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伊勢根付職人 梶浦明日香の『手のひらの幸せ』

伊勢根付とは


根付とは、着物の帯に引っ掛けて巾着や印籠を提げるための留め具のこと。
江戸時代に大きく栄えました。

3〜4センチ程度の小さな彫刻で、手のひらに包み込めるほどの大きさの中に、粋な遊び心、四季を愛でる心、洒落、おかしみ、ひねりをデザインとして表現し、手のひらの小宇宙とも称される芸術品です。

現代の日本国内ではあまり知られていませんが、海外の博物館、例えば世界で一番大きな大英博物館などでは、日本の4大アートとして、漆・浮世絵・刀・根付として紹介されるほど、日本を代表する工芸品としてよく知られています。「琥珀の眼の兎」という根付を題材にした本が、イギリスでその年一番の本である、ブックオブザイヤーに輝いたり、各国で根付に関する写真集が出版されるなど、日本以上に海外での注目度の高い工芸品です。

根付の大きな特徴の一つが、根付用語で’なれ’と言い、使い込むほどに少し摩耗して飴色の状態になると価値が増すという考え方。手のひらの中で定期的に握っていると、美しく価値が増していきます。


伊勢根付とは、伊勢の国で作られた根付のことです。お伊勢参りの土産物として栄えました。殺生をした素材を良しとしないため、象牙や革は使わないのが特徴です。

木彫のものが多く、特に神宮の裏山の朝熊山の黄楊が最上級の黄楊として重宝されています。お伊勢さんのご加護がありますようにとの願いが込められたデザインのものが多く、干支や縁起物などが特に人気があります。

当時の伊勢参りは一生に一度の命がけ。無事に帰れますように、ひき(運)が得られますようにという願いをこめた「ヒキガエル」の根付が、伊勢根付として一番有名なデザインです。
















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