「帽子をかぶった婦人」 ゴーガン
1884年 40×33cm パステル
1884年のほとんどを過ごしたルーアンにて描かれた作品であろう。 ベルタン商会をやめた翌年の作で、株式仲買人から画家へと転身し、収入の道もなく、経済的にも苦しくなっていった時期に描いたものではあるが、絵には生活的な零落の兆など微塵もにおわせていない。 大胆かつ華麗な彩色、バックの赤の垂直なタッチなど、すでにゴーガン絵画の特長がよくあらわれている。帽子のつばにはコバルト・ブルーを入れ、色の深みを加えている。肌に白を入れる彩色は面白い。
(世界の素描28 ゴーガン)より