這い松

雪面から頭を出すと
風当たりが強く
下で甘んじては
雪に埋もれ
踏みつぶされる
この厳しい環境の中で
悪戦苦闘し
曲がりくねって這いずり回り
懸命に生きる姿が好きだ

これからも
厳しい環境に耐え
体を鍛えて
たくましく
引き締まった年輪を重ねて
さらに貫禄のある
仁王立ち姿を目指せ
　なぁ　這い松

忘却の森

殺伐とした都会から逃れて
雪のある森に来た
針葉樹と枯れ木だけの
すっきりした世界だ

風がすり抜ける音も
樹々が波打つ音も
一面に敷き詰めた
マシュマロのような雪に
きれいに吸い込まれて
無音の森となった

そんな中を一心に歩いて
気が付いたら
肩の荷は
どこへおろしてきたのか
心のストレスは
どこで忘れてきたのか
頭の中さえも真っ白だ

　　　　　　　　　　敷香

笹

笹は細い体で
しなやかな動き
風のリズムにのって
楽しく揺れる
降る雪を背負っても
揺らして雪と遊ぶ

笹は柔軟な体と
おおらかな心で、
苦しみを苦とせず
寒さに負けず
自分の体を鍛え
たくましく暮らす

　　　　　　　敷香

小さな蕾

　　　　　オリズルラン

キリリとした葉の間から
茎をスルリと伸ばし
小さな可愛らしい蕾を
ポツリとつけた
ポツリポツリとまたつけた
あゝ　豆つぶの蕾たち
小さいながら
プリプリ気分で
きっと繁栄をもたらす
希望の華となる

　　　「あけまして　おめでとうございます」　
　　　　　　　　　　　　　　　　敷香