花と蝶
「日韓外交の中で経済協力利権を狙って韓国に食い込んだ政治家は多かった。
その一方、自民党内でハト派と呼ばれる宏池会内には“贖罪意識で韓国に接する”という考え方が根強かった。
外交を円滑に進めるために柔らかく接するという発想が先に立ち、それもまた現在の日韓対立の火種となっている」(評論家・屋山太郎氏)
そうした河野洋平氏らの路線は、村山富市・首相の戦後50周年談話、そして1998年の小渕恵三・首相の「日韓パートナーシップ」宣言に引き継がれていく。
小渕氏は漁業協定締結のために行なったこの宣言の中で初めて、「植民地支配」という言葉を使って謝罪した。
◆鳩山元首相の「額ずき」
一方、当時の野党政治家にも、“謝罪ありき”の外交は広がっていた。
「慰安婦問題を盛り上げた日本の野党政治家の責任も重い」
そう指摘するのは、共産党議員秘書の経験があるジャーナリスト・篠原常一郎氏である。
「慰安婦問題を複雑にしたのは、『戦時性的強制被害者問題解決促進法案』を国会に提出(2000年)した小川敏夫氏(現・参院副議長)、
福島みずほ氏、吉川春子氏など当時の民主党、社民党、共産党の国会議員たちの行動にも原因がある。
彼らは反自民の立場から、韓国の反日団体の主張を法案にしたうえ、東京で『女性国際戦犯法廷』を開くなど、各国に慰安婦像建設運動を広げるきっかけをつくった」
そして2009年に民主党政権が誕生すると、さらに拍車がかかる。
菅直人・首相は「日韓併合100年」の反省とお詫び談話を出し、鳩山由紀夫・首相は退任後、韓国の独立運動家を収容していた西大門刑務所歴史館で額ずいた。
「ドイツのブラント首相がポーランドでナチスの行為を謝罪した『ワルシャワでの跪き』と同種の謝罪を日本の首相経験者が行なったことで、
韓国における日本の戦争責任の大きさのフレームアップを招いた」(前出・黒田氏)と見られている。
日本は韓国の主張に対して、その正当性を議論するのではなく、譲歩を重ねていった。
日韓の裏面史に詳しい菅沼光弘・元公安調査庁第二部長が指摘する。
私心
一部国会議員が日本人としての誇りのなさが、今日の複雑な日韓関係を招いた大きな要因と言えます。