秋紀 芳慧 (Yoshie Akinori)

窒息した豚の夢

気がつけば手が血まみれだ。

いつの間にこんなに辺り一面血が飛び散っているんだ。

もう尋常じゃないくらい手のひらが真っ赤だ。

どうやら脳を吹き飛ばされたらしい。

辺りに白い脳しょうが散らばっている。

その証拠にほら、手にもこびりついている。



なんで頭が吹き飛ばされたのか分からない。

風が頭の後ろの吹き飛ばされた辺りをなぞっているので

前頭葉から後ろが全くなくなってしまったのが分かる。

でも脳がないのにどうして考えることができるのか

分からない。



誰かにライフルで狙撃されたものと考えている。

脳がない証拠に、ほら、びくとも体が動かない。



ここはどこかのビルの中だ。

長方形のコンクリートの壁の部屋の中にいる。

その中の後ろに近いところにパイプ椅子のようなそっけない何かに俺は座ってい

る。



さっきから俺はうつむいている

うつむいて目の中から辺りを探している。

何を探しているのか分からない。

体が動かない。

黙ってひたすら手のひらを眺めている。



眺めながら考える。

声を出そうとしたが、かすれたような息のようなものしか出てこない。



でも頭がなくなったのなら、これでヘアスタイルで悩む事はなくなった。

でも脳がないのにどうして考えれるのだろう。

分からないことがあまりにも多すぎる。



首が動かない。

全身が動かないとなれば、これから糞尿垂れ流しだ。

呼吸がしにくい。



でも冷静に考えている。

ここはどこだろう。

これはどこのビルの一室なのだろうか。



自分が本当にここで血まみれでいるのかどうかすら怪しくなってきた。

だって俺は頭を吹き飛ばされているのだから、

その思考はすこぶる怪しい。

自分の存在があると思っていることすらあやしい。








さっき呼吸をしていないことに気づいた。






















これではまるで窒息した豚だ。


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