さて、前の記事(こちら)では、
根付とはこういうものっていう簡単なご紹介をさせていただきました。
なので、今日はいよいよ、
私が何度も言っている
『伊勢根付』
についてです。
一番最初の引っかかっていたフレーズを
ようやくここで解説。
長かった〜!!!
伊勢根付というのは、文字通り
伊勢の根付です。
そう。伊勢の、根付。
伊勢っていうのは、
お伊勢さん、伊勢神宮があるのね。
江戸時代の人には一生に一度はお参りしたかった
憧れの場所、伊勢。
そのお伊勢参りのお土産物として栄えたのが伊勢根付なんです。
一生に一度行けるか行けないかのありがたい場所で、
伊勢の思い出とともに、荷物にならないお土産として栄えたのが
伊勢根付。
特徴としては、伊勢神宮の裏山にあたる
朝熊山の黄楊の木を使うのが特徴です。
♪お伊勢参らば朝熊をかけよ、朝熊かけねば片参り〜♪
と、伊勢音頭でも歌われるように、
お伊勢さんと朝熊山参拝はセットで考えられていた
ありがたい山の木なんです。
なので、
無事に家に帰れますように とか
勝負事に勝ちますように
家庭円満
商売繁盛
無病息災
立派になりますように
運がよくなりますように
などなど、いろんな願いが込められたデザインが
昔からよく彫られてきました。
そして、根付というと象牙を思い浮かべる人が多いと思いますが
材質に決まりはないのです。
でも、伊勢根付は木彫。
黄楊の木を彫るのが特徴です。
伊勢神宮は殺傷したものを身に着けてはいけなかったので
象牙などは使えなかったこと、
そしてありがたい山、朝熊山の黄楊の木が
とても質のいい美しい黄楊だったことが背景です。
年輪が詰まっていてピカピカで、
磨き上げた木肌は、まるで木とは思えぬ滑らかさにもかかわらず
木の寄り添う優しさを感じられる黄楊の木です。
(私もうちの師匠も、世界一の黄楊だと思っています)
そして、伊勢根付を語るには、
正直という、江戸後期の避けては通れない江戸の名工がいまして
この正直の作品がまたすごいんです。
まず、ユーモラス。
そして、デザイン性も美しく、
また生きているかのような素晴らしい表情の作品。
世界中の博物館で、根付展示の主要な場所で展示されたりしています。
初めて、ビクトリアアルバート美術館で直接作品を見たときは、
(丸ねずみでした)
うわ〜って感激してずっとガラスギリギリで齧りついて見ていたので、
何度もスタッフさんに注意されたっけ。
そのくらい、あの丸ネズミは衝撃でした。
写真は、V&A(ヴィクトリアアルバート美術館)で展示されていた
正直の丸ネズミ。
か、かわいい〜♪
というわけで、伊勢根付といえば、代表するのが正直という江戸の名工で
現在も五代目が正直を受け継ぎご活躍中です。
伊勢の根付職人は、直接であれ間接的であれ
この系統を受け継いでいる人々なんですね。
特に正直というと、
わらじの裏にヒキガエルが乗っているデザインが有名で
金額も高値で取引されています。
さて、ここで問題です。
このわらじの裏のヒキガエル。
ある大事な意味を込めてあるのですが、
一体どういう意味が込められているのでしょうか〜♪
答えは次の記事で。
次は、根付の魅力についてお話しする予定です。
(写真はなんでも鑑定団のテレビ番組より)