俺は、自分でチェックする前に、ドキドキしながらオミさんにスマホを手渡すことになってしまった。
「同じアングルで撮ったんだ…変えても良かったのに…もう少し近くに撮っても…」
などと言いながらじっくりと写真を見ていたオミさんが、えっ?とかすかな声をあげた。
「何かありましたか? 」
俺は真っ青になってしまった。
「これ、この2枚目…」
のぞき込んでも、俺にはわからなかった。
しかしオミさんは写真から目を離すことなく、
「俺の肩、右の肩に、何かついてない? 」
「…えっ? 」
…これって…
「…手、だよね?…」
「そう、ですね…」
…信じられないが、どう見てもオミさんの肩には何かがある…というか、人の手が置かれている、というか、手が肩をつかんでいる。
オミさんも俺も言葉を失うばかりだった。何しろこの家にはこの二人しかいないのだ。
それにオミさんが座ったソファは壁についている。こんな写真になるはずがないのだ。
そして、立体的で手らしい形なのに、色は人の肌らしくなくややどす黒い。
「…色が黒っぽいのって、危険なんじゃなかったっけ? 」
「確か 」
俺にはそれしか言えなかった。
「…もしかして、生霊? 」
「そう、聞いたことがあります 」
さすがのオミさんも混乱しているようだった。
「生霊って…俺、人に恨まれるようなことしてないし…」
しかし、はっ、としたように俺を見て、
「君。ダイキ君 」
「はぁ? 俺、霊を飛ばす方法も知らないし、そこまでは強力にオミさんを恨んではいないと思うんですが 」
俺はこの時は知らなかった。
生霊は本人の意思に関係なく、飛んでいくこともあるということを。
激しいオジサン達や…怖いファン達とか、遊び用の浮気相手とか、それを知って激怒した麻里華さんが霊能者に頼んだとか…逆恨みもあるかもしれないし…