8月2日の金曜日の夕べ、大阪、難波から西の桜川にある0g(ゼロゲージ)で、19時をいくらか過ぎたころにYoshie AkinoriがSP404-SXとミキサーのみで演奏を始めました。
あきのりはこの日が来るまでに『ひよめき、ひびく』というタイトルを幾度も反芻しながらイメージをつくりました。
ひよめきは赤ちゃんの頭頂部の柔らかい部分が動くことを指していて、それは小さな音のようなイメージを抱かせます。しかしその子供の体内の音はというと巨大な鼓動が鳴り響いているのではないか?と思いを馳せ、その轟音が風のように響く様を想像してサンプルを選び、譜面を組み立てました。
演奏をスタートさせると、風の音をメインにしたサンプルが体内の鼓動のように響き立ち、心の中では歌えるようにと祈りつつも無意識のうちにお客さまのお子さまがびっくりしてお店の外に逃げてしまわれたほど大音量かつ、空白を生かした音楽を作り出しました。
そしてあきのりの後すぐにPRE-POETの、吹子がついた手風琴を使ったドローンの上に、ホーミーのような歌をのせて会場に音を響かせ、平べったいタンバリンのような太鼓の上にバネ状の楽器をバチで叩きながら魔術的な音世界を広げます。
しばらく休憩を挟んだのち、Shigekazu Mineのミキサーをメインにした繊細な音が鳴り出しました。この日もっともひよめき、ひびく、というタイトルに真っ直ぐに沿ったような素晴らしい音楽で、会場の皆さまもその音のはかなさに聴き入り、後半はシンセサイザーも使ったたおやかな響きを聞かせてくれました。
その音に重なるようにhofli/Takashi Tsudaのギターが鳴り出し、しばらくのデュエットから特殊奏法も用いたギターをメインにした音楽が始まります。後半からラストにかけてのhofliのコードを金具で弦を擦り続ける音が0gのスピーカーから徐々に音量を上げて地響きのように轟音となるさまは、今まで聴いてきたライヴやCD作品から受けた小さな響き、静謐と言った言葉から解き放たれた、とても心を奪われる演奏でした。
ラストに短い4人での合奏を経て終えるとお客様から、「もの凄い刺激を受けた」「お金を払って音楽を聴く意味がわかった」「音が立体的に聞こえてきた」などとこちらもうれしくなる感想を頂けました。
今後もこうした企画を続けてまいりたいと考えておりますので、ぜひ音の響きを体験するライヴをお楽しみに。
この日観てくださったお客様、本当にありがとうございました。
そして当日PAからいろいろと気を配ってくださった0gの平野様、あきのりの初のライヴの企画を支えてくださって本当に助かりました。ありがとうございます。
そしてflyerを置かせてくださったり、お店に貼らせてもらったり、snsで告知してくださったお店、並びに関係者の皆さま、ありがとうございました。
all photo by TOKO MORRIS
ちなみにこの日のSEの音楽は、パララックスレコードの店長&ターンテーブリスト毛利桂さんおすすめのドイツの名門rasterからのリリース、Dasha Rush "Contemplating"。冷ややかな中にもの凄い熱情の入った素晴らしいアルバムです。
O-TH Kenji Nogami / Yoshie Akinori