秋紀 芳慧 (Yoshie Akinori)

ワークショップについて1

毎月ワークショップを継続している中で考えることがあります。


それは、身体を駆動させることの難しさということです。僕自身長年意識的に身体を動かそうとしてきました。それは長く時間のかかる作業です。意識するということは単に身体の一部分を意識させるというものではなく、ずっと全身を意識している、という状態です。この状態を長く続けるには訓練が必要です。自分がなにをしているのか分かってやる。それは難しい作業です。

しかし意識するというこの訓練が、自分をクリエイトする基本的な力になります。投げやりに自分を見失ってしまうことなく、じっと自分の身体を観る。ゆっくりと呼吸する。自分の0状態を見つめる。その地点まで自分をもっていく。そして自分の現時点での0メートルにひたすらもっていく。その地点が自分の現時点でのオリジナルな身体を意識していく。その身体をゆっくりと駆動させていく。自分を適切な力配分で動かす。しっかりと動かしながらも決して力みすぎずにいながらも力強い、そんな動きをしていく。それはしっかりと丁寧に生きるということにつながります。激しく動くことがハードではなく、ゆっくりでも中身の濃い、質感のある身体が本当に生きている身体と僕は考えます。

日常を生きる我々は生きることが外側の世界だけのように考えるところがあります。でもその裏側には目でみることの出来ない世界があります。それは別に不思議な世界でもなんでもなく、人間は現実世界だけで生きる生き物ではないと思います。音楽や絵画、小説などなど、芸術が必要とされるこの世の中は、事実そういった見えない世界を求めています。現実の世の中はますますスピードアップしています。人間の身体も高速化していますが、それで追いつけない部分はいわゆる「ゆるキャラ」など、ゆったりとしたものなどを希求しています。そういった外側の「ユルい」もので自分を埋めるのではなく、自分自身のオリジナルの速度というものと付き合いながら自分をゆっくりと駆動させていく、そこに何かを作る、自分をつくる、といったものに通じるものがあると僕は考えます。


ゆっくりとなにかをするといったことはハードです。力のいる作業です。しかし丁寧にものに向き合うということ、そこから自分の出来ることを力強くやっていく。そこから我々のパフォーマンスが生まれます。生きている身体、しっかりと体重が感じられる身体。その身体は分厚い身体で存在感があり、少し動くだけで空気を動かしていく、そんな身体を意識しながら毎回ワークショップしています。


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