憧れの人、篠田桃紅さん。
篠田さんの作品展に行ってきました。
篠田さんは、歴史ある日本の書の世界から、和紙の、墨の、筆の可能性をさまざまな角度から追求し、書を日本画として発信した人。
和紙、墨、筆の、滲みや掠れ、柔らかさや鋭利さを使って、日本の美を表現した人。
悩んだと思うんですよね。
書をこのまま普通にやっていても未来はない。
なにか、新しい書の可能性はないものか、と。
かと言って、新しい挑戦をすればするほど、誰にも評価されず手元に売れない作品が増えていくだけ。
間違いなくそんな現実に日々苦悶する中で磨かれていった表現。
書でもなく、アートでもない。
書の世界では基礎がなっていないと言われ、
アートの世界ではこれは書だと向き合ってもらえない。
評価する人もなく、何が正しいのかわからない日々。
よく、それで折れずに続けられたなぁ。
そんな日々の中で、戦争があり外国人の目に留まり、日本ではなく海外なら作品を認めてもらえるのでは?と、勇気を出して渡米し、評価を得た人。
昔の写真を拝見していると、
日本人というブランディングを強く意識しているのがわかる。
ブレずにずっと、日本の美、をこれまでになかった形で発信してきた人。
とても洗練された作品で、少ない線でいかに人の心を動かす作品にできるのか。
木彫でいうと、円空とか一刀彫にも通じるのかな。
極端に削ぎ落とした美。
人間だもの、不安だからあれもこれも足したくなるんですけどね。削ぎ落とすからこその美。
潔さも勇気もなければ出来ません。
私も、根付の職人として、
何かを変えなきゃという意識が今強くあって、
それはなんなのか。
どうしたらいいのか。
悩んだ時の篠田さんと今の私の状況がシンクロしている気がして、ここ数年強く意識していた方。
故郷岐阜県にも縁の深い篠田さんを見習って、
自分の形を模索していこう。
と、強く思わせてくれる憧れの存在なんです。
篠田さんの作品展が、
名古屋で行われています。
憧れの古川美術館、為三郎記念館!!
素晴らしい建物と、作品に囲まれて
贅沢な時間を過ごすことができます。
「 追悼 篠田桃紅 107年のキセキ 」展
2024.6.15〜7.28
古川美術館 為三郎記念館