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四十数年前、美大に通っていた時にインドへの美術研修旅行に参加した。
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学生だけでなく、日本画の教授も助教授も、彫刻の教授も色彩学の先生も、そして素敵な女性の事務の方もいらした。
名の知れたインド美術の教授のご案内と聞いて、私は無理を言って母からお金を借りて参加した。
他大学の生徒も含めて20名ほどの団体だった。
羽田に着いて解散する時に、同行した旅行会社の方が、二週間の旅行中これほど何もいざこざがないのは珍しいと言っていた。
インドでの食事は香辛料がきつかった。バナナをほっとしながら食べ、紅茶を美味しく飲んだ。
アジャンタやエローラの石窟寺院、タージマハル、サーンチの仏塔など、盛り沢山だった。
私はスケッチをし、写真を撮った。
サーンチの仏塔へ行く時に、日本画の教授は旅行服から背広に着替えていらした。
背広をスーツケースに入れて日本から持って行かれたそうだ。
先生にとってサーンチは、遺跡などではなくお釈迦様のお墓だった。
早朝のガンジス川、ベナレスにも行った。
霧の中、ある人は荼毘に付されている。ある人は沐浴している。
そして写真を撮る観光客に怒声が飛ぶ。
ところで、先日長男が久しぶりに仕事帰りにこちらに寄った。
「インドに行ったんでしょう?」と話してくる。
ガンジス川には行ってみたいと言う。
生と死が一緒にある場所を見てみたいと言う。
でも今思うと、あそこはそんなにいい場所ではなかった気がする。
不衛生だったし。
それに、どこに居ても生と死は一緒にあるじゃないか、わざわざガンジス川に行かなくたって、と思う。
旅行の初めはいろんな事に戸惑ったが、インドから帰ったら頭にインドが染み付いてなかなか離れなかった。
そして数年後、旅行中ずっと相部屋だった知り合いが自ら命を絶った。
そのことが私に、死ぬまで人は生きなければならないという事を教えてくれた。
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インドの思い出がまだ鮮烈だった頃に、新聞に載っていた写真を写して描いた
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