伊勢根付職人 梶浦明日香の『手のひらの幸せ』

忘れかけていたことを、思い出すように

ほぼ日が昔から好きで、ちょくちょく読ませていただいているのですが、役所広司さんと糸井重里さんと対談も、良かったなぁ。


【忘れかけていたことを、思い出すように。役所広司×糸井重里 – ほぼ日刊イトイ新聞 | 役所広司 | ほぼ日刊イトイ新聞
https://www.1101.com/n/s/perfectdays/index.html

映画の宣伝での対談で、
映画はまだ見ていないのですが、
対談の中の言葉に、うんうんって思いながら
読みました。


・わりと「これしかやらない」という命のかけ方が美意識として褒められるんだけど、別で働くからできるわがままもあって。
・音楽はいっぺんで何人もの人を惹きつけられますからね。
・呼吸を意識
・あれも、これもやりたかったと思うんじゃなくて、「今日はこれで充分」と思いながら眠る。


特に印象に残った言葉たち。
映画は、東京のトイレ清掃員の日常を描いている映画で、その登場人物の暮らしは毎日がルーティーンでほぼ同じように流れていく。
それを役所さんが「案外、わるくないよ」って語ってるんです。

役所さんは、同じような役はしたくなくて、同じようにならないようにするための映画人としての生き方を前半で語っているのに。
毎日ルーティーンで変わらない毎日を送る人のことも“悪くない”って思うんだな。


私はさ、ここのところ年末ということもあって、アナウンサーだった頃の仲間や、マスコミ関係の方々と会う機会があるのだけれど、日々毎日違う場所に行って、違う人を取材して、普通に暮らしていたら絶対会えないような特別な人と会っていたりして、その内容がすごく刺激的なんです。
この人たちはルーティーンなんて作りたくても作れなくて、数年ごとに転勤でまた別の人間関係を作って新たな土地で別の技術を学んで、凄い勢いで日々を走ってる。
あぁ、そういえばこんな日々だったよなぁ、いいなぁって。

いっぺんにたっくさんの人に影響を与える仕事をしていて、どんどん仕事が変わるから知識も豊富で。まるで全速力で走っているかのようで、とても魅力的なんです。

でも、私はもう職人だから、ルーティーンの暮らしの素晴らしさを知っている。ちゃんと息をして、ちゃんと季節の変化を感じて生きている。昨日も、ご近所さんが冬至だからってお風呂に入れる用のゆずを持ってきてくれた。我が家の庭のマリーゴールドの花が枯れたから、種をとって来年に向けて周りの草を取って種を植える。そんな庭を見つめながら縁側で何日も何日も細かな作業の繰り返しで、縁側の主みたいになりながら根付を作る、こういう暮らし。

たくさんの人に届かなくてもいい。作れる作品の数なんて数ヶ月で一個。たった一人、その作品を素晴らしいと思って買ってくれたら、その人にだけ届けば、私は職人として生きていける。


時々、昔の仲間と会うのはいいね。自分が選ばなかったキラキラした未来を想像して、心の奥に沈殿されてた思いを思い出して、それでも私が選んだのは今なんだってもう一度意識できるから。
みんなどっちも、それも良いなって思いながら、自分の暮らしを生きているんだよね。そして、やっぱり今の生き方が一番だなって。

あれもこれもは無理だからさ、目の前のことを一つ一つ。「今日はこれで充分」と思いながら。



忘れかけていたことを、思い出させてくれた、いい対談でした。
さあ、今日もかけがえのない一日を楽しむよ!
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