酸っぱいのでより美味しく感じます。ガキのころはよく食べましたよ。

 植物図鑑やガイドブックなどでは分布域に伊豆諸島と記載されているものがありますが、私が八丈島以外で確認したことがあるのは現在のところ三宅島のみです。私自身、大島、神津島、三宅島、八丈島と各島2年以上に亘って住んだことがあるのですが、大島や神津島では黄色いキイチゴの仲間の実は確認できたものの、ハチジョウクサイチゴは全く確認できませんでした。また、神津島にいたっては、長年暮らしている地元の方に「赤いキイチゴの実を見たことがありますか?」と伺ったところ、「見たことがない」との返事でした。昔は自生していたのかもしれませんが、現在では絶えてしまったか極端に数を減らしてしまっているのではないでしょうか? 三宅島のものについても確認できることはできるのですが、極めて局所的でした。この件について地元ダイビング・ショップ、スナッパーのオーナー:野田さんに話を伺ったところ、噴火後、数を減らしてしまったとのことでした。
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スズタケの花

2009年04月15日 | 植物
学名: Sasamorpha borealis
 
 
 北は北海道から南は九州まで広く分布している笹の仲間です。八丈島では三原山などで見られ、成長しても桿(かん:茎の部分)の直径が10mm ほどと細く、高さは1~3mほどになります。笹や窒フ仲間は花をめったに咲かさないそうですが、1度開花すると枯れてしまうということなので、この株も枯れていってしまうんでしょうね。また、この笹のタケノコは食用になるようですが、細く小さいためか八丈島では食用とされていないようです。

 ちなみに、タケノコが成長後、桿鞘(竹の皮)の残っているものを❝笹❞、残っていないものを❝竹❞と呼ぶそうです。
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ラセイタタマアジサイ

2008年02月27日 | 植物
学名: Hydrangea involucrata var. idzuensis
 
【花】
 
【蕾】
 
【ドライフラワー】
 
 本州に自生するタマアジサイの変種で、本州のものより葉は大きく厚くざらついており、伊豆諸島の固有種です。和名は漢字で“羅背板(羅世板)玉紫陽花”と書き、“羅背板”とはポルトガル語でラシャ布のことで、葉がざらついていることからそのようになったようです。また、蕾が玉状の球形をしていることより“玉紫陽花”と呼ばれるようになったとのことです。

 同じアジサイの仲間で八丈島にも自生しているガクアジサイの両性花(花の中央部)が鮮やかな青色なのに対し、ラセイタタマアジサイのものは淡紫色をしています。花期は7~9月頃で冬季に落葉しますが、両性花はそのまま枯れ、その周囲にある装飾花の殆ども花弁を落とさずにドライフラワー化します。
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水芥(ミズガラシ)

2007年02月12日 | 植物
学名: Nasturtum officinale
 
 
 フランス語でクレソン、英語ではウォーター・クレスと呼ばれ、和名は水芥(ミズガラシ)というそうです。しかしながらミズガラシとはあまり言わず、やはりクレソンが一般的ではないでしょうか。クレソンはヨーロッパ原産のアブラナ科オランダカラシ属の多年草で、水の綺麗な川や湿地などに自生し、花期は春から初夏にかけてで白い小さな花をつけます。

 ステーキやローストビーフの付け合せやサラダなどによく使われますが、私はカツオのたたきに入れるのが好きですな。あのクレソン特有の辛味がなんとも言えません。クレソンもカツオも、これからが旬です!
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カキラン

2006年08月13日 | 植物
学名: Epipactis thunbergii
 
 
 日当りのよい湿気の多い場所に自生し、三原山の山頂付近でもよく見かけます。花の色が柿に似ていることからこの和名がついたようです。九州から北海道までと分布域も広いようですが、最近は盗掘などによって数を減らしているそうです。花期は6月~8月です。
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ミツバ

2006年05月23日 | 植物
学名: Cryptotaenia japonica
 
 
 山地の道端などの日陰に生えるセリ科の多年草です。ハウス栽培のものが年中出回っている香りのよい香味野菜です。野生のものは春が旬で、ハウス栽培のものよりも大きく成長し香りも強くなります。野生の大きく成長した葉は堅いため、春先に芽吹いた新芽や若葉を食すのが一番です。

 食べ方は、お吸い物や丼物などの香りと彩りを添える脇役としてもよいのですが、私はやはりミツバそのものの香りと味が楽しめるおひたしが一番ですな。
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シチトウスミレ

2006年04月03日 | 植物
名: Viola grypoceras var. hichitoana
 
 
 タチツボスミレが伊豆諸島で特殊化したものだそうで、春になると島のあちこちで見かけるようになります。私はこの花の半(はした:端とも書き許色)色した色合いが大好きです。半とは禁色(きんじき:濃い紫色で、昔は高貴な色とされ一般に使用を許されていなかった)と許色(ゆるしいろ)との中間色で、どぎついく自己主張する訳でもなく控えめなところがいいのであります。昔の日本人のよう…。

 最近は他人の意見を受け入れず、やたらと我侭を言う人が多くなってきたような気がします。

 “和をもって尊しとなす”

 いい言葉だと思うんだけどなぁ…。
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ハマボウフウ

2005年12月19日 | 植物
学名: Glehnia littoralis
 
 
 漢字では“浜防風”と書き、根を中国原産の薬用植物のボウフウの代用品に使ったことから、この名が付いたようです。海岸の砂地に自生する多年草草本で、若葉を刺身のつまや垂フ物などに利用します。若葉を採る際は株ごと引っこ抜くのではなく、1株から1本の若葉のみとして下さい。

 八丈島では、この植物が自生していると聞いたことがなく、最初はハマダイコンだと思い込んで近寄っていました(八丈島では現在のところ、ハマダイコンも見かけたことがありませんが…)。もしかすると、この株は種子が芝などに紛れ込んでいたのかもしれません。また、他の伊豆諸島の島々でのこの植物の自生状況は、大島、新島、神津島の人目に付きにくい海岸の砂浜など(局所的)に辛うじて自生しています。

 この株は中心付近に小さな新芽のような葉が密集しており、おそらくは種子が風に飛ばされずにそのまま真下に落下し、発芽したのではないか思われます。八丈島でも増えてくれないかな~。
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ツユクサ

2005年09月04日 | 植物
学名: Commelina communis
 
 
 花期は6~9月で鮮やかな青い花を咲かせ、別名:アオバナあるいはボウシバナとも呼ばれています。花は早朝に開花し午後には萎んでしまいます。

 この花の色素は水洗いをすると流れ落ちるので、染物の下絵を描く際に利用されているそうです。

 生薬としても利用され鴨跖草(おうせきそう)とも呼ばれており、風邪、解熱、利尿、解毒、下痢、心臓病などに用いられます。また、食用として軽く茹で、サラダや和え物として利用できるそうです。
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