日々の出来事

当院の出来事を紹介します

年末年始の診療

2011-01-03 22:46:07 | Weblog
1998年の開業以来、正月に診療しなかったことはありません。
今年もスタッフと交代で、ホテルや入院の世話を行い、
午後からは診療していました。
例年バタバタすることも多いのですが、比較的穏やかな年始でした。

とはいえ初診で来る患者さんの中には、重症なものがいくつかありました。
元旦の夜、散歩中に動けなくなった15歳の犬は、たいへんでした。
脳の異常が疑われましたが、基本に忠実に診ていけば、あちこち異常が確認されました。

特に、甲状腺機能低下症が重症と思われました。
寒い新潟で外で飼われている場合、重症化して運ばれてくることがあるのです。
寒さに対抗するために必要なホルモンが足りず、ダウンしてしまうわけですね。
肝臓の検査値が極度に悪く、腎不全や不整脈も併発しており、
体のあちこちに異常が出ていて、夜中の3時頃に私が看取りました。

実は連れていらしたのは預かっていた方で、飼い主さんは県外へ旅行中だったようです。
飼い主ご家族とは、最後まで直接お話できませんでした・・・。
年末年始ということも関係していたでしょうが、携帯電話が通じなかったようです。
仕方ないことでありしょう。

昨日血便でいらした、やはり初診のワンちゃんも、検査したらエラい事になっていました。
歯茎に内出血があり、血便、ぐったり、犬種的に血小板減少症が疑われました。
うちに来る前には、心臓が悪いと指摘されていたようです。
実際、心臓も良くなかったのですが、総合判断としてはプレ・DICという状態でした。
多臓器不全で、危ない状況でした。
輸血やら投薬やら、緊急な治療が必要でした。

スタッフの協力で、早めの治療が実施されました。
夜中はかなり状態が良くなってきていましたが、今朝急変してしまい、
柳田先生がレスキューを試みましたが、残念ながら旅立ってしまいました。
DIC になるには、それ相当な病気(感染や炎症・腫瘍など)が隠れていたと思われます。
今回は時間的に、なにが生じていたのかに関しては究明できませんでした。
飼い主さんはかなりつらい思いをされたようです。

年末・年始という特殊な時期ではありますが、何とか救える命はきちんとしてあげたいですね。
このワンちゃんは、なにか重大な病気が隠れていたはずです。
自然に治るケースももちろんあるのですが、やはり急激に落ち込んでいる場合は、
それ相応な状態の把握(検査)が必要なんですね。
当院に初診でいらしたのが、少々遅かったことが、悔やまれてなりません。

診た瞬間に、これはヤバい・・・、ってわかってしまう自分が嫌ですね。
キャリアを積んだせいのか、マズいケースはだいたいわかります。
この子は厳しいな・・・ということを検査で確認している印象です。
今晩が峠ですよ・・・という時は、だいたいその通りになってしまいます。
入院している子たちの状態を、何となく感じるのです。
「気」を感じているのかもしれませんね。