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伊勢根付職人 梶浦明日香の『手のひらの幸せ』

銘(作家名)どう決めたの?

私の根付職人としての銘は『明日香』って本名なんです。
『明香』と彫り、日は周りの枠で表現しています。
(小さなものだと『明』だけのこともあるし、『明日香』と3文字で彫ることもあります)







なんで本名にしたのー?
というご質問がたまにあります。
普通は、本名とは別に職人としての名前を持つものなんです。

私が師匠に弟子入りして何年かした頃、国際根付彫刻会の例会が滋賀であったんです。
私は、伊勢や滋賀で行われるときだけ、会員でもないけれど、勉強のために参加させてもらっていました。

たまたま、その例会の懇親会の席で
根付界の巨匠・駒田柳之さん、平賀胤寿さん、能面師でもある矢次杢忠さんと同じ席になり、
「銘はもう決まったのかー?」
という話しになり、
「いやー、まだ悩んでて。師匠に一字もらって、明峰かなぁと思っていたのですが、似た名前の方もいるし、画数多いから大変かなぁと悩んでいます。」
と、お話したところ、酔っ払ったお三方が
「よっし。俺たちが決めてやろう。」
ということになったのです。

「ええ?!」
と、戸惑っているうちに、

「本名はなんや?明日香か。」
「明日香、ええ名前やないか。」
「日本らしく、和のイメージで。」
明日香「3文字ってどうなんですか?」
「懐玉斎もおるし、3文字でもええやろ?」
「そやそや、3文字ええやないか。明日香でいけ、明日香で。」

と、決まったのでした。
あっという間の出来事でした。

いや、こんな巨匠たちに決めてもらえるなんて光栄ですけど、師匠の許しもいるし、いや何より、そんな大事なこと、酔っ払った席で決めてしまって良いのでしょうか?

と、思っていると、近くに座っていた師匠にも声がかかり
「わはは!!おお!えーやないか。」

と、相槌が。

決まりました。

改めて、次の日に師匠に確認したところ、
「みなさんに考えてもらえるなんて光栄なことや。
それでいけ。」
とのこと。

実は何年も決めかねていた銘が、人生決めちゃう大事な銘が、ものの5〜10分であっという間に決定。

そんなこんなで、私の銘は本名と同じ、
『明日香』と、なったのでした。

今は、たまに、他の名前も欲しくなるけど、本名で本当によかったなぁと思っています。

駒田柳之さん、平賀胤寿さん、矢次杢忠さん
素敵な銘を、ありがとうございます。





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