モグリッチョのフィールドノート

八丈島の自然などを紹介しています。

キノボリトカゲ

2024年06月28日 | その他の生物

学名:Diploderma polygonatum

 

 鴨川沿いを散策中に素早く動くものを確認しました。最初はヤモリ(外来種)かと思っていたのですが、驚かさないようにそっと近づいて確認してみると、それは八丈島で見たことがないトカゲかイグアナのような爬虫類でした。

 体長は25cmほどで頭の先から尾の基部までは10cmほど、背側の頭部後方から尾にかけてノコギリ状の突起があり、体側には浅黄色をした線が入っていることより“キノボリトカゲ”と同定しました。

 分布は琉球諸島と台湾となっていることから、ペットが逃げ出したか観葉植物について来たのではないかと思われます。このまま増えてしまえば八丈島の生態系に影響を及ぼすでしょうね。外来種によって八丈島の生態系は変化し続けています。温暖化も相まってどうやら琉球諸島化進行中のようです。

 ネットで調べてみると主にアリを食べるとあるので、八丈島で大繁殖中の外来種、アシジロヒラフシアリを食べ尽くしてくれないかな。在来種のアリなどまで食べてしまうだろうけれど…。

 


 

追記:キノボリトカゲは下記の4亜種に分類されているようですが、八丈島で確認されたものがどの亜種に該当するのかは不明です。もしかすると5番目の亜種、ハチジョウキノボリトカゲ!! …それはあり得ないでしょうね。

 ・オキナワキノボリトカゲ Diploderma polygonatum polygonatum
 ・ヨナグニキノボリトカゲ Diploderma polygonatum donan
 ・サキシマキノボリトカゲ Diploderma polygonatum ishigakiensis
 ・キグチキノボリトカゲ Diploderma polygonatum xanthostomum

 キグチキノボリトカゲだけは台湾での生息が確認されているものの、日本での生息は確認されていないようです。他の3亜種は日本での生息が確認されているようです。

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ブラーミニメクラヘビ

2020年05月21日 | その他の生物
学名: Ramphotyphlops braminus
 
 
 
 体長が20cm 前後で畑を耕している際に土の中から姿をよく現します。体色はやや黒みがかっており、正弦波を描くように体をくねらせて素早く移動するヘビ独特の動き(蛇行運動)をします。また、小さくて肉眼では確認しづらいのですが口からペロペロと舌も出しているようです。体全体はウロコで覆われており、アリなどの小さな昆虫などを捕食し、眼は小さな点が確認できる程度もので地中生活で退化してしまっているようです。頭部は丸みをおび(投稿画像下側赤矢印)、尾の先端は尖っています(投稿画像下側青矢印)。

 原産地はアジア南東部のようですが、世界各地に生息域を拡大しつつあるようです。このヘビには雄は存在せずに雌だけで単為生殖する珍しい種類とのこと。生息地の拡大もここに理由があるのかも知れません。 

 このヘビとミミズの生息環境は共に地中、全くの別種ですが形態は見分けが付かないほどに酷似しています。これも収斂進化の一例なのでしょうか?

 最後にこの和名の一部についてなのですが、未だに堂々と差別用語が使用されているのに驚かされました。科名や属名についてもまた然り。時代錯誤と言おうか、配慮が足りないと言おうか、別名をミミズヘビと呼ばれているそうなので、ブラーミニミミズヘビでいいじゃないですか、ねぇ。
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トカゲ属の仲間

2019年08月18日 | その他の生物
学名: Plestiodon sp.
 
 
 体長:15~25cm 程です。八丈島では元々、オカダトカゲ(環境省レッド・データ・ブックの絶滅のおそれのある地域個体群に指定されている)しか生息していませんでしたが、ニホントカゲが九州から移入し繁殖しているようです。オカダトカゲはネズミ対策として人為的に移入されたイタチに捕食され生息数が激減していますが、ニホントカゲの移入によって生息域を追われ更なる減少が心配されています。私が幼かった頃はオカダトカゲを石垣でよく見かけましたが、現在では殆どその姿を見ることはありません。本来、生息域は草原や森林などですが天敵の捕食圧が高くなると、より身の安全を確保できる石垣に移動するそうです。その時点で既にかなりのイタチの捕食圧を受けていたという事だったのでしょうね。

 オカダトカゲ及びニホントカゲ共に昆虫やミミズなどを餌としており、畑で野菜に水撒きなどをしていると水に驚いて飛び出した昆虫を捕食しているところを時々見かけます。これ等の個体群は恐らく減少をしているオカダトカゲではなく、勢力を増しつつあるニホントカゲの可能性が高いのかも知れません。
 
 同定にはウロコの数や大きさを用いるようですが、それには例外があるそうです。結局はDNA。素人の外部形態だけでの同定はかなり困難のなので、当ブログでは種小名を特定せずに“sp.”としました。因みに属は両種共に同属のトカゲ属(Plestiodon)です。近種であるため、もしかすると既にハイブリッドが誕生している可能性もあるのではないでしょうか? 八丈島のオカダトカゲは絶滅してしまうが、この地で新たな種が誕生する。

 動植物移入の可能性があると知りながら黙認することも多々あるのでは?と思うのは私の思い過ごしかな。例えそれが意図的ではなくとも、そこには恣意的なものが見え隠れしているような気がします。また、繁殖することが分かっていながら飼いきれなくなったペット等を自然界に放してしまうことも。残念ながら、これは八丈島だけの問題ではなく全国的なもので、日本中の至るところで問題が表面化しています。
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バルーニング

2019年05月15日 | その他の生物
 
 春によくクモの糸が漂っているのを見かけ、このような光景を確認すると、春に生まれた子グモたちが飛翔を始めたかと思ったりもします。

 ナショジオの2019年5月号にこんな記事が載っていました。晴れた日は大気が正の電荷、地表が負の電荷を帯びるそうです。地表の尖った高い所は電場のエネルギーが最大となり、そういった所にある種のクモが登って行き、体を固定し前脚を上げて風向きだけではなく電場の状況も確認。状況が良いと判断すると、お尻から細い糸を複数本出し飛翔の準備。この糸は負の電荷のため互いに反発しあい、絡まらずに広がって帆のようになり風を受け易くなる。糸に風を受けて飛行後は、上空が正の電荷であるため引き寄せられ、上昇気流とも相まって更に上空へと高度を上げる。こういった糸を使用して中空に浮き上がるクモ等の行動を“バルーニング”というそうです。風の力を利用していることは目視でも確認できますが、まさか電気の力を利用しているとは目から鱗であります。

 因みに投稿画像は畑の隅のユリの蕾にいた小さなクモです。このクモがバルーニングを行うかどうかは定かではありません。
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アカハライモリ

2005年01月20日 | その他の生物
学名: Cynops pyrrhogaster
 
 
 全長は70mm前後で、小さな池に10個体ほどいるのを発見しました。恥ずかしながら、八丈島にカエル以外の両生類が生息しているとは知りませんでした。水底の枯葉などの下にじっとしていますが泳ぎも結構達者なようで、肺呼吸をするために時々水面に向かって一直線に泳いできます。このイモリは日本の固有種で別名:ニホンイモリとも呼ばれており、和名の所為は腹側が鮮やかな赤色をしている色彩的な特徴からのようです。体色には変異があるようで、この個体は鉄を真っ赤に熱した直後に水につけて、焼きを入れた時のよな青みを帯びた金属的な光沢を放っています。地域によって遺伝的・形態的に相違があるため4~5グループに分類されています。生息している北限は下北半島で、これはイモリ科生息域のアジア北限にもなっています。また、皮膚にはフグ毒と同様のテトロドトキシンがあるそうなので、触った後は念のため手をよく洗った方がよいかもしれません。大部分のイモリにも同様なことが言えるようです(触ると危険といったことはないそうですが、念のため!)。それからイモリを調べていて一番驚いたのは器官再生機能についてなのですが、四肢・尾だけではなく、な、な、なんと、網膜を失っても再生するそうです。まったくもって凄いヤツなのであります。何れ人類も遺伝子治療などの研究が進み、このような器官再生が可能となるのでしょうか?
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